NokiMo
サトー
サトー

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『ヒトグイ』下(未完)

 ――クソ、暴力がキモチイイなんて、兄貴かよ……  俺はそこで我に返ってチンポを扱いていた手を止めた。飛び散った精液をトイレットペーパーで拭い、元通りボクサーパンツを上げて制服のスラックスのベルトを留めた。精液で濡れた生地の感触が気持ち悪い。骨格そのものが少し大きくなったんじゃないだろうか、筋肉でウエストが太くなってベルトを留めるのが苦しい。サイズのきつくなったスラックスではチンポの膨らみがより目立ち、だがギチギチに勃起したそれは収まる気配がない。ここでじっとしていてもムラムラするだけなので、とにかく家に帰ることにした。  唯一の救いは、祖父母は今日の昼から明々後日の昼まで旅行に出ているため、家には弟しかいないということだった。  俺は公衆便所を出て、日が暮れて暗くなったテニスコートの横を過ぎる。狩野もさすがに帰っていったようで、煙草やライターの散乱している場所に近づくと、点々と黒くなった鼻血の跡が残っていた。血の痕跡を見た瞬間、ざわ、とふたたび心が騒いだ。狩野を何度も殴りつけた時の感触、そして自分が物凄い力を手に入れたような万能感が甦り、俺はスラックスの上からぎゅっと股間を握ってしまう。ドクッ、ドクッ、と胸が高鳴り、興奮のあまり手が震える。ハアッと深い息を吐いて目を瞑った。  ――アアモ、ヤッべ、すっげェヌきてェ……  欲望に流されるままにヌいたら兄貴にますます近づいてしまいそうで、どうにか自制して押さえつける。俺は性欲を発散するように自転車を必死で漕いで全速力で家に帰った。いったいどこで遊んでいるのか、聖也はまだ帰宅していなかった。俺は制服を着替えることもせずに二階の部屋に駆け込み、「アアーッ、クソッ、クソがッ!!」と叫んで布団の枕を殴りつけた。狩野を殴りつけた時の映像と感触、そして病的な高揚感に襲われ、だがそんな兄貴を思わせる暴力的な要素が自分の中にあるのが許せず、俺はしばらく枕を殴り続けていた。ああ、これが狩野だったらメチャクチャ興奮するのになァ、という考えが脳裏を掠め、その瞬間、ドクンッ、と腰が動き、チンポに触ってもいないのに射精していた。ボクサーパンツとスラックスの内側に生暖かい精液が流れる。  ――あれ? 俺、今、なんて思った……? 《は? すっ呆けんのか? これが狩野だったらメチャクチャ興奮するなって思ったんだよ》  頭の中にもう一人の自分の声が鳴り響く。  これは何だろうかと思いつつも、「いや、いや、何、言ってんだよ……」とか細い声で反論する。頭がフリーズしたように固まってしまい、ただ扱いてもいないのにイッてしまった自分に呆然としていた。射精の快感は収まることがなく、俺は布団の端を握りながら「ふゥーッ、ふゥーッ、」と息を荒げていた。 《今まで散々いじめられて疲れたよな。これからは自分を解放していけばいい。本来の姿に戻っていいんだ》  本来の姿、という言葉を聞いて、意味も分からないままにゾクッと興奮している自分がいた。  俺の、本来の、姿……? 《本当は、兄貴みたいになりてェんだろ? 何もかも柵から脱け出して、自分の凄さに酔いたいんだろ?》 「そんな訳、ねえだろ。兄貴みたいになるくらいだったら、死んだ方がマシだ。あいつのせいでどれだけ苦しんで来たと思ってるんだ!!」 《ハハ、お前が闘っている相手は何だ? 今までモラルを守って、自分の正義を貫いて、得したことが一度もあったか? いつも得しているのは、モラルや正義を無視して、自分の欲望のままに相手を操ろうとする玉川や狩野のような連中だろう? そう、お前がやってきたことは全て無駄だったんだよ》 「ふざけるな! あいつらと同じ道を辿るなんて絶対に嫌だ!」 《そう言いながら、お前はどうして狩野を殴った時のことを思い出してチンポを握ってんだよ?》  俺はその言葉に胸を抉られて絶句した。  ちょうどその時、俺はスラックスの上からチンポを握って擦っていたからだった。 「……仕方ねェだろ、気持ち良すぎて、止められねェだ……」 《ハハハッ! 気持ちが良い? それって俺の言うことを認めたようなもんだろ? そうだよ、気持ちが良いんだ。