本格的に百合系ストーリーの作成に取り掛かりたいなとずっと前から考えていて、どうせなら漫画形式で…とかいろいろ考えたのですが、イラストと漫画だと全然作り方や構成も違って中々着手に至らず…
とりあえずFANBOXでプロットを公開するところから始めようかなと思い、脳内妄想短編百合ストーリー集を公開してみることにしました、将来的には漫画形式で描き起こしてPixivなど全体にも投稿出来たらと考えています(気長に待っていただければ…)
入学直後初めての授業、教室の空気はまだぎこちなくやや重い空気が漂っている
先生「じゃあ教科書4ページを開いてください」
カバンや机の中を慌てて探す朱里。だが教科書が見つからない。指先が震えて、顔が赤くなっていく
朱里(……うそ、忘れた……どうしよう……初日から……)
周りに教科書見せてなどと声をかける勇気も出ず、ただうつむいている朱里
双葉「ね、よかったら一緒に見る?」
朱里の状況を察して小声で隣から声をかけられ、双葉の教科書が自然に半分朱里の机
に乗る形になった
朱里「えっ……で、でも……」
双葉「困ったときはお互いさまだよ」
朱里は驚きと安堵が入り混じった表情で、小さくうなずく
朱里「……ありがとう……」
ページを覗き込むと、自然と顔の距離が近づいて心臓が早鐘を打つ。ページをめくる指先が触れそうになり、朱里は慌てて手を引っ込める
朱里(教科書見せてもらってるだけなのに…なんで……こんなにドキドキしてるんだろう……)
住宅街の道、同じ商業高校の制服姿の生徒がちらほら歩いている。朱里はカバンを抱え、少し下を向いて歩いている。
朱里(……あ……永瀬さん……)
前方に、昨日となりで助けてくれた双葉の姿。軽い足取りで歩いている。
朱里は一瞬、声をかけようと口を開きかけて――すぐ閉じてしまう。
朱里(どうしよう……“一緒に教室まで行こう”って言ったら変かな……昨日のお礼もちゃんと言えてないし……)
あれこれ考えながらもじもじしているうちに距離が縮まる。朱里が視線を逸らしたその瞬間――
双葉「あっ、朱里ちゃん!おはよ!」
双葉がぱっと振り向き、明るい声で手を振る。
朱里「ひゃっ……! あっ……お、おはよう……」
予想外に声をかけられ、朱里は慌てて答える。顔が赤くなり、ぎこちなく頭を下げる
双葉「昨日はありがとうね、一緒に教科書見てくれて。助かったでしょ?」
明るい声で話しかけながら、ニコニコと朱里の隣を歩き始める
朱里「えっ……わ、私のほうこそ……ほんと、助けてもらって……」
俯きながら必死に言葉を探す朱里。その様子を見て、双葉はふっと柔らかく笑う
双葉「よかった。これからも困ったら言ってね」
そんな双葉の言葉に、朱里の胸がじんわりと温かくなる。心臓が速く打つ音が自分にだけ響いているように感じる
朱里(…どうしよう……なんだかすごく嬉しい……)
体育館で先生が笛を吹きながら声を張り上げる。
先生「はい、それじゃあ二人一組になってストレッチー!」
クラスメイトたちは自然と友達同士でペアを作っていく。体育館のざわめきの中、朱里は立ち尽くす。周りを見回すけれど、みんなもう相手を見つけていて、気後れして動けない。
朱里(……まただ……誰に声かければいいの……声をかけても“もう決まってる”って断られたら……)
俯いて手を握りしめていると、すぐそばから声がかかる。
双葉「朱里ちゃん、一緒にやろ?」
ふと朱里が顔を上げると、笑顔の双葉が手を軽く差し出している
朱里「……え、あ、私……でいいの……?」
双葉「もちろん。むしろ探してたんだよ」
自然すぎる一言に、朱里の胸が強く跳ねる。双葉に導かれるように並び、二人でストレッチを始める。
朱里(探してた……って……そんなの……ずるいよ……)
互いに背中を押し合うストレッチ。距離が近く、朱里は緊張して力を入れてしまう。
双葉「あはは、朱里ちゃんってば力入りすぎ。もっとリラックスして」
朱里「ご、ごめん……!」
双葉の明るい声と笑顔に、朱里の頬は赤く染まる。周囲のざわめきが遠のいて、二人だけの空気が流れているように感じる
その日の夕方、朱里は自宅の自室で制服のまま机に突っ伏している。体育の授業の出来事を思い出して頬がほんのり赤いまま。
朱里(……永瀬さんと組めたの、すごく嬉しかった。
断られるかもしれないって、怖くて声をかけられなかったのに……。
“探してたんだよ”って言われたとき、胸がいっぱいになって……。
わたし、迷惑ばっかりかけてるのに……どうしてあんなに自然に笑えるんだろう。
……わたしなんかと、一緒にいて楽しいのかな)
顔を両手で覆って、小さく呻く。
