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くノ一くすぐり拷問③

 眼が覚めた時、私は無機質な部屋にいた。それは椿が拷問を受けていた時と同じような部屋だった。意識がまだはっきりとしていない中でも、そこが拷問室であるという事が理解できた。そしてそれと同時に、改めて自分も捕まってしまったのだと実感させられた。  ようやく意識がはっきりし始め、そこで初めて自分の状態に気が付いた。私は、椿と同じ機械造りの椅子に拘束されていた。一応拘束を解こうと暴れてみるが、当然しっかり拘束されている為、全く動く事など出来なかった。  しばらくそのまま座っていると、金属でできた重たい扉がゆっくりと開き、一人の女性が入って来た。 ティクリア「お目覚めのようね。女スパイさん❤」  声の主は先程椿を責めていた尋問官、ティクリアだった。椿を苦しめていた張本人が目の前に現れ、私は無言のままティクリアを睨み付けていた。 ティクリア「そんなに怖い顔しないで?それとも何?どうせ後で笑わされるから今の内に睨み付けておこうって?」  冷静に人を挑発するような口調。確かに拷問を受ける側は精神的にも追い込まれやすくなるかも知れない。椿もそれにやられたのかも知れない。それより、ここにティクリアがいるという事は椿は今くすぐりから解放されているのだろうか? ティクリア「何?会話もしてくれないの?」 楓「別に?特に会話する必要が無いと思っただけよ。」  とにかく椿が心配だった。上手くこっちから椿の今の状態を聞き出せないものかと考え、私は口を開いた。 ティクリア「あなたも随分強気ね。責め甲斐があって嬉しいわ❤」 楓「それはどうも。」 ティクリア「さてと、それじゃあ早速本題だけど、あなたはしゃべる気ある?」 楓「あるわけないでしょ?」 ティクリア「分かってるのよ?あなたが彼女の仲間だって事。そしてずっと天井から見ていた事もね?」  どうやってこっちの動きを知ったのかはとりあえず置いておく。この女が私にも情報を吐かせようとするのは椿が口を割らなかったからだろう。だが逆に言えば椿もまだくすぐられ続けているという可能性もある。 ティクリア「だから分かってると思うけど、これからあなたも体中をこちょこちょされちゃうのよ?それでもしゃべらないって事で良いのかしら?」 楓「えぇ。」 ティクリア「あの娘がこちょこちょされてる姿を見てよくそんな態度が取れるじゃない。ねえ、今どんな気持ち?これからこちょこちょされちゃうって分かってて、どんな気分?」 楓「知りたかったらあの娘の今の状況を教えて。」  私はダメ元で椿の状況を知る為にそう条件を出した。正直私の今の気持ちなんてそうまでして知る理由など相手には無いだろうけど。 ティクリア「別にそれぐらい良いわよ?残念だけどあっちの娘は今もずっとこちょこちょされ続けてるわ。」 楓「くっ……!」  私がどれくらい眠っていたのか分からないけど、その間も…そして今現在も椿は苦しみ続けていると知り、心が痛んだ。もっと早く助けに入ればまだ状況は違ったかもしれないという後悔と、苦しんでいる椿をただ見ていただけの自分に怒りを覚えた。 ティクリア「冷静なあなたも流石に辛い表情を浮かべたわね。あっ、ちなみに今は誰もその場にいないから、どうなってるのかは分からないけどね?」 楓「…そう。」  ティクリアに指摘され再び冷静さを取り戻し、軽い返事だけ返した。こうして対面していると、椿の焦りがすこし分かったような気がした。この尋問官、こっちがどんな態度を取ろうが自分のペースを一切乱さないようにしているのだろう。そうする事でこっちの変化を見透かされ、指摘される事で相手のペースに吞まれてしまうのだと理解した。それに対応するには、こちらも自分のペースで強気でいる事。常に余裕を見せていなければ、負かされてしまうのも時間の問題だ。 ティクリア「じゃあこっちの質問にも答えてもらおうかしら。こちょこちょされる前の心境…、どんな気持ち?」 楓「そうね、率直に言えば楽しみかしら。」 