お前はこれまで気持ち良いことを我慢してきただろ? これからは、自分の気持ち良い道に進めばいいんだ。それのどこが悪いことなんだ?》 「いや、だってそれは、社会的に駄目、なことだって……」  そう答えながら、それが俺にとっての本当の理由なのだろうか? という疑いが芽生える。モラルを守って、正義を貫いて、そうやって生きていけば、俺を目の敵にしている母親から認められる日が来るんじゃないか、そんな漠然とした淡い期待が自分の中にあったことに気がついた。 《社会的に良しとされることをして来て、お前はこれまで救われたことがあったか?》 「……分からねえ、分からねえよッ、クソッ、」  これまでの記憶が一挙に甦り、心の奥底からどす黒い怒りが込み上げる。  俺は今まで何と闘ってきたんだろう。  俺は今まで何を我慢してきたんだろう。  母親なんて大嫌いなはずなのに、その母親に愛されたいという執着が自分の中にあることを知って驚く。その驚きはたちまち激しい怒りに変わり、「ふざけやがって……」という震えた声が口から洩れた。玉川にしろ、その取り巻きの狩野たちにしろ、弟の聖也にしろ、俺をひたすら馬鹿にして見下してくるクズ野郎じゃないか?  俺は、どうして、こんなクズどものために我慢しなきゃならないんだ?  心の奥底に眠っていた怒りは留まることを知らず、クソッ、クソがッ、と叫びながら、ますますそれは加速していく。  今まで押し殺されてきた感情をガソリンとし、自分の中にむくむくと爆発的なエネルギーが湧き上がる。 「ふざけんな! ふざけんな! ふざけんじゃねえ!!」  今まで俺は自分の意思で動いてきたつもりだったが、その自分の意思は、今まで周囲から受けた影響によって大きく歪まされていたのかもしれない。そんなゾッとする考えが脳裏を過ぎり、復讐、という言葉が浮かび上がる。  もしかしたら、魔人と化した兄貴も、俺と同じような苦しみを負っていたのかもしれない。そう思うと、あれほど憎かった兄が好ましい存在に見えてくるのが不思議だった。 《それがお前の答えなんだな?》  頭の中でもうひとりの自分の声がくつくつと低い笑い声を上げ、俺は、ああ、と答える。 「もう、我慢はヤメだ。俺をッ、いじめた奴らをッ、見返してやりてェッ!! 俺の方が圧倒的に強ェんだッて、あいつらの身体にッ、メチャクチャに教え込んでやるッ!!」」  俺は布団から立ち上がって叫び声を上げた。カチャカチャとスラックスのベルトの留め具を外し、大量の精液でグチャグチャに濡れたボクサーパンツを下ろすと、バチンッ、と硬く勃起したチンポが反り返って下腹を弾いた。勃起したチンポは根元の部分が根元の部分がぼこんと膨らむ。直後、自分の中でマグマのように渦を巻く激しい怒りを発散させるように、パンパンに膨らんだ亀頭と竿を震わせ、今までにない量の精液をぶち撒けた。 「あァァ……」  かつて経験したことのないエネルギーの放出に、足元がぐらりとして眩暈に襲われる。イッたことで性欲が収まるかと思われたが、ズクンッ! ズクンッ! と下腹部の熱源からエネルギーの満ちていく感覚とともに、すぐに睾丸に精子が補填されてパンパンになるのが分かり、足先から腰の辺りに掛けてゾクゾクとして性欲がふたたび湧き上がる。 「ァッ、アアッ、スゥッッッッゲェッ! 何だ、これ、」  ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ! 撃ち抜くような激しさで心臓は脈を打ち、俺は胸の鋭い痛みに歯を食い縛る。何かぽたぽたと音が聞こえるなと思ったら、身体中から噴き出した汗の粒が畳に滴る音だった。ヒューッ、ヒューッ、と歯と歯の隙間から息が洩れ、大きく上下する肩の動きに合わせ、骨と筋肉がミシミシと軋みを上げる。激しい快感と同時に想像を絶する痛みに貫かれ―― 「うッ、ァッ、ァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア――ッッッ!!!!」  俺は喉を絞り尽くすような悲鳴を上げた。ゴキッ、ゴキッ、ビキッ、ゴキンッ、と不穏な軋みを上げ、全身の骨格は拡大・伸長されていく。