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サトー
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『令和生誕』(下)ベータ版 ※2019/5/31続き加筆

「やめッ、ろッ、ォッ、オッ!!」激しい痛みに俺は鷹野の背中をありったけの力で何度も引っ掻くが、人間の皮膚に近い手応えがあるものの、爪が全く刺さらなかった。皮膚の性質までも《魔人》は通常の人間と異なるらしい。「うッ、あッ、あああああああああああああああああああああッッッ!!!」ドクンッ、ドクンッ、と尻尾の先端から俺の体内へと灼けるような熱い液体が注がれていき、俺は目をひん剥いて悲鳴を上げ続けた。全身からわっと汗が噴き出した。尻尾の液体を注がれると全身にメラメラと燃えるような熱が滾り、俺の意思とは関係なしに、俺のチンポはギンギンに勃起してしまっていた……。 「俺がッ、出来ること全部ッ、洋輔に注ぎ込んでやるからよ……ッ!」  鷹野は上擦った声で俺を下の名前で呼び、俺のアナルに禍々しい魔人のイチモツを近づけた。こんな棘だらけの巨大なイチモツが挿れられたら、出血死以前にショック死する。 「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!」 という俺の叫びを無視して、ズッンと、魔人と化した鷹野の巨根は俺の内部へと一気に食い込んだ。ぎゅっと目を閉じたが、予想したほどの強い痛みはなく拍子抜けした。不思議なことに尻尾を突き刺されたところもさっきより痛みを感じなくなっている。 「ははッ、尻尾の先端から痛みを緩和させる成分も同時に注ぎ込んでやってたから、大して痛くねェだろ?」鷹野の態度は、完全に上から目線に変わっていた。「洋輔はもう俺のモンだから、安心しろ、他の奴と違って大事に扱ってやるよ。そんで、もっともっともっともっと俺のモン注ぎまくって、身も心も俺から離れられないようにしてやる」  駅弁の体勢で挿入され、下腹部にボコンッと鷹野の逞しいチンポの形が浮かび上がった。鷹野が腰を動かし始めると、拷問器具のようなチンポに肉壁を裂かれる鈍痛とともに、大量の熱っぽい精液を何度も何度も打ち込まれる。俺の血と鷹野の黒い精液の混ざり合ったのがどろりと床に落ちたのが視界の端によぎると、そのグロテスクさに吐き気が込み上げる。  俺の気持ちを無視して、俺の身体は鷹野に染められるのをまるで歓迎しているかのような反応を示した――鷹野に尻尾から謎の液体を注がれる度、チンポからどす黒い精液が注がれる度、俺の身体はそれを一滴と逃さないと言わんばかりに尾てい骨の辺りの皮膚とアナルとがぎゅっと締まり、歓喜に震えるようにビクッビクッと勝手に腰が動くのだった。アアッ、アアッ、アアアアアッ、と俺は叫びながら腹の底にじわりと性的な快感が広がるのを覚え、自分が鷹野に犯されながらイッてしまったことを知った。棘で傷つけられた部分に鷹野の精液が染みると、傷が急速に修復されていくような気さえした。 「さあ、仕上げだ」  鷹野はそう言って俺の右肩に鋭い犬歯を近づけた。ハアッ、となまあたたかい吐息に撫でられながらも、俺は、高熱を出した時のようなぼんやりとした頭でいた。俺はこのまま殺されるんだろう、と他人事のように自らを思い、右肩に鷹野の毒牙がぐっと食い込む瞬間に至っても、もう《魔人》に注がれた麻酔成分のせいで苦痛もなく、ただ、頭の中には過去の記憶の走馬灯が流れていた。……   ■■■  ドクンッ ドクンッ ドクンッ ドクンッ  自分の心臓がどんどん膨らんでいく夢を見た。  激しい鼓動が頂点に達した時、俺の胸は爆発して死に至るという酷く苦しい夢。  