ティクリア「楽しみ?」 楓「えぇ、くすぐられた事なんてないから。くすぐったいってどんな感覚なのかしらっていう楽しみよ?」  私は強がりながらも、少しだけ本音を教えた。楽しみという訳では無いが、くすぐられた事も無い私にとっては恐怖よりも好奇心の方がまだ少し大きい。 ティクリア「これは良い事聞いちゃったわ❤くすぐられた事無いのにそんな強気でいられるなんて❤」 楓「だって、笑わせてくれるんでしょ?だったら楽しくて良いじゃない。」  実際くすぐったいという感覚がどんなものか興味はある。最も、椿があんな風にされてしまった時点で楽な刺激では無いのだろうが。 ティクリア「いつまでそんな事言ってられるのかしらねぇ?」 楓「いつまでも言い続けられるけど。」 ティクリア「っふふ…❤これを見ても?」  ティクリアがそう言うと、突然天井から目の前に大きなスクリーンが現れ、そのモニターに映像が映し出された。そして、それを見て私は絶句した。 椿『ひぎゃぁぁぁああああっはははははははははははお願いっはははははははははもうやめてぇぇええええ!!誰かぁぁあっははははははははははは誰か来てぇぇええ!!あぁぁあああっははははははははははしゃべるっははははははは何でもしゃべるからぁぁああああっはははははははははは!!』 楓「……っ!」  そこに映し出されたのは、一人にされただただ終わらないくすぐり拷問を受けている椿の姿があった。目からは涙がこぼれ、開きっぱなしの口からは涎が垂れて、くすぐったさから逃れようと暴れる椿の姿だ。 ティクリア「じゃあ質問に答えてね?あなたの名前は?」  突然モニターに話しかけるティクリア。この映像を見せて私に答えさせようと言うのか…? 椿『きゃははははははははつ、つばきぃぃいいいいいいっひひひひひひひひ!!んあぁぁぁぁああああっはははははははははは!!』  どうやらモニターにマイクのような物があったらしい。ティクリアはこの部屋からそれを使って椿と会話をしていた。 ティクリア「どこの国から来たの?」 椿『あっははははははははははこかぁっはははははははははは木陰っははははははははの国ぃぃいいい!!』  椿はくすぐられながらどんどん情報を吐いていた。私は、それをただ黙って見てる事しか出来なかった。ただただ椿が拷問に屈した姿がショックだった。 ティクリア「成る程ね。木陰の国は確か最も口を割らない国って聞いた事あったけど、流石にくすぐりには耐えられなかったようね❤ここに何しに来たの?」 椿『ごうっはははははははもんの…!っきゃははははははははは内容をははははははははは探りにぁぁあああっははははははははは!!』 ティクリア「もしかしてそれで捕まってくれたとか?実際に体験する為に来るなんて度胸あるじゃなぁい❤」  もちろんそんな訳はないし、ティクリアもそうでない事ぐらい分かってて言ってるのだろう。私を…挑発するために。その証拠に今の言葉は椿には聞こえないように、少し後ろを振り返り、私にだけ聞こえるように発していたのが分かった。 ティクリア「何人でここに来たの?一緒に来た人の名前は?」 椿『ひやぁぁぁあああっははははははははふ、ふたりっはははははははははははあっはははははははははははかえでぇぇぇえええっははははははははは!!』 ティクリア「そう、ありがと❤じゃあまた後でね❤」 椿『そんなぁぁぁああああっはははははははは助けてっははははははははは助けてよぉぉおおお!!』  椿への拷問を止める訳でも無く、モニターの画面だけを消して椿との通信を断ち切った。椿は全てをしゃべらされた挙句、そのまま誰もいない所でくすぐられ続けて絶望しているだろう。 ティクリア「あなたのお仲間も大した事はなかったようね?楓ちゃん❤」  私は悔しさと怒りを必死に抑え込み平静を装ったが、黙り込む事しか出来なかった。 ティクリア「さてと、こっちはもうあなた達の目的まで知ってしまったんだけど…、折角だから他にもいろいろ聞いちゃおうかしら。楓ちゃんの身体にね❤」  その悪趣味な言葉と共に、私を拘束している椅子からマジックハンドが6本現れた。