頭蓋が割れるような激しい痛み、背骨はガチガチと震えるように波打ち、肋骨や肩甲骨は強引に抉じ開けられるように広がり、腕や脚の関節やギシギシと蠢き、よりダイナミックかつ強靭な骨へと造り変えられてゆく。 「もっと、俺はッ、格好良くなりてェ!! 本来の姿にッ……兄貴みてェにッ……いや、兄貴なんかより、もっとッ、もっとッ、スッゲェ雄に、なりてェェンダアアアアアアアアアァァァァッッ!!!」  胸と肩と腕と背中の筋肉がミシミシッ、ミシッと盛り上がり、カッターシャツのボタンがバチッ、バチッと弾け飛ぶ。ブレザーの肩と腕と背中の裁縫はほつれを見せ、カッターシャツと肌着のTシャツもパツパツに押し上げられた後、胸と背中から生地がビリビリと裂けて畳に散った。身に纏っていた制服と肌着から解放された瞬間、まるで長年の呪縛から解き放たれたような強烈な快感が迸り、俺は布団にしがみつくようにしゃがんでがくがくと膝を震わせながら夥しい精液を噴き上げた。兄、いや、魔人の姿が何度も瞼の裏でちかちかと点滅し、睾丸を締め付けられるような欲情を掻き立てられる。気がつけば、俺は飛び散った自分の精液を指を取って舐めていた――そう、自らの精液を飲めば、ますます兄の姿に近づけると言わんばかりに……。精液を舐め取ると舌には中毒性のある甘みが広がり、それは脳髄の蕩けるような独特な高揚感を伴った。高揚感はビリビリと全身を駆け巡り、俺は「ハアッ、ハアッ、モット、モットだ……」とぶつぶつ呟き、腹の底から爆発的に湧き上がるエネルギーを我が物とせんばかりに、ふたたび立ち上がって胸の前で腕を広げてグッと力を込めて咆哮した。 「モットッ! モットモットッ! イキテェンダアアアアアアアアアアアアアアァァァァ――ッッ!!!」ドシュ!!ドシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥ――!!!!  その咆哮に応えるように、胸筋はグッグッと更なる厚みを増し、肩には山のような筋肉が上乗せされ、腕はひと回りもふた回りもぶッ太くなり、腹筋には六つの割れ目がくっきりと浮き出し、背中は大きな広がりを見せた後に鬼の顔が現れ、太腿は幾重もの筋肉のラインが浮かんでパンパンに膨らみ、脹脛は角材が入ったような盛り上がりを見せ、尻はきゅっと引き締まって左右にわずかな凹みが現れた。手で扱いていないのにも関わらず、チンポからは常人離れした勢いで精液が噴き上がる。パンパンに膨らんだ竿には幾重にも太い血管が絡みつき、亀頭は色の濃い精液に濡れてらてらと蛍光灯の明かりを反射し、勢いよく射精する度、チンポはギチギチと小刻みに震えながら、臍を越える長さと太さを湛えた逞しいイチモツへと成長してゆく。睾丸がぐみぐみと蠢く感覚とともに、陰嚢もまたずっしりと重量感を増してチンポに見合う大きさへと垂れ下がる。  その時、どたどたと階段を駆け上がる足音が近づき、バンッ、と勢いよくドアが開かれた。 「おいッ! クズ汰ッ! さっきから五月蠅ェんだよッ!!」  弟の聖也だった。  自らの新しい姿に夢中で、弟が帰って来ていたことに全く気がつかなかった。学ラン姿の聖也は俺の姿を見るなり目を丸くして後退り、「え? え?」と困惑した表情を浮かべた。部屋中に飛び散った夥しい精液と、以前の面影のない圧倒的なガタイを手に入れた俺を交互に見て、「え? 何? 何? え? クズ汰、なのか……? 嘘だろ、え? 意味分かんねェ……」と呟いた。俺を見上げた目には、明らかな怯えの色が滲んでいた。弟とはあまり背丈に差はなかったが、今では俺の方が遥かに凌ぎ、何でこんな相手に馬鹿にされていたんだろうと不思議になる。筋肉の鎧を纏い、背丈も飛躍的に伸び、それまでの世界とは、何かもが違って感じられた。腕を動かすと胸筋や背中の筋肉ともぞもぞと触れる。まるで自分が新たな存在として生まれ変わったような開放感を、深く息を吸い込みながら味わった。 「なあ、お前、兄貴のこと、大好きだっただろ?」  俺は弟に語り掛けた。  弟は、何を言っているんだ? と言わんばかりのぽかんとした表情を浮かべている。 「なあ、スッゲェだろ? これが俺なんだぜ? ヤベェだろ? これでお前も、俺のこと、兄貴って認めてくれるか? ずっと強い兄貴が欲しかったんだろ?」  そして俺は口の端が裂けそうな笑みを浮かべながら、弟の方へ近づいた。  ビクッ、と聖也は肩を震わせて逃げようとした。 