心臓が爆発すると同時に目が醒めて飛び起きる。はあ、はあ、と呼吸が落ち着かず、胸が苦しい。  ここは、どこだ……?  俺は、清潔なシーツの敷かれたベッドにいた。ほとんど使われていないのだろうか? まるで病室のように何もない部屋だ、ベッドの他には小さなテーブルがあるだけ。カーテンの開いた窓からは黄味を帯びた朝日が射しており、自分の身体を見ると真っ黒い精液の乾いた跡がミミズのように残っていた。身体のあちこちには鈍い痛みが残っており、ふと右肩に手を遣ると歯型の傷の塞がりかけた凹凸の感触がし、昨日の暗闇での出来事が次々と脳裏にフラッシュバックする。恐怖と混乱とがない混ぜになったような感情が押し寄せ、心臓の辺りが文字通り切り付けられたように痛んだ。 「嘘だ、嘘だ……」  ベッドの上で頭を抱えて座っていると、ドアの向こうから鼻歌が聞こえた。  鷹野の近づいてくる気配に背中が強張り、腋の下や足の裏にじわりと汗が滲んだ。 「洋輔さん、もう家を出ないと会社に遅れちゃいますよ」  人間の姿に戻った鷹野ががちゃりとドアを開けて現れた。俺は「会社」の一言を耳にし、自分の中で会社に勤めている時の「仕事モード」の人格が起動するのを感じた。「会社に遅刻するかもしれない」という強い焦燥を覚え、すると鷹野に対する恐怖がすうっと薄まったのだった。 「葛原さんが着ていたやつ、ちゃんと汚れないように保管しといたんで安心して下さい」鷹野は、手にしていた紙袋から、俺の着ていたスーツやシャツやビジネスカバンや革靴や下着を取り出した。「こっからだと、三十分後の電車に乗らないと遅刻ッスね。あるいは、一緒に、サボッちゃいましょっか?」 「今、何時だ?」俺は言った。  鷹野は背後をちらと振り返り、「もう八時を過ぎてるっスねェ」。  俺は風呂場の場所を訊き出して急いで身体を洗い、仕事着に着替えて鷹野の家を飛び出した。タクシーを捕まえると鷹野も一緒に乗り込んできた。運転手に会社の名前と住所を伝えてからふうっと溜息を吐くと、隣にいる鷹野のニヤニヤした顔が見えた。こいつ……。思いっきり殴りつけてやろうかと思うほど、その時初めて強烈な怒りが腹の底から湧き上がるのを覚えた。 「俺も大概アレな自覚ありますけど、葛原さんも大概オカシイッスよね。昨日のことがあったのに何事もなかったように会社に行こうとするなんて。普通、メンタルやられて会社どころじゃなくなってるッスよ。ああ、やっぱり葛原さんは面白いなァ」 「お前のことは後で必ず警察に突き出してやる」 「ハッ、何言ってんスか? 葛原さんはもう俺側の人間に堕ちてんだって」 「ちょっと黙ってろよ……」  俺がリーダーとして引っ張って来たプロジェクトの日取りが迫っている。こんな奴のせいで俺の業績に傷をつけられることがあってはならない。出世できるかどうかが懸かっているんだ。とりあえず会社に行って、帰りにそのまま警察に向かおう。そう考えてから、男にレイプされたと警察に話すことの意味を思ってゾッとした。会社の人間に知られるかもしれないと思うと、何も俺が悪い訳でもないのに恥と屈辱に晒されるようだった。警察は駄目だ、警察じゃなくて、もっと別の方法を考えるんだ……。そんな俺を尻目に、鷹野は心底どうでもいいと言わんばかりの顔をし、何も言わず窓の方に目を向けていた。  会社に着いて朝礼が始まってから、自分の身体に違和感を覚えた。  ざわざわと腹の底から未知のエネルギーの満ちていく感覚がするのだ。元気が漲る、と言えば聞こえはいいかもしれないが、足先がむずむずし、今すぐ会社にいる人間全員をブチ殺して回りたいような衝動に駆られた。何なんだ、これは? 普段はそれなりに居心地の良さを感じている会社が、まるで監獄のような息苦しい場所に思えてくる。