マジックハンド達は私を精神的に追い詰めようと、身体の周りで蠢いていた。その何とも言えない不快感を受けながら、私は動揺を悟られまいと平静を装った。 楓「私に、何を聞こうっていうのかしら?」 ティクリア「そうねぇ、例えば…、この国の拷問内容を知ってどうしようっていうのか…とかかしらね?」  それに関しては私達スパイには知らされない。万が一こうして拷問にかけられる時、必要以上に国の内情を知られないようにする為だ。 ティクリア「後は…、今後どこに潜入して何をするのかとか、最終的にどこの国を乗っ取ろうとしているのかとか、木陰の国をどうやったら壊滅させられるのか、とかね❤」  この女はどういうつもりでそんな事を言っているのだろうか?頭は悪くない筈だが、私のような者がそんな事まで知っているとでも思っているのだろうか? ティクリア「あっ、後は今までここに木陰の国のスパイが何人入って来たか、いくつか捕り逃してるスパイがいるのよね。」  まあそれぐらいなら知ってはいるけど、どちらにしろしゃべるつもりは無い。 楓「随分と多いのね。」 ティクリア「そりゃあそうよ。木陰の国のスパイをようやく捉える事が出来たんだもの❤」  そういえば、木陰の国のスパイはこの国では捕まっていなかったのだった。すでに椿が吐いてしまった事はもう仕方がない。それでも出来るだけ情報を与えないようにしないと。 ティクリア「それに、楓ちゃんには普通のスパイよりいっぱいくすぐられて貰おうと思っているしね?」 楓「何が目的?」 ティクリア「目的はただの拷問よ?でも…、楓ちゃんは100人目記念のスパイさんなのよ❤」 楓「100人目って、私がくすぐり拷問に屈したらの話でしょ?」 ティクリア「大丈夫よ、絶対に屈服させてあげるから❤」 楓「あっそう。なら好きにしなさい。」  今まで捉えたスパイ全員が屈している。そして何より椿までもこの拷問には耐えられなかった。それだけで確かに拷問としてのレベルは高いのかも知れない。でも、この勝負の負けの定義は笑わされる事じゃない。敵が欲しがっている情報を吐いてしまう事だ。つまり、要求された情報を知らない以上、私はこの拷問に屈しようが無い。どれだけくすぐられようが、私は負けようがないという事だ。 ティクリア「もちろんそのつもりよ?さてさて、それじゃあ拷問を始めるわよ❤どこを最初にこちょこちょして欲しい?」 楓「どこでも良いわよ。」 ティクリア「そっか、くすぐられた事無かったんだったわね❤じゃあお仲間の椿ちゃんの苦手な足の裏からくすぐってあげましょうか?」 楓「お好きにどうぞ。」 ティクリア「えぇ、好きにさせてもらうわ❤」  ついに私へのくすぐり拷問が始まろうとしていた。椿でも耐えられなかったくすぐり。くすぐったいとは一体どういう感覚なのだろうか?そしてそれを今、身を持って知る事になる。  6本あるマジックハンドの内、2本だけがゆっくりとコードを伸ばしながら移動して行き、私の足の裏の下の空間に構えられた。自分の足で見えないが、おそらくその下で今すぐくすぐってやろうと指をワキワキと動かしているのだろう。 ティクリア「こちょこちょ拷問、開始❤」  ティクリアの合図でマジックハンドが私の足の裏に触れると、土踏まずの部分を人差し指でなぞる様にくすぐり始めた。 楓「んっ…く…!」  そして私は初めて“くすぐったい”という感覚を知った。痒い感覚とは少し違う、独特な感覚。その感覚の率直な感想は不快感だった。ムズムズして払い除けたい衝動に駆られる。さらに、不思議と口角が上がり笑い出しそうになる。これが、くすぐったいという感覚か。 ティクリア「どうかしら?初めて感じたくすぐったいって感覚は❤」 楓「何でもないわ…。このっ、程度…。」  確かに動けない状態でこんな事をされると抵抗したくなる。その気が無くても、無意識に足の指をぎゅっと閉じてくすぐったさを和らげようとしてしまう。 ティクリア「その割には足の指に力が入ってるわよ?何でもないのなら、指を無防備に反らすぐらいの事して欲しいわねぇ❤」 楓「わ、わかったわよ…。んっく…!」  