「おいおい、慌てんなよ」俺は聖也の腕を引っ張り、強引に学ランと下着を脱がせて、そのまま腋の下に手を回して身体を持ち上げた。「うッ、わあッ、あッ、」聖也は間の抜けた悲鳴を上げた。駅弁と似た態勢で、俺は立ったまま聖也のケツにギチギチに勃起したチンポを押し当てる。嫌がる聖也の口の中に自分の舌を捻じ込み、くちゅくちゅと唾液を鳴らしながら無理やり濃厚なキスをした。 「――ップハッ、ハァッ、ゴホゴホッ、ゴホッ、」  あまりに長いあいだ舌を絡ませていたものだから、唇を離した途端に聖也は苦しげな顔で激しく咳き込んだ。だが俺は聖也の苦しげな顔を見てチンポがヒクヒクと反応するのを感じ、ケツの穴の周りにぐりぐりと先走りに濡れた亀頭を押し当てた。締まりの良いアナルをチンポの先でぐっと圧迫し始めると、「はッ?! えッ、ありえッ、ねェッ、」と聖也は泣き出しそうな顔で慌て出した。「おいッ、クズ汰ッ、ふざけんじゃねえッ、お前マジで何やって――」この期に及んでも尚、弟は俺のことをクズ汰と呼ぶらしい。聖也は身を捩って俺の手から逃れようとするが、この圧倒的な体格差に敵うわけがない。  取り乱し憔悴しきった聖也の顔を見て、俺はふっと鼻で笑い、アナルにチンポの先を押し当てたまま奴の腰を両手で掴んで俺の方へ引き寄せた。人間として規格外の長さと太さを得た俺のイチモツは聖也のまだ指を入れたことすらないだろう若いアナルを強引に抉じ開け、メリッ、ズプッ、ズプズプズプッ、と一気に根元にまで挿入された。聖也の内部の肉壁によってぎゅうぎゅうとチンポが扱かれる刺激に、俺は足先からゾクゾクと快感が突き上げるのを覚えた。 「イギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」  聖也は勢いよく挿入された衝撃から絶叫し、じたばたと手足を動かして逃れようとする。俺は、「うっせェんだよ」と低い声で言って弟の頬を拳で打った。ゴキッ、と骨に響く音が鳴り、弟は肩をぴくぴくと震わせて白目を剥いた。あまり力を込めたつもりはなかったが、どうやら弟にとってはかなりの衝撃だったらしい。俺は弟を抱き上げたままチンポを奥へ奥へと限界まで押し込んでいく。すると弟の下腹部はボコンッと俺のチンポに圧されて僅かに盛り上がり、ブチブチと肛門の切れる音とともに生温かな血のようなものでチンポが熱く濡れるのを感じた。 「あーッ、すっげッ、お前ん中、すっげェ気持ちイイよ」と呟きながら、俺はガクガクと腰を震わせて盛大な射精を繰り返した。ビュルッ、ビュルルルルルルルルルルルルッ、ビュルルルルルルルルルルルルルッ。チンポと肛門の隙間から聖也の直腸に入り切らなかった精液がどろどろと流れ、血と混ざって赤味を帯びた粘り気の強い液体が内腿を伝った。 「ァ、兄ちゃん、ごめ、ん……ごめん、兄ちゃん、ごめん……」  今にも意識の飛びそうな青白い顔で聖也はぶつぶつと呟いた。弟が死にそうな声で謝罪を繰り返すのを聞いて、自分の胸にどす黒い感情が広がっていくのを感じた。今の俺にはどす黒い感情は最高のご馳走だった。ぎゅうっと金玉を締め付けられるような欲情を覚え、俺は聖也を布団に下ろして馬乗りになった。そして、ギシッ、ギシッ、と聖也の身体を押し潰す勢いで力と体重を掛けて腰を振り、何度も聖也の顔にキスをしては、 「なあッ、分かるだろ? 兄ちゃんは、お前のこと、こんなに愛してんだよ……ッ! 愛してるッ! 聖也ッ! ァアッ! 愛してるッ! 愛してるッ! 愛してるッ! 愛してるッ!」と叫び続けた。誰かを愛するとはこういうことだったのか? と俺はぼんやり思いながらも、ただ本能に従って心に浮かんだことを叫び続けた。「フゥーッ! フゥーッ! ァアアアアアアアーッ!! どうしよッ、聖也ッ! 俺ッ、ァアアアッ!! ヤッベッ、もうッ! 止まらッ、ねェーッ!! 愛してるッ! 聖也ッ! お前もッ、俺とひとつにッ、なりてェーよなッ!!」  ドクンッ! ドクンッ! と自分のチンポが聖也の中で更に大きくなってメリメリと肉壁を押し上げる音が聞こえ、だが大きくなっていくのはチンポだけではなかった。ビキッ、ビキッ、ゴキッ、ミシミシッ、と音を立てながら更に身長は伸び、更に筋肉は盛り上がっていく。