急に五感が冴え始め、上司や同僚の体臭や香水の匂い、革靴の底の湿った感じ、シャツの首のタグのかさかさした感触、スーツの生地の擦れるかすかな音、窓の外から聞こえるひとの話し声や自動車のエンジンなど、普段は気に留めないような細やかな情報が一挙に押し寄せ、心の中で朝礼なんか早くやめろよと毒づく。  ああ、うるせえ……。お前ら全員、うるせえんだよ……。  三分間スピーチをする上司を見ている時、ふと人間を八つ裂きにして肉を喰らう鷹野のイメージが重なって見えた。ズクンッ、と頭から足先に閃光の走ったような衝撃が走り、ふらふらと床にしゃがみ込む。周囲から、え? え? と戸惑いの声がいくつも上がった。俺自身にも何が起こったのか分からなかった。 「どうした急に」「大丈夫か? 早退するか?」  何人かの上司と同僚が近づいて来る。 「大丈夫です、すみません、何か気分悪いんで、ちょっとだけ休憩室に行かせてもらってもいいですか」と答え、誰か付き添わせようかという提案も丁重に断り、デスクとデスクの間を縫って廊下に出た。  二日酔いのように蟀谷にずきずきと脈打つ痛みがあった。休憩室に入る手前で廊下を折れてトイレに入り、個室の鍵を掛ける。バレたかな? バレてねえよな? 俺は背中を仕切りに凭せ掛け、スラックスとボクサーパンツを下ろし、ギチギチに勃起したチンポを握った。先走りで濡れてヌルヌルする。ズクンッという衝撃に貫かれて床にしゃがみ込んだ時、性欲が抑え切れないほど膨らみ、嘘をついて部署を抜け出してしまった。  目を開けても瞑っても《魔人》のイメージが執拗にまとわりつく。  驚くことに俺はあの《魔人》をカッコいいと感じ始めているのだった。  ありえねえ、ありえねえ、あんな奴がカッコいいとかありえねえって。  《魔人》に興奮してしまう自分に対して嫌悪感を覚えるほど、それと反比例するように欲情が高まっていく。  嫌だ! あんな奴みたいには絶対になりたくない!  そんな思いとは反対に、むしろ嫌悪感を抱けば抱くほど、なぜか欲情はますます高まり俺はチンポを扱く手を止められず、ビュクビュクッとあっという間にイッてしまった。トイレットペーパーで自分の精液を拭いながら、俺は自分の変化に困惑する。身体が熱く、シャツの首や腋や背にぐっしょりと汗が溜まり、下に着ている白Tシャツが薄く透けていた。もちろんボクサーパンツやスラックスの下も大量の汗を掻き、肌に纏わって気持ちが悪い。シャツの胸元が苦しく、俺に合ったサイズのはずなのに少し窮屈のような気がする。スーツの上着を脱いでフックに掛け、個室の壁にある細長い全身鏡で自分を見ると、何だか少し身体が大きくなっているような気がした。  錯覚か……? いや、錯覚ではない。シャツを着ているに関わらず胸筋の厚みがうっすらと現れており、肩から二の腕に掛けても筋肉が膨らみ肩幅がパツパツになっている。他人はまだ気がつかないレベルの変化かもしれないが、俺は自分の肉体の変化に強い衝撃を受けた。少し身体が厚みを増すだけで、今まで嫌いで仕方なかった自分の姿が急に好ましいものに思えてくる。鷹野みたいには絶対なりたくないと思ったばかりなのに、俺は今までより逞しくなった自分の姿を見てチンポをギンギンにおッ勃たせていた。  俺はイッたばかりでビクビク震えているチンポを再び握り、ぐちゅぐちゅと卑猥な音をさせながら強めに扱いた。一日に何度も自慰をするなんて中学・高校以来のことだった。 「ああ、イイ、もっと、俺は……ッ!!!」  個室の壁にビュルルルルッと精液が激しく飛び散り、そこではっと我に返った。俺は会社で何てことをしているんだろう? 恥ずかしさ、罪悪感。俺はトイレットペーパーで自分の手と個室内を掃除し、元通りスーツを着て職場に戻った。同僚からの「もう大丈夫なのか?」