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くノ一くすぐり拷問④

 ティクリアは再びモニターの画面を映した。するとそこには気を失った椿と、それでも尚動き続けるマジックハンドが映し出されていた。 ティクリア「なぁんだ。あまりのくすぐったさに失神しちゃったのね?まあでも約束は約束よ?マジックハンドによるくすぐりを止める代わりに、楓ちゃんを辛~いこちょこちょ拷問にかけてあげるからね❤」  今の椿がくすぐったさを感じる事が出来ない状態であれ、目が覚めたら再び辛い思いをするのは事実。それだけでこの条件を出した意味はあった。  ティクリアはリモコンを使い、離れた部屋で椿の足の裏を責め続けるマジックハンドの動きを止めた。私を好きなだけ拷問にかける代わりに椿の拷問を止めるという約束は守ってくれるようだ。 ティクリア「さっきはくすぐったいって感覚を知らなかったけどぉ…、それを知ってからくすぐられる気持ちはどうなのかしら?今どんな気分?」  こうやって言葉を巧みに使って焦る気持ちを生ませて、今までのスパイを屈服させてきたのだろう。自分で望んだ結果とはいえ、改めてそう言われると自然と焦りや不安が生じてしまう。 楓「ただ腋がくすぐったいだけでしょ?別に恐怖や不安なんて無いわ。」  それでも、強気に冷静な自分をティクリアに見せた。ここで焦ればティクリアのペースにハマり、拷問に屈服してしまう。どちらにしろこの拷問で私がこの女に話せる事が無い以上、ティクリアに勝利は無いが、自分のペースを維持し続けるに越した事はない。精神的に追い詰められては地獄を見るだけだ。何より私がどれだけくすぐられようが、ティクリアは情報を聞き出せない。その無意味な拷問とティクリアのペースに吞まれない私に、いつかティクリアも諦める時が来るだろう。私はそうなるか、助けが来るのを待つだけで良い。 ティクリア「お望み通り好きなだけ堪能させて貰うわよ❤」  6本のマジックハンドの内2本が私の腋にギリギリ触れない所まで接近し、その指をワキワキと動かし始めた。 楓「んんっ…!?っく…、な…、何よ…。」  実際に触れられている訳でもないのに、腋を襲うその指使いを想像してしまいくすぐったく感じてしまう。それを悟られまいと私は平静を装った。 ティクリア「もうすぐその腋をくすぐっちゃうわよぉ?本当に耐えられるのかしらねぇ?」 楓「…当然よ。こちょこちょ拷問だなんてくだらない。ただ腋をくすぐられただけで私があなたに屈すると思ってるの?」  また吞まれそうになるが、私は自分の強気な感情を貫き続けた。 ティクリア「そこまで言うんなら遠慮はいらないわね❤」  ティクリア早速マジックハンドを動かし、私の腋に2本のマジックハンドが近づいてきた。そしてマジックハンドはその5本の指を激しく動かし私の弱点である腋をこちょこちょとくすぐってきた。 楓「んひぃいっひひひひ…!んっくくくくくく、うぅっふふふ…!」  今までのただ腋を突っつくくすぐりがどれだけ優しい責めだったのかを思い知らされた。あまりのくすぐったさに目をギュッと瞑り、必死に歯を食いしばって笑い声を上げないようにするのが精一杯だった。 ティクリア「あらあら、強がってた割に結構くすぐったそうじゃなぁい❤」 楓「んっふふふふふふ、う…っるさい…!きひひひひひ、こん…なのっ…っくく、くすぐったい…、だけよ…!」  これでは自分のペースを貫いているなんて言えない。ただ虚勢を張っているだけだと自分でも理解出来てはいたが、これが限界だった。 ティクリア「まあ笑い出さないのは流石と言った所かしら?」 楓「くっふふふふ、そう、でしょ…?っんふふ、もっと…くくく、褒めても…、良いのよ…?」  苦し紛れにしかならなかったが、ティクリアの言葉に便乗する形で強気な振る舞いを続けた。 ティクリア「ホントにすごいわ!