これ以上デカくなったら人間でさえなくなっちまう、という恐怖が一瞬だけ脳裏を過ぎったが、勝手に自分の肉体がどんどん強化・改造されていく様は背徳的な快感でもあった。ぶわッと全身から汗が噴き出す。頭の天辺から足の爪先まで電気が走っているかのようにビリビリした痛みが走り、目の奥ではちかちかと極彩色の光が点滅し、自分に何が起こっているのかも把握しきれない。だが心臓の鼓動とともに絶えず突き抜ける強烈な快感は、それらの感覚を全て上書きしてくれた。  俺の胸には蜘蛛の巣を思わせる幾何学模様がはっきりと浮かび上がっており、その中央にうっすらと裂け、そこから煌々と深紅の光を放つガラス玉が顔を出した。蟀谷には刺されるような痛みが走り、額の髪の生え際の両端に生えていた僅かな突起が熱を帯び始め、それは皮膚を引っ張られるような感覚とともに悪魔を思わせる禍々しく逞しい角へと成長した。ビクビクビク、と腰が震え、尾てい骨の辺りに毛虫の蠢いているような不快感を覚えた直後、そこからぐっぐっと蛇を思わせる鱗の質感をした太い尻尾が生え出した。  ズクンッ!! と俺のチンポは聖也の内臓を抉るように大きく震え、  ドシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥ――ッッ!!!!  聖也の下腹部はさっきの比ではなく、子供でも孕んだかのようにパンパンに膨らんでいく。俺が射精する度に、聖也のアナルからは、ゴポッ、ゴポッ、とマンホールから雨水が押し上げるような音が上がる。俺は腰を動かす度に自分のデカくなったチンポでゴリゴリと聖也の内側を抉っているような感覚がし、どうやら大きさだけでなく形状まで変化し、カリの部分に鉤のようなものがびっしりと生えているようなのだった。「ゥッ、ウッ、ゥァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ――ッ!!!!」俺は雄叫びを上げながら欲望のままに腰を振り続け、聖也は白目を剥いたまま身体を痙攣させた。射精する度に俺の全身の皮膚は紫がかった濃灰色に染まっていき、手足の爪は鋭く肉厚なものに変わり、犬歯もまた野獣を思わせる凶悪さを手に入れた。その頃には進化に伴う激痛もまた強烈な快感に感じられ、俺は唇の両端が裂けそうな笑みを浮かべながら凶器と化した全身で弟を容赦なく犯し続けた。どれくらい犯し続けていたのだろう、気がつけば俺は弟の首に喰いついていた。  鋭く伸びた犬歯で聖也の皮膚を突き破る、その瞬間全身の毛穴がぶわっと開くような心地良さを覚えた。俺は噴き上げる鮮血を浴びながらも笑いを止めることができず、今はもう息をしていない死体に移り変わった弟へと一方的に話し掛けた。 「アハッ、ァアアーッ、スッゲェッ、スッゲェよ、なァッ、聖也……ッ! ほら、スッゲェだろ、お前のおかげで、俺はッ、アッ、アアッ、たまんねェーッ!!」  肉をひと口ずつ喰らうごとにドクンッ! ドクンッ! と胸が高鳴り、それは長年自分の中で押さえつけてきた何かが解放されていくような快感だった。俺は聖也の膝の関節を押さえつけ、ゴキンッ、と逆方向に折り曲げるようにして引きちぎり、てらてらと輝く肉の剥き出しになった脛に口をつけて血を啜った。あれ? 俺、人間をこんなに簡単に解体できるって、どんな怪力になってんだよ……? という不思議な感覚に陥ったが、そんなことは食人の快感に比べたら些細なものだった。俺は夢中になって胸の肉、腹の肉、太腿、脹脛、余すところなく肉を喰らって血を啜り、そのことによって全身に満ち溢れる新たな力にクラクラした。  立ち上がると、天井に頭が触れた。 「ああもう、こんなにデカくなっちまったら、人間に戻れねェなァ……」  俺はそう呟いてクツクツ笑った。  今まで経験したことのない視点の高さに、全てが新鮮に感じられた。化け物級に背が高くなっただけでなく、化け物級にガタイがデカくなっていたため、体重も相当なものになっていた。ボロ雑巾のようになった弟の死体を放置して階段を下りると、踏み板は一段ごとにギギギ、ギギギ、と今まで聞いたことのない悲鳴を上げた。シャワーで全身にこびりついた血や細かな肉片を洗い流そうと、俺は鼻歌を歌いながら一階の風呂場に入った。  風呂場は他よりも天井が低いため、常に身を屈めていなければならないほど窮屈だった。