「心配したよ」といった言葉に「ありがとう、もう大丈夫だから」と返事をしていると、何て馬鹿なことをしているんだと自分に怒りさえ覚える。だがそんな怒りも、スマホに鷹野からのメッセージが届いているのを見た途端、吹き飛んでしまうのだった。 《 もう覚醒が始まったのか   洋輔はもう俺のモンだからな   もう我慢できねえんだろ?   連絡待ってる       》  デスクに就いて仕事をしようとしても、さっきと同じようにドクドクと胸が高鳴って頭がおかしくなりそうにムラムラする。この席の位置だったら机の下で扱いても周りから分からねえよな? と思ってスラックスを盛り上げる股間に触れ、いや、バレるに決まってんだろ、俺はアホか……と自分に呆れる。そんなことを考えてしまうほど性欲が亢進して止まらなかった。背筋に電流のような痛みが走った後、全身の関節のあちこちが熱を持ったようにキシキシと悲鳴を上げ始めた。 「――ッッ、」  俺はもはや体裁を取り繕うこともせずに荷物を持って走り出し、エレベーターではなく非常階段に出て二段飛ばしでガンガン音を立てて一階に下りる。会社を出、ぱっと目についた公園の障がい者用のトイレの中に閉じ籠った。 「ハアッ、ハアッ、ハアッ、」  洗面台に両手をつくと前髪と顎の先からぱしゃっと汗が飛び散った。ドクンッ、ドクンッ、とボクサーパンツの中でチンポが脈打つ度に、俺は腰を震わせながらイッてしまう。それはスラックスにも貫通していた。スーツの上着を床に脱ぎ捨てると、俺の肉体はシャツの上からでもはっきりと筋肉の厚みを主張するようになっていた。 「何ッ、だッ、これッ、はァ……ッ!」  全身に皮膚の下で獣が暴れているようなもぞもぞとした感覚があり、やがて鋭い痛みへと変わる。頭蓋骨が割れそうに痛む、背骨のひとつひとつが小波を立てるように軋み、肋骨は両手で強引に抉じ開けられるようで、手足の関節はビキンッビキンッと壊れそうな不穏な音を上げ、指の細かな関節はまるで真っ赤に燃えているようだ、「グッ、アッ、アアッ、アアアアアッ、」と俺は叫びながら床に蹲り、痛みから逃れたい一心で、がむしゃらに手足をばたつかせる。だがそんな行為には何の効果もなかった。胸や肩や腕や背中や腰や脚などの全身の筋肉にミシッ、ミシッと締め付けられる痛みが走り、まるで皮膚の下でぐねぐねと筋肉が蠢いているようだ。身体に走る痛みの中には強烈な快感が混ざり、腹の底からズクンッと突き上げる力の奔流に、俺は―― 「ァッ、ゥッ、ァァッ、ゥグッ、アッ、ァァァッ……!!」  本当は思いっきり咆哮を上げたかったが、何事かと誰かがやって来るのを怖れ、必死に声を押さえて身を捩る。ブシャ!!ブシュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!! 扱いてもいないのにチンポからは勢いよく濃い精液が噴き上げ、それは数えるのが馬鹿らしいほど幾度も幾度も繰り返される。  パチッ、パチッ、と火の粉の散るような音に薄目を開けると、俺の肉体の変化に耐え切れなくなったシャツのボタンが上から順に弾け飛んでいるのが見えた。シャツの下に着ていた白のTシャツも筋肉ではち切れそうに盛り上がり、キシッキシッと背中の方の生地が悲鳴を上げるのが聞こえた。ガチンッとベルトのバックルの弾ける金属の音がし、まるで自分の身体が拘束具から解き放たれていくかのような快闊さを覚える。その頃には痛みさえも糧として肉体に取り込まれていくような心地良さすら感じていた。 「スッゲェ……ッ! スッゲェよッ、アアッ、たまんッ、ねェ……ッ!」  鏡の前に立つと、そこには低身長でひ弱な印象だった普段の自分ではない、人間時の鷹野に匹敵する二メートル近い逞しい肉体の自分が映っていた。