決して強がっている訳では無い。無意識にやっていた事なら意識すれば良いだけの事だ。私はぎゅっと閉じていた指をぐっと広げて、足の裏を無防備に反らした。 楓「んっふふ…、ふぅ…っん…。」  足の裏を反らしてみて、意外とくすぐりというのは奥が深いのだと気付かされた。同じ足の裏を刺激されているのにくすぐったさが変化したのだ。無防備に晒しているだけでこれ程までにくすぐったさが変わると思っていなかった。自ら強気に行動した手前、必死にその状態を維持し続けたが、これは結構くすぐったい。 ティクリア「すごいじゃない!人差し指での軽いくすぐりとは言え、そんな状態で我慢できるなんて❤」 楓「まあ…ねっ…んふぅ…。」 ティクリア「じゃあ5本の指使っちゃおうかしら❤」 楓「ご、ご自由…に…。」  私の足の裏をくすぐるマジックハンドは、5本の指を使って撫でるようなくすぐりにシフトした。 楓「んふふっ…、んんっくくく…!」 ティクリア「必死に堪えてるけど、流石に少しくすぐったくなって来たかしら?」 楓「そう…ね。くすぐったいって…感覚を知れて、っん…、う、嬉しいわ。」 ティクリア「それでもやっぱり椿ちゃんより耐えられるようね。他の弱点を探すから、その足の裏――」  やっと足の裏へのくすぐりが解放され、この体勢を元に戻せる許可が出る様だ。いくら我慢できない程の刺激では無いとはいえ、自らこんな体勢を維持し続けるのは流石に辛い。 ティクリア「こっちのマジックハンドで固定しておいてあげるわね❤」 楓「……それは、っくく、んふぅ…、た、助かる…、わ。」  どうやらこの状態からは解放させて貰えないらしい。まあ少しくすぐったいと感じる程度の刺激だから構わないけど。寧ろ自ら維持し続けるよりは楽ではあるか。暇を持て余していた4本のマジックハンドの内の2本が、足の裏を反らすことで上を向いている指部分を抑え込み、足の裏を完全に固定した。つまり椿が苦しめられていた時と同じ状況だ。固定しておくという事は、このまま足の裏はくすぐられ続ける事になるのだろうが、さっきのティクリアの発言で気になる事がある。 ティクリア「楓ちゃんの弱点はどこかしらねぇ?楽しみだわ❤」  やはりくすぐりに弱い場所は人によって違うようだ。そして椿の時に「弱点を“見つけた”」というような事を言ったいたのを思い出した。最初にくすぐられる事になった弱点だと思わしき足の裏が、私の弱点では無かったのは困り物だ。その弱点が大した事ないと思って油断していたが、さらにくすぐっい場所が他にあるという可能性が出て来てしまったのだ。  未だ動いていなかった残り2本のマジックハンドが動きだし、足首の辺りからモゾモゾと指を動かして上に登ってくる。虫が這う様に上がってくるマジックハンドは、膝に辿り着くとそこで一度停滞し、撫でるように刺激してくる。 楓「くふっ…んっくく…。」 ティクリア「ふむふむ、なるほどね~。」  私の反応を見て弱点を探そうと言う事らしい。自分の感覚では、今も刺激され続けている足の裏の方がくすぐったく感じるだろうか。当然このくすぐりを拷問として使用しているティクリアならそれも気付いているのだろう。そしてそれをすぐに理解したのか、マジックハンドは再び行動を開始し、またゆっくりと登ってくる。今度は太ももの辺りで移動を止め、さわさわと手全体で撫でまわす様にくすぐってくる。部位によってくすぐり方を変えるのは、その場所によって効果的なくすぐり方があるからなのだろう。 楓「んっふふ、んふ…っくく…。」  摩るように撫で回す未体験の刺激と、太ももという新たな場所をくすぐられた私は膝の時よりも少しくすぐったさが増したように感じ、必死に笑い声を抑えようと口を固く閉じる。ティクリアはこれをどう捉えたのだろうか?膝より敏感だという事に気付いてしばらくここでくすぐり続けるか? ティクリア「うん、じゃあ次は…。」  どうやらまだ弱点だとは判断していないらしい。まあ自分でもまだ足の裏の方がくすぐったいと感じている。  そして太ももから私のスカートの上を通り、露出された腹部に到達した。