それでも時間を掛けてひと通り身体の汚れを落として風呂場を出、タオルで水滴を拭いながら洗面所の全身鏡の前に立った。洗面所の全身鏡でもデカくなった肉体を映し切ることはできず、どうしても途切れてしまう。壁際に後退して床に膝を突くことで、ようやくそのフレーム内に全身を収めることができた。  俺はそこで改めて自らの新しい姿を見つめた。  まず驚いたのは双眸だった。瞳は狂気を孕んだ緋色に輝き、結膜は黒に染まり、人間離れした尋常でない印象を与えていた。額の両端からひび割れた樹皮のような質感の真っ黒い角が屹立しており、ニイッと口を開くと異様に発達した犬歯が覗いた。皮膚は紫がかった濃い灰色に染まり、そのせいで気づくのが遅れたが、チクチクと硬い顎髭が揃っていた。俺はもともと体毛が薄い方だったので、こんなにはっきりと顎髭が生えるのは初めてだった。顔立ちはシュっとして子供っぽさが抜け、表情には今までなかった男らしい自信が満ち溢れ、ガタイのデカさも相俟って、二十代と言われても全く違和感のないほど大人びていた。 「はァッ――」  俺は熱っぽい溜め息をつき、今の自分の肉体が現実のものか確かめるように手でなぞった。分厚く盛り上がった胸筋を撫でると、胸の中央の辺りからはそれまでなかった濃く短い体毛が生えている。体毛はくっきりと六つに割れた腹筋の溝に沿って続き、陰毛の茂みと繋がっている。筋肉が発達し過ぎたせいで撫で肩になり、腕は何かも薙ぎ払えそうにぶッ太く、背中は大きく左右に張り出して鬼と呼ぶに相応しい形相が浮かび、尻は引き締まり、太腿は左右の脚が互いに触れるほど筋肉がモコモコと盛り上がり、脹脛もまた見違えて逞しくなっている。 「はァッ、スゲェッ、俺ッ、カッケェッ! カッケェ!! ァッ、」  俺は陰毛を掻き分けるように反り返ったチンポの根元を片手で握り、叫びながら激しく上下に扱いた。臍を越える長さに、手首ほどの太さを湛えた立派過ぎるイチモツ。その大きさに間に合わせるように陰嚢もまたずっしりと重みを増し、大量の精液を貯蔵してパンパンに膨らんでいた。チンポの形状に獣じみたニュアンスを与えられ、カリの下部にはびっしりと無数の棘が生え揃っている。そんなものを扱くのは普通の人間の手なら血まみれになってもおかしくないが、魔人と化したことで皮膚は強化され、更にはどこか爬虫類を思わせる質感へと変化していたため、いくら鋭い棘に手が触れても怪我を負うことはなかった。棘もまたひとつの性感帯になっているようで、手の平に擦れる度になぜか頭の後ろにゾクゾクするような快感が走る。  俺は恍惚としながら絶叫し、ドクドクドクッ、と手のひらの内側で硬く勃起したチンポは大きく脈打った後、その鈴口からは最初と変わらぬ凄まじい勢いで大量の精液が噴き上がった。 「あーあ、身体を洗ったばっかりなのに……」  俺はそう呟きながらも満更ではなく、口の端に笑みを浮かべながら自分のチンポを扱き続けた。精液は白色からうっすらと灰色がかっており、射精を重ねる度に皮膚に近い紫がかった濃灰色へと変化していく。反り返ったチンポから噴き出した精液は、さっき風呂場で洗ったばかりの胸や腹や肩や太腿などをあっという間に黒く汚していく。俺は自分の肉体が内側から全て魔人として生まれ変わったことを確信し、人間を辞めたのだという喜びを感じた。紫がかった濃灰色の精液は粘り気が強く、高粘度なローションのようにチンポに執拗に絡みつき、長い長い糸を引いてゆっくりと床に垂れていく。  そうだ、と俺はそこであることを閃く。俺は兄貴から魔人のエキスを注がれたことで魔人となった。ならば、自分の尻尾を自分の肉体にぶっ刺して魔人のエキスを注いだらどうなるんだろう……? 考えるだけで興奮して心臓の鼓動が速まり、チンポは限界まで硬くなって鈴口からドロドロした先走りを溢れさせた。俺はくいっと尻尾に力を入れて持ち上げ、自分の背中にその先端を近づけ、刺した―― 「ふゥ、ゥ、」  尻尾の鋭い先端を刺された箇所はじんわりと熱を帯びた。魔人のエキスと呼ぶに相応しい液体を注ぎ込むと、そこから痺れたような感覚が広がり、初めて変身を遂げた時のように体温が急激に上昇し始め、汗が吹き出し、膝ががくがく震えた。