『……コンテストが始まりますので、ご参加いただく方は広場の方へとお集りください』
9月下旬。
その日、緑川の通う大学では文化祭が催され、緑川も何かの準備を入念に行っていた。
「よしっ、これなら万が一事故っても大丈夫!」
そう意気込むと、背後からよく知った声が近づいてきた。
「おーい。着替え終わったかー?」
「うん。何とか。でも、やっぱりこの格好落ち着かないや」
「おーっ! 着替えただけなのに、結構似合うのな!」
「すぐそうやってからかう! 次は紺多くんも着てよ!」
「いやいや、俺のメイド服姿なんて誰得だよ!」
そう。文化祭の目玉である、女装コンテストに出場することになったのだ。
大体の参加者はネタとして出場するのだが、俺たちは違った。
目的は何と言っても、優勝賞品である「Swi●chとリングフィ●トアドベンチャーのセット」だ。
売り切れ必須の超人気ゲームハードとソフトのセットをゲットするべく、この日女装コンテストの参加を決意したのだった。
・・・
「はぁ……」
「おいおい、そんなショック受けるなよ。2位でもよかったじゃん」
「だってリングフィ●ト欲しかったんだもん……」
「どんだけ欲しかったんだよ……って、あれ……?」
コンテスト終了後、観覧席に人がいなくなっていく中、こちら側へと手を振っている姿が目に入る。
こっちが認識したのに向こうが気付くと、席を立ってこちらへと向かってきた。
「あはは、緑川のメイド姿めっちゃ似合ってたよ!」
「赤瀬くん来てたの!?」
「うん! 向こうに橙野と青海もいるよ! てか、緑川なんか元気なくない?」
「あぁ、1位になれなくて落ち込んでるんですよ。これに出た目的も、優勝賞品欲しさからだったから」
「なーんだ、そんなことだったのか! なら、俺の貸してやろうか?」
「え!? 赤瀬くんリングフィ●ト持ってるの!?」
「急に反応したな」
「持ってるけど、今の仕事始めてから全然やってないんだよね。だから、好きなだけ貸してやるよ」
「良かったじゃん!」
「赤瀬くん神……! 俺、赤瀬くんのためなら何でもするよ……!」
「あはは。それは言い過ぎだって。あ、ちょっと気になったんだけど、そのスカートの下ってどうなってるの? もしかして、下も女の子の穿いてるとか?」
「あ、それ俺も気になってた。何か用意してたよな」
「へへ。気になる? じゃーん!」
「な、何で水着穿いてるんだ……?」
「だって、パンツだと見えたら恥ずかしいじゃん……? 水着ならパンツじゃないから恥ずかしくないと思ったんだけど……え、おかしい?」
「緑川天才じゃん! ……でも、水着見慣れてるのって俺たちぐらいじゃない?」
「あと水泳やってる人とか? 見慣れない人からしたらパンツと変わらない気がする」
「そう言われると何だか恥ずかしくなってきた……」
「あはは、別にいいじゃん。もう終わったんだし。明日リングフィ●ト持ってってやるから元気出してよ」
「そうだ……! リングフィ●ト……!!」
「本当に欲しかったんだな」
「あ! 橙野と青海も来たみたい! おーい!」
「「(黒須さんがこの場にいなくてよかった)」」
≪END≫
高橋裕也
2020-09-27 21:01:30 +0000 UTCTSUKASA
2020-09-27 13:59:26 +0000 UTCTSUKASA
2020-09-27 13:56:20 +0000 UTCちる
2020-09-27 10:35:08 +0000 UTC