そしてお腹を指先でコソコソと軽く触れるようにくすぐって来た。 楓「んふぅっん…!んっふふふ…。」  お腹ははっきり言ってそれなりにくすぐったい。腰を枷で拘束されていなければ大きく反応してしまっていただろう。つまり、正直に言えば拘束され全く動けない今の状態でくすぐられているのが少しばかり辛く感じる。 ティクリア「………良い反応ね❤」  やはり気付かれていたようだ。今後もしさらに敏感な“弱点”と呼ばれる場所が見つかった場合、何としても反応を押し殺さなければ、椿と同じようにそこを責められ続けてしまう。 楓「まあ、…少し…んふ、くすぐったかった…、かしら…?」  ここで反抗してくすぐったくないと言えば相手のペースに吞まれると判断し、私は素直な感情を伝えた。 ティクリア「じゃ~あ…、ここはどう?」  敏感だと気付いても尚、さらなる弱点を探すようだ。今度はお腹を摩るマジックハンドの内の1本が、へそに人差し指を入れてきた。 楓「んっく…、そんな…トコ…!?」  そこまでくすぐったくは無かったが、へそに指を入れられると言う不快感に驚きを隠せず反応してしまったが、逆に敏感な場所だと勘違いしてくれるかも知れない。 ティクリア「うんうん❤それじゃあ次は~。」  これはくすぐったい場所だったと理解してくれたか?2本のマジックハンドは両サイドに分かれて脇腹を揉むようにくすぐって来た。 楓「んんっ…くぅ、っふふふ…!」  お腹よりもさらにくすぐったく、いよいよ足の裏との同時攻撃が辛くなってきた。それでも自分の中ではかなり反応を抑えたと思っているが、ティクリアの目にはどう映っただろうか? ティクリア「こ・ん・ど・は…❤」  特に脇腹の反応は気にしていないのか、軽く観察しただけですぐにマジックハンドを移動させる。人差し指と中指を使ってトコトコと登る様に上がってくる2本のマジックハンドは私の胸の横に辿り着いた。そしてその指をモゾモゾと動かしてくすぐり始める。 楓「くぅぅうっ…ん、んぅふ…!ぅっくく…!」  脇腹を超えるくすぐったさを隠すために、より一層歯を食いしばり口を閉じる。こんなに身体の部位でくすぐったさが変化するとは思っていなかった。何とか堪えることは出来るものの、胸の横は明確にくすぐったいと感じてしまった。 ティクリア「だんだん辛くなって来たかしら?」 楓「す、こし…ね。ふぅっ…ん、思ったより…んくっ、く…くすぐったい…じゃない。」  今までの中で一番くすぐったいという事は否定しない。そのくすぐったい場所でも平気だと思わせた方が自分のペースを保てるだろう。 ティクリア「それなら次はここかしら❤」  私の胸の横をくすぐるマジックハンドはさらに上に登ってくる。そして肘かけが高めに位置されており、そこで拘束されている為にほんの少し空間ができた腕の付け根へと辿り着いた。 楓「んひぃぃいっ…!?ちょっ、んんっくぅ…、どこ触って…!」  その腕の付け根にマジックハンドが触れた途端、私は思わず声を上げてしまった。 ティクリア「どこって“ワキ”を触っただけよ?」 楓「わ、わきぃ…?」  腋。そこはあまりにもくすぐったい場所だった。ここが私の弱点であると確信し、それと同時に椿を苦しめたくすぐったさを思い知った。マジックハンドが触れただけで腕を閉じようと力が入ったが、無情にも枷によって阻まれてしまう。どんなに我慢しようとしても身体が反応してしまい、ガタガタと金属音が鳴り響く。 ティクリア「そうよぉ?そんなに驚いちゃって、一体どうしたのかしらぁ❤」  ニヤリと口角を上げてこちらを見るティクリア。マジックハンドは私の腋にただ触れているだけで、くすぐろうとはしてこなかった。 楓「んふぅ、別に…、どうも…しないわよ。」  あまりにも腋がくすぐったく、素直に弱点だとは言えず平静を装う事にした。流石にこのくすぐったさで弱点だと言える程の余裕は無かった。 ティクリア「そこ……、弱点でしょ❤」 楓「…!?そこって…んっふ、何…を!?」  突然告げられた事実に、私は惚ける事しか出来なかった。 ティクリア「だからぁ、ここが弱点なんでしょ?