それもやがて、ドクンッ、ドクンッ、と心臓の鼓動とともに魔人のエキスが身体に馴染んでいく感覚がし、すると全身の皮膚が性感帯になったかのようにヒリつき、強烈な快感に貫かれた。 「何だよこれッ、俺ッ、イッ、ギィ、ギィァアッ、ンアアアアアアアアアアアッッ!! ヤッベッ、アァアッ、イッ、ギッ、ギモヂイイイイイイイイイイイイイイイイイイィィ―― ッッ!!!!」  興奮の度合いが頂点に達した瞬間、がくんと電源の落ちたように身体から力の抜ける感覚がし、俺は意識を失っていた。 「あ……?」  目を醒ますと、俺は人間の姿に戻っていた。  洗面所の床から身を起こして立ち上がって鏡を見ると、魔人としての身体的特徴(鋭く伸びた八重歯、胸に浮かんだ蜘蛛の巣を思わせる幾何学模様、胸の中央の煌々と深紅の光を放つガラス玉、禍々しく逞しい二本の角、蛇を思わせる鱗の質感をした太い尻尾……)は消えており、皮膚もまた元の肌色に戻っていた。だが、それは、俺が魔人となる前の元の姿に戻った、という意味ではなかった。身長は低くなってはいたが、それでも二メートル前後はあり、筋肉量もまた減っていたが、それでも海外のフィジーク選手に並ぶようなデカさを誇り、ただのいじめられっ子でしかなかった過去の面影はどこにもない。人間に戻ってしまったのは残念だが、今の姿も自分で惚れ惚れするほど格好良く、悪い気はしなかった。 「ハハハ、ホント、まだ夢ん中にいるみたいだ」  俺はボソッと呟き、階段を上って自室のドアを開けた。  むっと血腥いニオイが鼻を突く。かつて弟だった残骸は、カーテンの隙間から洩れる朝陽に照らされていた。夢ではないのだ。弟の上半身は学習机の影に放り投げられ、ぐちゃぐちゃになった内臓から暗い血溜まりが広がっている。顔は苦痛と恐怖に歪み、血の飛び散った頬には涙の乾いた跡があった。自分でやらかしたと言えど、凄惨さを極める光景だった。かつての自分だったら、発狂して泣き叫んでいただろう。  だが、いっさいの動揺も罪悪感も、今の俺にはなかった。  むしろ弟を犯して喰った時の昂りを生々しく思い出してチンポが反応し、ムクムクと大きくなって腹に反り返る。 「愛してる、愛してるぜ、聖也、お前は本当に可愛いよ……」  俺は弟の冷たい頬に接吻し、死体の上に跨りながらチンポを扱いてあっという間に射精に至った。精液の色だけは魔人のそれから戻っておらず、ビュルッ、ビュルルルルルルルルルルルルルルルルルッ、と紫がかった濃灰色の大量の精液を弟の顔にぶっかけながら、俺の弟に対する愛が本物であることを確かめた。大事に大事に思ってるからこそ、弟が死体になっても尚こんなに愛することができるんだ、と。ズクンッ、ズクンッ、と腹の底からエネルギーが沸き起こる感覚がし、どうやら自分の肉体はまた魔人の姿になりたがっているようだった。 「やッべェーな、俺の性欲、底無しじゃねェーか」  俺はそう呟いて薄く笑い、一階に下りて再び風呂場に入って身体を洗った。タオルで身体を拭い、ドライヤーで頭を乾かしてから、ボクサーパンツを穿いた。今は勃起していないにも関わらずチンポがデカ過ぎてボクサーパンツに形がくっきりと浮かんでしまう程だった。身体そのものが以前と比べものにならない成長を遂げていたため、高校の制服は小さ過ぎて着れなくなっていた。以前ネット通販でサイズを間違って買ってしまったXLのジャージの存在を思い出し、クローゼットの奥から引っ張り出した。どうにかジャージに袖を通すことができたが、それでも丈が短く、胸や背中や腕回りはパツパツに張ってしまった。  プルルルルルルルルルッ プルルルルルルルルルッ  俺は着信音に気づき、部屋の隅に落ちていた自分のスマホを拾って電話に出た。  知らない番号だったが、不思議と勘が働いて「これは兄貴に違いない」と思った。 「よう、蒼汰」  紛れもない、それは兄貴の声だった。  兄貴の低く落ち着いた声を聞くだけでチンポが熱く反応してしまい、スマホを持っていない方の手で股間を押さえつけている自分がいた。 「お前も、ようやく本当の姿になれたんだな」  ――なあ兄貴、俺メチャクチャ格好イイ雄になったんだよ! 見てくれよ俺の身体を! 顔を! 中味を! ああッ、早く兄貴とグチャグチャに交尾しまくりてェよ!  俺はそう叫びたくなる気持ちを抑え、 「ホント、全部兄貴のおかげだよ。