分厚い筋肉はまるで皮膚の内側に新たな空気の層を纏っているような感覚がし、屈強な鎧を身に纏っている万能感がした。 「ハッ、何だこれッ、やべェ、俺、なのかよ……」  筋肉を確かめるように分厚く盛り上がった胸筋に手を触れる。胸にはちくちくと短い体毛が生えており、そのままボコボコに割れた腹筋の真ん中を下り、陰毛の茂みを分けて身体に見合ったデカさにまで成長した逞しいチンポを握る。太い血管が絡みつき、濃い精液に濡れ卑しく輝きながらチンポはビクビクと脈打ちつづける。もこもこと筋肉の山を連ねて描く肩、ひと回りもふた回りもぶッ太くなった腕、筋肉の鎧に覆われ逆三角形に広がった背中、きゅっと引き締まった尻、筋肉の美しいラインの浮かぶ躍動感あふれる太腿、角材の入ったような脹脛と目でなぞっていき、見違えるような雄々しいシルエットに変わった自らの肉体に、俺はごくりと生唾を飲んだ。  鷹野! 鷹野! アアッ、もっと鷹野みてェなカッコイイ雄になりてェ! と思ってから、――あれ? 俺って鷹野のことを憎んでいたんじゃなかったっけ? 自分の嗜好の急激な変化に戸惑いを覚えた。そもそも俺は、こんな逞しい姿を理想としていただろうか? そもそも俺は、雄の肉体に、しかも自分の肉体を見てこんなに欲情するような変態だっただろうか? 分からない、俺は、どうしちまったんだ――  汗に濡れた俺の肉体は小窓から射し込む陽光にぬらりと輝き、フゥーッ、フゥーッ、という荒々しい呼吸に合わせて逞しい胸筋が上下する。いつの間にか夕方になっていたのか陽射しは淡いオレンジが掛かっていた。おかしいおかしいと思いながらも、俺は、鏡に映った自らの姿から目を離すことができなかった。じっと見つめているうちに魔人と化した鷹野の姿がぱっと脳裏をよぎり、それがだんだんと鏡に映った自らの姿に重なるような錯覚がした。鷹野の顔と自分の顔が重なった瞬間、眩暈がしてグラッと足元がフラつき、俺は流し台にしがみつくように両手をついて熱っぽい溜息を吐いた。 「どうしちまったんだ、俺はッ、……クソッ、」  俺の肉体は、明らかに鷹野のそれに近づいている。思うだけで、鳥肌が立つように興奮してしまう。もっと鷹野みてェになりてェ、もっと鷹野に近づきてェ、そんでもってアイツと交尾しまくりてェ――。 「あー、俺、ヤッベェくらいエロい身体になっちまったなア……」俺は呟き、鏡に向かってニヤリと口の端を大きく吊り上げて笑ってみせた。そんな俺の気持ちに応えるように、チンポは最高潮の勃起に達し、竿の部分に浮かび上がった青黒い血管は、チンポの根元から下腹部にまで根を張った。そして血液という栄養を貪欲に取り込んだチンポはヒクヒクとかすかに震えながら、ビキッ、ビキッビキッと音を立てて太さと長さを増していく。鋭い痛みが走った後、背筋のぞくぞくする強烈な快感が押し寄せる。早くイキてェのに尿道が締め付けられたように射精できない。その頃には自分の内面の変化に対する戸惑いは消え、むしろ鷹野に近づけたことに感謝の念さえ覚えていた。 「ハアッ、ハアッ、ハッ、アァアッ、」腰がビクッビクッと震え、尿道の締め付けがゆるんだ瞬間、 「アアァッ、鷹野ッ! 鷹野ッ!! スッゲェッ!! もっと俺はッ、お前ッ、にィッ――!!!」俺は叫び声を上げ、ドシュッ!ドシュッ!ドシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッッ!!!!」射精の勢いに膝がガクガクした。凄まじい勢いで自らの肉体に絵具を塗りたくるように濃い精液を迸らせ、俺はそんな自分にあるべき姿を取り戻したような興奮を覚える。もう自分を抑圧するものと関わらなくていい、これから俺は俺が思う存分満足するように生きればいいのだ。天井にまで達した精液は目元や頬や胸元に滴り、――それを俺は、ほとんど無意識的に指で掬って舐めていた。