だから、もうちょっと辛くなっても平気よね❤」 楓「んっふふ…!?」  笑いを堪えながらティクリアの言葉の意味を考えていると、私のほんの少しだけ開かせている肘かけ部分がゆっくりと上昇を始めたのだ。それにより私の腕は水平になる程の高さまで一緒に上げられ、弱点の腋がより開かれてしまった。そしてその半開きの腋に先程と同じくすぐりが襲い掛かって来た。 楓「くひぃぃいいっひひひ、んっくくくく…!んんっふふふ!」  同じくすぐり、の筈だった。しかし、実際に体感したくすぐったさは先程よりも強く、そこでようやくティクリアの言葉の意味を理解した。腋が少し大きく晒されただけでくすぐったさが変化し、より我慢が難しくなってしまった。「ちょっと辛くなっても」というのは今よりもくすぐったさが強くなるという意味だったのだ。 ティクリア「あれぇ?もしかして、結構辛かったりするのかなぁ?」  くすぐったさが増して苦しんでる私を見て、ティクリアはわざとらしく挑発してきた。 楓「んっくくくく、そんな…訳、あっくく…!無いじゃない…!」 ティクリア「私にはかなり無理してる様に見えるんだけどなぁ❤」 楓「くふふふ、無理なんか…ぁっくく…!んんっふふふふ、くふぅ…!」  その挑発に対して、自分のペースを維持するために強がったが、結果的にティクリアのペースに乗せられてしまっていた。それに気付き言葉を止めたが、今更それを覆すことなど出来ず、返す言葉もないまま笑うのを我慢することしかできなかった。 ティクリア「そう。……でも、まだマジックハンドは4本残っているのよ?」  そうだった。このくすぐったさを我慢していれば終わる拷問ではない。これもまだまだ序の口だったのだ。そしてティクリアがそう言うが早いか、動いていなかったマジックハンド4本が私に向かって動き始め、水平に広げられた二の腕と、それにより大きく空間のできた胸の横に添えられた。 楓「ふひぃい!?んっくくく、だ…ダメ…!っくくくく…!!」  これ以上の刺激を与えられたら確実に限界を超えてしまう。そう確信し必死に懇願するが、マジックハンドは無情にもくすぐりを開始した。 楓「いぃぃぃいいいいっひひひひひひひひひひ、んっふふふふふふふふふふふ…!!」  胸の横は相変わらず私が初めて本格的にくすぐったいと感じた場所であり、そのくすぐったさは腋には劣るものの、そうとうくすぐったい。そして、もっと私を悩ませたのが二の腕のくすぐったさだった。初めてくすぐられたその場所は、やはり腋程ではないが、胸の横以上のくすぐったさだ。何より二の腕のくすぐったさが、腋のくすぐったさをより引き立てているような感覚に陥る。 ティクリア「どうしたの?ただくすぐったいだけだったんじゃ無かったのかしら?」 楓「きひひひひひひひひひ、あっひひひひひひひ…!んんっくくくくくくく!!」  もうしゃべる余裕も無かった。ここで口を開けてしまえば、確実に笑ってしまう。寧ろこんなくすぐったさでよく耐えられていると自分でも感心するレベルだ。 ティクリア「そうやって我慢しているのも辛いでしょぉ?だからそろそろ楽にしてあげるわ❤」  私はくすぐったさと必死に戦いながら、少しずつ絶望感に襲われていった。私の二の腕と胸の横をくすぐるマジックハンドが、少しずつ腋に向かって移動を開始したのだ。それによりどんどんくすぐったさが増していき、二の腕にいたマジックハンドは腕の付け根へ、胸の横にいたマジックハンドが脇の下に辿り着いた瞬間―― 楓「うひぃぃいいいいぁああっはははははははははははくはははははははははははは!!」  私の我慢の限界を超え、笑い声を上げてしまった。こうなるともう口を閉じて再び我慢するなんて事など出来なかった。 ティクリア「可愛い声で笑ってくれるじゃない❤すっごくくすぐったいでしょぉ?」 楓「あっははははははははははうるさっはははははははははははこんなの…っははははははははくすぐったくなぁああっははははははははははは!!」  