あなたのその綺麗な……、わ・き❤」  やはり触れられた途端に声に出してしまったのが原因だったかも知れない。まあそうでなくても、こちょこちょ拷問のプロと名乗っているこの女ならすぐに分かるのかも知れない。 楓「……え、えぇ…そうっ…、よ。んふぅ…、自分でも…すぐに理解、したわ。んっく…、まさか…、こんなにくすぐったいとは…、思わなかったわ。」  流石にバレてしまった以上隠しようがない。自分のペースを保つには、弱点を認めるしかなかく、私はとにかく冷静に振る舞ったままそう答えた。私の弱点が分かったからか、今まで責められ続けていた足の裏のくすぐりがようやく止まり、4本のマジックハンドは足から離れていった。しかし、腋に触れている2本のマジックハンドは未だ離れず、そのくすぐったさの余韻が今も私に残り続けている。 ティクリア「ならこれで理解出来たんじゃない?こちょこちょ拷問の恐ろしさ…❤」 楓「べ、別に…?」  弱点と分かったが、まだ私が我慢の限界を超えて笑い出してしまうかは未知。確かにくすぐったいと感じ、椿を屈服させたのもこの刺激だ。けど、まだ諦めてはいない。どんなにくすぐったくても、自分の我慢強さと冷静さで耐えられるかも知れないのだから。 ティクリア「そぉ?じゃ~あ~…、えいっ❤」 楓「んひぃぃいいっ…!?」  一度腋から離れたマジックハンドは、人差し指だけを立て私の腋を勢いよく突っついた。それは痛みよりもくすぐったさの方が大きく、口を開けずにはいられたものの、変な声を上げて反応してしまった。 楓「んっ…!!…ふぅんっふふ…。何が…したいの…?」  突っついてきたマジックハンドはまた私の腋から離れることはせず、それ以上の刺激を与えようとしないティクリアに強がりながら質問をした。 ティクリア「突っつくだけでも、結構辛そうね❤」  私の質問には答えず、独り言のように私の反応に対しての言葉だけを発した。マジックハンドはようやく私の腋から離れ、私はティクリアを睨み付けながらも少しだけ気を緩めた。が―― 楓「はひぃぃぃいいいいっひひひっ…!?」  私が気を緩めるのを狙っていたマジックハンドは、再び私の腋を突っついた。それにより私は大きく反応してしまい、ほんの少しだが笑い声を上げてしまった。 ティクリア「油断しちゃダメじゃない❤」 楓「んっふふふ、っくくく…!」  しばらく私の腋を触り続けていたマジックハンドは再び私の腋から離れ、ようやくくすぐったさから解放されたが、今度は次の責めに備えて気を引き締め続けた。 ティクリア「どう?くすぐったいでしょ?吐くなら今の内よ?」 楓「しゃべる気は…、ないわ。だから、好きなだけ私をくすぐって構わない。だけどお願い、椿はあなたに聞かれた事の全てを話したわ。だからもう解放してあげて。」  椿は話せる全てを吐いたにも関わらず、この無慈悲な女に許してもらえず、くすぐられ続け地獄を味わっている。今しゃべったとしても、私はもちろん椿もこのままくすぐられ続けてしまう。そもそも今この女が知りたがっている情報なんて私自身知らされていない事だ。つまり答えようが無い以上、私はくすぐられるという道しか選べない。ならば今も苦しんでいる椿を開放する事が私の役目だろう。 ティクリア「仲間の身代わりだなんて、泣ける話ね❤……良いわよ?ここから逃がす訳にはいかないけど、こちょこちょ拷問からは解放してあげる。一応彼女から聞くことは聞いたしね。その代り、あなたには椿ちゃんよりも辛~いこちょこちょ拷問を受けてもらうわよ?」 楓「構わないわ。その代わり、約束は守って貰うわよ。」 ティクリア「もちろんよ?正直、椿ちゃんより楓ちゃんの方が責め甲斐あるしね❤」  何を基準に責め甲斐がどうとか言っているのだろうか。 ティクリア「それじゃあ…、始めましょうか。楓ちゃんの本当のこちょこちょ拷問…❤」  この時の私はまだ気が付いていなかった。これから受ける拷問が本当に“辛い”拷問になる事など…。


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