朱里(でも……本当に嬉しかったんだ。忘れられないくらい……)
一方で双葉の部屋。教科書を開いて復習しているが、ふと手が止まる。
双葉(今日の体育、朱里ちゃんってばすごく緊張してたな。
背中を押すときも、手が震えてて……。
でも、そういう不器用なところ、なんだか守りたくなるんだよね。
“力抜いて”って声をかけたら、真っ赤になって……かわいかった)
そんなことを考えながら机に肘をつき、頬杖をついて微笑む。
双葉(私、ただ“放っておけない”って思ってるだけのはずなのに……。
あの子が笑うと、どうしてこんなに胸が温かくなるんだろう)
チャイムが鳴り、教室にざわめき。友達同士で帰る約束をする声があちこちで響く。朱里は鞄を机に置いたまま、まだ動けずにいる。
朱里(……今日も、ひとりで帰るんだろうな……。永瀬さんは、きっと友達に囲まれて……)
ちらっと視線をやると、双葉が数人の子に声をかけられつつも笑顔で断り、こちらへ歩いてくる。
双葉「ねえ、朱里ちゃん」
朱里は驚いて思わず肩を跳ねさせる。
朱里「えっ……わ、わたし?」
双葉「うん。あのね、今日このあとちょっと寄り道しない? カフェとか……雑貨屋さんとか。行ってみたいお店があって」
照れ笑いしながら少しぎこちなく朱里に話しかけている。
朱里「……わ、私と……?」
双葉「そう。よかったら、だけど」
双葉はいつもの自然体を装っているが、ほんの少し耳が赤い。朱里は動揺しつつも、胸の奥が温かくなる。
朱里「……い、行きたい……です」
その瞬間、双葉の表情がぱっと明るくなる。
町のカフェで窓際の席に並んで座る二人。小さなケーキと紅茶がテーブルに並ぶ。朱里は少し緊張しながらフォークを手に取る5
双葉「あ、それ、美味しそう。甘いの好きなの?」
朱里「……うん、実はすごく好き。ひとりだと、なかなかこういうお店入りにくくて……」
双葉「ふふ、わかるな~。じゃあ今度から一緒に来ようよ」
自然に言われた言葉に、朱里の心臓が強く跳ねる。
カフェを出た後、すぐ近くの雑貨店で並んで店内を歩く二人。かわいい文房具や小物を手に取っては見せ合う。
朱里「この猫のキーホルダー……かわいい」
双葉「ほんとだ。朱里ちゃん、動物好きなんだ?」
朱里「……うん、小さい頃から猫が好きで……。あ、でも変かな、こんなの高校生っぽくなくて」
双葉「そんなことないよ。好きなものを素直に言えるのって、すごくいいと思う」
その一言で、朱里の胸がじんわりと熱くなる。自分の小さな趣味を否定せず、まるごと受け止めてくれる嬉しさに、頬が赤らむ。
雑貨店を出た後に並んで家路につく二人。町の灯が少しずつ灯り始める。
朱里(……なんだろう。さっきまでより、ずっと自然に話せてる。
永瀬さんといると……わたし、こんなに笑えるんだ)
双葉(朱里ちゃんの笑顔、かわいいな。今日誘ってよかった……。もっと知りたい、この子のこと)
お互いに、胸の中で少しだけ“特別”の芽が大きく膨らんでいく。
休み時間。朱里が机にノートを広げていると、数人のクラスメイトが集まってくる。
クラスメイトA「ねえねえ、昨日さ〜、佐々木さんと永瀬さん、一緒に帰ってたでしょ?」
クラスメイトB「しかも寄り道してたんでしょ? カフェとか雑貨屋とか〜、なんかデートみたいじゃん!」
朱里は顔を真っ赤にして、思わず下を向く。声が震えて出てこない
朱里(……み、見られてたの……? ど、どうしよう……!)
クラスメイトたちは悪気なく笑いながら続ける
クラスメイトA「佐々木さん、意外と積極的なんだ〜」
その瞬間、双葉が教科書を閉じて席を立つ。普段おっとりしている彼女の目が、きりっと鋭くなる
双葉「……ねえ、それ、やめてくれない?」
教室が一瞬静まり返る。双葉はクラスメイトをまっすぐ見つめて続ける
双葉「からかって面白がるのは簡単だけど、言われるほうの気持ち、ちゃんと考えて?佐々木さん、困ってるでしょ」
双葉の声には怒りというより、強い意志がこもっている。クラスメイトたちは気まずそうに顔を見合わせ、軽く笑ってごまかす。
クラスメイトB「……ごめん、そんなつもりじゃなかったんだ」
クラスメイトが去って行き静けさが戻る。朱里は俯いたまま、胸がいっぱいで声が出ない
朱里「……あの……」
双葉「大丈夫。私は、嫌なことは嫌だって言うから」
朱里の目にじんわりと涙が浮かぶ。
朱里(……こんなふうに、わたしを守ってくれる人がいるなんて……。
永瀬さんがそばにいると、怖いことも少しだけ怖くなくなる……)
朱里が席に着く。周囲にはいつも通りのざわめきがあるが、隣の席が空いている
朱里(……永瀬さん、まだ来てない……?)