もはや強がりでも何でも無い。私はくすぐったい事を認めようとしないだけの、ただの惨めな女となっていた。 ティクリア「くすぐったくないなら、何で笑ってるのかなぁ?無理に笑わなくてもいいのよ?」 楓「きゃははははははははははわかった、っはははははははははくすぐったい!!っははははははははくすぐったいからぁああああっはははははははははは!!」  ティクリアはわざとらしく私を煽るが、もう私には強がろうという気持ちすら失っていた。そして私はついに、はっきりとくすぐったいと認めてしまったのだ。だが、まだ負けた訳では無い。私が何もしゃべらなければこの拷問は私の勝ちなのだ。 ティクリア「なら情報を吐きなさぁい?あなたに出来る事は私に情報を教える事だけなのよ❤」 楓「いやぁぁああああっはははははははははは言わないぃぃいいっひひひひひひひあっははははははははは絶対言わないぃぃいいいいい!!」  私はあえて“言わない”という言い方をした。“知らない”と言ってもそれを信じる保証はないし、信じたとすれば椿には手を出さないという約束を破られる可能性もあるからだ。いくらくすぐったくて、強がる余裕が無くなっても、本来の目的である椿を解放してあげる事だけは忘れてはいけない。 ティクリア「まだ抵抗する気なのね?それならこのままこちょこちょし続けるだけよ❤」 楓「きゃぁぁあああああっはははははははははははくすぐったいっはははははははははははくすぐったぁぁああああい!!」  椿の気持ちが良く分かる。こんな拷問、耐えられる気がしない。どんなにくすぐったくても、身体は無防備のまま晒され続け身動きが一切出来ない。椿の前に私がこの拷問を受けていたら、確実に全てを吐いていたかもしれない。 ティクリア「まあ楓ちゃんがしゃべった所で、私が満足するまでこちょこちょし続ける約束だから、どっちにしろ当分このまま苦しんでいて貰うわよ❤」 楓「嫌ぁぁああああっはははははははははははもうやめっはははははははははははやめてぇぇええええ!!」 ティクリア「やめる訳ないでしょ?まあ私が求めている以上の情報を教えてくれたら、考えてあげても良いけどね❤」 楓「きゃははははははははははは無理ぃぃぃいいっひひひひひひひひ!!」  この時、ようやく私は気が付いた。それは私の出した条件に関わらず、助けが来るまでこのくすぐり拷問から解放されないという事だ。ティクリアが私から聞き出そうとしている情報をそもそも私は知らない。だから勝てると思っていたが、それは私がくすぐりに耐えられるという前提が無ければそもそも成立しなかったのだ。 ティクリア「なら無理に話さなくても良いわ。このままあなたの苦しんでいる姿をじっくりと拝ませて貰うだけだから❤」 楓「きゃっははははははははははやめ、っはははははははははもうダメぇぇえええ!!あっはははははははくすぐったすぎぃぃいいっひひひひひぁははははははははは!!」  それでも私は何とかこのくすぐったさを耐え抜こうとしていたが、口からは弱音しか出てこなかった。 ティクリア「そうよね、見てるこっちまでくすぐったくなるぐらいだもの❤」 楓「あぁぁぁああっははははははははだったらもう止めてえぇぇええええっはははははははは!!」  そして、いつの間にか私はくすぐりから解放される事しか考えられなくなっていた。 ティクリア「だから楓ちゃんにはこのままくすぐられ続けて貰うだけって言ってるでしょ?あなたがもう無理とか、そんな事私には関係無いんだから❤」  私の訴えにも聞く耳を持たないティクリアに、私は絶望感しか抱けなくなってしまい、ついに敗北の瞬間を迎えてしまった。 楓「わかった、っはははははははははあっはははははははしゃべるっはははははははしゃべるからぁぁああっはははははははははは!!」  耐えきれない程のくすぐったさに、ついに私も拷問に屈してしまった。 ティクリア「別にしゃべらなくて良いわよ?