ありがとな」  と冷静を装って淡々と答えた。 「ちげェよ。蒼汰、お前自身の力だ。俺はきっかけを作ってやっただけで、覚醒するかどうかはお前の素質に掛かっていた訳だからな。ま、俺の見込んだ通り、いやそれ以上だった訳だが」 「それが分かるってことは、兄貴はどこからか俺のことを見ていたのか?」 「いや、あの時、俺は蒼汰に種付けしてやっただろ? その種付けした奴が覚醒したら、その時の本人の感覚が、一瞬だけ俺にフィードバックされるんだよな。まあ、魔人特有の特殊能力みたいなもんだ」 「へえ……凄いんだな」 「そこで、だ」と兄貴が言った時、電話口の向こうから「蒼汰、蒼汰なのか……? 助けてくれェッ! 今まで悪かった、全部謝るから、助けてくれェッ! 殺される!」という狩野らしき悲鳴が聞こえた。  兄貴はしばらく沈黙した後、 「そこで、だ」と何もなかったかのように同じ言葉を繰り返した。「お前が覚醒した祝いにお前をいじめていた奴らを揃えてやったから、俺と一緒に楽しもうぜ?」  ――ああッ、ああッ、兄貴はやっぱり最高だ……ッ!!  俺は歓喜のあまり涎が出そうになるのを飲み込み、 「どこに行けばいい?」  と尋ねた。  兄貴が指定した場所は、山奥の廃屋だった。  そこには魔人化した兄貴と、杉の幹にロープで縛りつけられたいじめっ子達が待っていた。 「やっと来たか」兄貴はクチャクチャと何かを咀嚼しながら言い、ぺっと萎んだ目玉を吐き飛ばした。「人間の時でもこれか……蒼汰、お前、凄くなったな」ジャージ姿の俺を上から下までじっくりと嘗め回すように見つめ、うっとりと目を細めた。足もとには浜田と横山らしき喰い荒らされた死体が散らばっており、兄貴は言い訳するように「お前が遅いから我慢できなくて二人喰っちまった」とつけ足した。  狩野は憔悴し切った顔でガタガタ震えながら、生まれ変わった俺を茫然と見上げた。よく見ると狩野の制服の股間の辺りは黒く濡れ、小便を漏らした跡があった。その隣の樹には生気のない顔で俯いている玉川が縛られており、更にその隣の樹には病院から連れ出されたのか水色の患者衣を着た中学生くらいの男子が縛られていた。これは誰かと兄貴に質問する前に、狩野が掠れ声を上げた。 「お、岡本? お前、岡本、なのか……?」 (続く・未完) 追伸: 前回の投稿で告知した通り、今回が一時停止の最後の投稿となります(詳しくは前回の投稿「ファンボックス一時停止のお知らせ」をご覧ください)。現在のところ再開時期は未定です。今までご支援くださった皆様に感謝いたします。ありがとうございました m(__)m サトー

Comments

こんにちは。しばらく確認していなかったせいで返信が遅れてしまいました、申し訳ありません! 「普通の青年が、凄まじい肉体と巨大な生殖器に溺れていく様が堪らないです!」という文章を読んだだけでちょっと興奮してしまいました笑 性癖の近い方に喜んでいただけて光栄です!自家発電のネタというのは一番嬉しいコメントです😆 Twitterでも告知させていただきましたが、無事転職し、時間にゆとりができたので5月を目処に再開する予定です。その時はまた応援いただけると幸いです!!☺️

サトー

こんにちは、いつも自家発電のお世話になってます! 普通の青年が、凄まじい肉体と巨大な生殖器に溺れていく様が堪らないです!もっと…もっとでかく。ぁー自分もなりてえw お休みされるとのことで、一時ご支援をストップさせて貰うのですが、再開されましたらぜひまた応援したいです! 自分もこれまでの作品が筋トレのモチベになってるので、お願いですので消さないでください!笑 ではでは…世間はこんな近況ですので、お気をつけくださいませ!(もはやウイルスも肉体の糧に…!

ありがとうございます!とても嬉しい感想です!! また復活できたときはよろしくお願いします😊

サトー

魔人化サイコーッス!とりあえず一発イってしまいました。 サトーさんのエロ小説には何度もお世話になりました。お休みされるのはとても残念です。 これまでの作品で、これからもシコシコさせていただきますので、消さないでくださいね!

十兵衛


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