チャイムが鳴っても双葉の席は空いたまま。先生が出席を取り始める。
先生「永瀬は体調不良でお休みだ」
その言葉に、朱里の胸がきゅっと締めつけられる。
やがて授業が始まる、黒板に文字が並び生徒たちの筆記音が響く。朱里はノートを取りながら、隣の空席が気になって仕方がない。
朱里(いつもなら……“一緒に見よ”って言ってくれるのに。
わたし、ノートが追いつかないときも、永瀬さんがそっとフォローしてくれて……。
隣にいないだけで、こんなに心細いんだ……)
ノートを取る手が震え、文字が滲む。無意識にため息が漏れる。
昼休みの教室の片隅。クラスメイトたちが集まって楽しげに弁当を広げている。朱里は自分の席で小さく弁当箱を開く。
朱里(……昨日までと同じ教室なのに、全然違う場所みたい。
永瀬さんが“おいしそうだね”って笑ってくれるだけで、わたしは安心できてたんだ……。
一人でいるのは慣れてたはずなのに……どうしてこんなに寂しいんだろう)
ふと、弁当の中身が霞んで見える。涙をこらえるように俯く朱里。
放課後になり、夕暮れの家路を一人で歩く朱里。いつもの並んで歩く人影はない
朱里(……“一緒に帰ろう”って言ってくれる声もない。
ただ静かで、空っぽみたいで……。
わたし、本当に何もできないんだ。永瀬さんがいないだけで……)
胸に手を当て、小さく呟く。
朱里「……会いたいよ……」
朱里の部屋。ベッドに座り、スマホを握りしめている。画面には「永瀬さん、体調大丈夫?」と短いメッセージ。
朱里(……送っちゃった……。でも……返事、来ない……。
迷惑だったかな。私なんかから連絡しても……)
ひたすら時間が過ぎていく。画面を何度も何度も見直すが通知は来ない。時計の針はすっかり零時を指している。
朱里(気になって、眠れない……。どうしてだろう……こんなに胸が痛いの……)
やがて夜が明け、朝の通学路にて夜更かしで目の下に少し影を落とした朱里が、高校までの道のりを歩いている。しかし、前方に見慣れた後ろ姿が見える。
朱里(……永瀬さん……!)
昨日までなら自分から声をかけられなかった。でも今日は足が勝手に早まっていく。
朱里「……な、永瀬さん!」
自分の口から名前が飛び出した瞬間、胸が高鳴る。双葉が振り返り、驚いたように目を見開き、そしてすぐに優しい笑みを浮かべる。
双葉「あ……朱里ちゃん。おはよう」
その声を聞いた途端、張り詰めていた糸がぷつりと切れる。
朱里「……っ、よ、よかった……! ほんとに……っ」
言葉にならず、涙が溢れる。立ち止まった朱里を、双葉が驚きつつも受け止める。朱里は堪えきれずに双葉に抱きつく。
双葉「えっ……朱里ちゃん……?」
朱里「だって……返事がなくて……ずっと心配で……!
居なくなるんじゃないかって……すごく、怖くて……!」
声を震わせ、涙を肩に落とす朱里。その必死さに胸を打たれ、双葉も目尻を潤ませながら抱き返す。
双葉「ごめんね……熱で寝ちゃって、スマホ見られなかったの。
……でも、こんなに心配してくれて、ありがとう。すごく、嬉しいよ」
互いに強く抱きしめ合い、通学路のざわめきも霞む。涙の温もりと鼓動だけが、二人の距離を確かに近づけていた。
教室。春の柔らかな光が差し込む。朱里は机に肘をつきながら、必死に目をこすっている。
朱里(……ねむい……夜、ほとんど眠れなかったから……。
でも、ちゃんと授業聞かないと……)
目を閉じかけては、はっとしてノートを取るが、文字はふらふらと曲がっている。
隣の席の双葉はそんな朱里の様子を横目で見て、そっと小さなため息をつく。
双葉(……ほんとに、心配で眠れなかったんだね。
無理しないでいいのに……)
双葉はノートを少し朱里の方へ寄せて、朱里が写しやすいようにする。そのさりげない仕草に、朱里は小さく頷き、頬を赤らめる。
午前の授業を終えた昼休み、人目の少ない木の下。二人は並んで腰を下ろして弁当を広げる。
双葉「……無理してない? 午前中ずっと眠そうだったよ」
朱里「……ごめん……昨日、気になって全然眠れなくて……」
照れくさそうに俯く朱里を見て、双葉はそっと微笑む。そして言葉を選ぶように優しく言う。
双葉「じゃあ……少し休んだら? 私が見てるから」
朱里は一瞬ためらうが、やがて小さく頷く。そしておずおずと双葉の肩に寄りかかる。
朱里「……少しだけ……甘えてもいい?」
双葉「もちろん」
朱里は目を閉じ、双葉の肩にもたれてゆっくり呼吸を整える。安心しきった表情に変わり、すぐに寝息が聞こえ始める。
双葉(……こんな顔、初めて見る。
頑張ってばかりの朱里ちゃんが、安心して眠ってる……。
……ずっと、守ってあげたいな)
木漏れ日の中で、二人だけの穏やかな時間が流れていく。遠くの喧騒がまるで別世界のことのように静まり返っていた。