このままず~っとくすぐっててあげるから❤」 楓「嫌ぁぁぁぁあああっははははははははははもうくすぐらないでぇぇえええ!!きゃははははははははお願いだからぁぁああっはははははははははは!!」  とにかくくすぐったい。身体を自由に動かして抵抗したい。その思いが私のプライドをことごとく破壊していき、私は涙を流して笑わされながら懇願し続けた。 ティクリア「しょうがないわねぇ。一体何を教えてくれるの?」 楓「ひゃはははははははははははは二人ぃぃいいいっひひひひひひひひ!!あっはははははははここに来たスパイっはははははははははは前に二人ぃぃいい!!」  こうやって椿もしゃべってしまったんだろう。ようやく話す権利を貰った私は何の罪悪感や敗北感も無く、ただ自分の為だけにしゃべっていた。私達より前に来たその二人は、この国の組織図や内情、そして発信機を盗み出した二人である。 ティクリア「あぁ、今までにこの国に来たスパイさんね?その二人の名前を教えて?」 楓「きゃははははははははははさくっはははははははははさくらぁぁああああっはははははははははひいらぎぃぃいいいっひひひひひひ!!」  さっきの椿と同様、これを言った所で私はくすぐりから解放されないかも知れない。しかし、このくすぐったさから逃れたい一心で無意識の内にどんどんしゃべってしまっていたのだ。ちなみに桜と柊というのは私の先輩で木陰の国で最も実力のある二人である。 ティクリア「じゃあ後はさっき聞いた事を答えて貰おうかしら?今後木陰の国はどこに潜入して何をしようとしてるの?最終的にどこの国を乗っ取ろうとしているの?あなたの国を壊滅に追い込む方法は?」 楓「あっはははははははははそんなの知らないぃぃぃいいいっははははははははははは知らないぃぃぃいいいい!!」 ティクリア「あれぇ?おかしいわねぇ?しゃべる気が無いって言ってたじゃなぁい?って事は知ってはいるはずよねぇ?」  この言い方、やはりこの女は私がそんな事を知らないと分かっていて聞いていたのだ。状況はどうあれ、私をくすぐり続けたいが為にあんな質問をしていたという訳だ。 楓「いやっははははははははははホントはっははははははははは知らないのよぉぉぉお!あっはははははははははははそんな事、っきゃははははははは知る訳ないじゃなぁぁああい!!」 ティクリア「って事は、私を騙していたのね?これじゃあ椿ちゃんを解放するって約束はどうなっちゃうのかしらねぇ?」 楓「ひやぁぁあああっはははははははははははそれは謝るからぁぁあああっはははははははははもうやめてぇぇぇええええ!!」  もはや椿の代わりにくすぐりを受けていた事も忘れ、くすぐったさから解放される事しか考えていなかった。 ティクリア「謝る必要は無いわ。どうせあなたはここでくすぐられ続ける運命なんだから❤」 楓「あぁぁぁああああああっはははははははははごめんなさぁぁあああっはははははははははごめんなさいぃぃいいいっひひひひひひひ!!お願いっははははだからぁぁあああはははははははもうやめてぇぇえええええ!!」 ティクリア「そうねぇ。まあ知らないんじゃこれ以上拷問を続けていてもしょうがないし――」 楓「……っはあ、っはあ、はあ…、はあ…、はあ…。」  ティクリアの気まぐれか、マジックハンドの動きが止まり私はくすぐりから解放された。その瞬間、身体の力が一気に抜け、枷のお蔭で立っていられるぐらいに疲弊してしまった。そして荒い呼吸を繰り返し、必死に息を整えていた。 ティクリア「代わりにお仕置きを受けて貰うわね❤」 楓「…っえ…!?」  すると突然、ティクリアはどこからか取り出したガスマスクを装着し、私は目の前にスプレー缶を向けられた。そしてそこからガスが噴射され、当然抵抗する術の無い私は意識が朦朧とし、そのまま眠りについてしまった。


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