自分の精液なんて口にしたのは初めてだったが、なぜか一切の抵抗は出ず、脳の痺れるような心地良さに包まれる。それからは頭がおかしくなりそうなほど何度も何度も自分のチンポを扱いてイキまくった。気持ちが良すぎて手が止められず、「スッゲ、俺、アアッ、スッゲッ、スッゲェよッ……!!!!」と同じ言葉を繰り返しながら、背を壁に凭せ掛けて自分の肉体をオカズに射精する。ドシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!ドシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!と夥しい量の精液を発散するうちに、その精液の色にだんだんと灰色っぽいものが混ざるようになった。間違いなく、魔人化に近づいている証拠だった。  喰 イ タ イ  そんな四文字がちらりとよぎった。今の俺に足りないのは人間の血だと本能が言う。だが人間を襲うのに今の姿ではまだ効率が悪いんじゃないのか? もっと、そう、鷹野みたいな完璧な魔人のようだったら――。俺は目を瞑ってまぶたの裏に魔人と化した鷹野を鮮明に思い描こうとした。喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ。俺は鷹野から認められ、ありったけのチカラを注がれたんだ、だからきっと魔人になることも簡単だ、簡単か? いや出来る、と俺は思い、意識を自分の心臓に向けた。トクン、トクン、と脈打つ心臓に呼吸を合わせ、自分の肉体が魔人と化した鷹野にぐんぐん近づいていく様子をイメージングした。いや、もしかしたら俺は鷹野よりも凄いチカラを持っているんじゃないだろうか? 本来の姿を手に入れる、と心の中で呟くと、ドクンッ、ドクンッ、と心臓の鼓動が勢いを増し、それに手ごたえを覚え、俺は繰り返し「本来の姿を手に入れる」を心の中で呟いた。――思い出せ、本来の俺はこんなもんだったか? 鷹野なんかより遥かにすっげェデッケェガタイだったんじゃねえのか? なあ? と自分で自分を挑発するように心の中で呟くと、ひとつひとつ一般常識という呪縛から解かれていくような快感があった。筋肉がヒクヒクと反射的に動き、骨はキシキシと音を立て始め、腹の底から爆発的なエネルギーが込み上げるような感覚、皮膚だってこんなんじゃなかった、もっと肌色なんかじゃなく、しなかやで丈夫で紫がかった黒色だったじゃないか、人間を喰い殺すのに適した牙があったはずだ、立派な角だってあったはずだ、背中からは肉厚で禍々しい翼が生え出し、銛のような尖った太い尻尾もあったはずだ、そういえばチンポも相手の内部を破壊するためだけに存在するような凶悪な造形をしていたな……  どれだけの時間が流れただろう? 一時間どころではない。二時間、三時間? 俺のイメージングに呼応するように、少しずつ、少しずつ肉体はギシッギシッと軋みを上げ、ゆっくりと、だが確実に更なる進化を成していくのが分かった。次に目を開いた時、天井の高くに設置された小窓は真っ暗で、俺の頭はその天井すれすれの高さになっていた。これが魔人の視点らしい。どれくらいの高さになるのだろうか、その人間離れした背丈に加え、全身の筋肉量も凄まじいものになり、魔人特有の角と翼と尻尾も生え、口を開けば犬歯が鋭く伸びている。黒に近い紫色に染まった細やかな鱗状の皮膚に、髪は明るいアッシュ、煌々と緋色に輝く双眸―― (未完) ※うおい!俺の性癖を詰め込み過ぎ、また長くなっちゃうよ!  本当は五月中に蹴りをつける予定でしたが、まだもう少し続くことになったのでした……


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