NokiMo
枡久野恭(ますくのきょー)
枡久野恭(ますくのきょー)

fanbox


SSS 食戟のソーマ 田所恵 新婚旅行


SSS 食戟のソーマ 田所恵 新婚旅行


「創真くんと二人きりで温泉旅行に来る仲になるなんて。出会った当初は考えもしなかったよ♪」




 12月21日の午後3時ごろ。恵は創真と共に北海道某所にある温泉を訪れていた。2人は貸し切りの露天風呂に入り、恵は足だけ浸かって外の雪景色を楽しんでいた。


「結婚したんだし。新婚旅行は行くものだろ」


 創真の答えはあっけらかんとしたものだった。

 対して恵は頬が赤く染まった。


「うん。一昨日の誕生日に私たち、むっ、結ばれたんだもんね……」


 恵は一昨日の夜の出来事を思い出して体中がむず痒くなった。

 彼女は17歳の誕生日を機に創真と初体験を迎えた。友達以上恋人未満な関係を迎えていた2人に大きな変化が訪れた。同じ寮に住み、行き来が自由な環境にある2人に障害はなかった。熱い夜を過ごした。




 結ばれて初めて迎えた朝からの創真の行動は迅速かつ大胆だった。


「でも、まさか。いきなりプロポーズしてくるとは思わなかったよ……」


 恵の頬がまた赤く染まった。


「エロいことしたんだし。結婚するのは当然のことだろ」

「そっ、そう、だよね……」


 創真の世間とは少しズレた感覚に苦笑する。


「俺としては田所……恵がプロポーズを受け入れてくれたことの方がちょっと意外だったけどな。ほらっ、高校生夫婦って法律では認められてるのに多くはないからさ」


 創真の指摘に恵はまた苦笑してみせた。


「それは、相手が創真くんだからだよ」


 恵は初体験を迎えた朝にいきなりプロポーズされたときのことを思い出しながら口調を強くした。


「創真くんの性格からして、ここでプロポーズを断ったり保留したら。もう一生結婚してもらえないんじゃないかと思った。だから、高校生だからとか関係なくオーケーしたんだよ」


 恵は創真の性格を考えた上で結婚を了承するしかないことを述べてみせた。

 創真の性格上、一度結婚を躊躇すれば、恵は結婚に消極的なのだろうと勝手に結論付けて二度とプロポーズしてこない可能性が十分に考えられた。結婚に積極的な他の女に盗られてしまう可能性も非常に高い確率であり得る。

 なら、プロポーズを受け入れるしかない。まだ高校生だからとか言っていられなかった。

 創真からのプロポーズは断わってはいけない。そこまでは恵が何度も恋愛シミュレートを妄想してきた際に注意してきたことだった。だが、現実の創真は更にその先を行っていた。


「でもまさか、プロポーズを受け入れた2時間後に役所に婚姻届を提出するとは思わなかったよぉ」

「善は急げって言うだろ♪」


 創真はまたあっけらかんとした表情で答えてみせた。


「急ぎすぎだよぉ。私、実家へは入籍が済んでからの事後報告になっちゃったし」


 恵は昨日のことを思い出して頭が痛くなった。

 高校生の娘が結婚しますではなく、結婚しましたの報告をしてきたのだから両親が驚くのも無理はなかった。

 だが、相手が創真だということには特に驚かれなかった。恵のいつもの連絡には創真に関することが溢れており、恵が好意を抱いていることは両親には丸分かりだった。


「幸平の苗字で呼ばれることにもまだ慣れないし」

「その割には機敏に反応するよな。俺が呼ばれた時もすぐに返事するし」

「それは、気を張ってるからだよぉ」


 恵は赤くなった。

 結婚前の妄想で幸平姓で呼ばれることは何度もシミュレートしてきた。恋愛パワーも上乗せされてすっかり慣れていた。むしろ慣れ過ぎて、本番の時を迎えて過剰に反応しているのが現在地だった。


「入籍が済んだらいきなり北海道に出発って。新婚旅行だとしても急すぎだよぉ」

「遠月が十傑に対して融通の利く学校で助かったんだよなぁ。料理の研究ってことなら授業は出なくて良いし、タダで旅行出来てるんだし」


 創真は笑っている。普通の高校であれば今日はまだ平常授業期間中。だが、遠月、それも十傑ともなれば料理の研鑽の為という理由さえあれば夢の様な恩恵を被ることができる。

 創真と恵は共に十傑。その恩恵を使って授業を公欠し、タダで北海道の奥地の温泉郷に滞在していた。


「でも、良いのかな? 学校のお金で新婚旅行に来ちゃって」


 恵は後で怒られるのではないかと心配していた。だが、創真は全く問題にしていなかった。


「新メニュー開発の為にここまで来ているのは事実なんだ。ついでに新婚旅行を兼ねていても問題ないさ」

「あっ、そうなんだ。でも、新メニューって?」


 恵が尋ねると創真は胸を張って答えてみせた。


「恵の実家の旅館で夕飯に出せそうな新料理だ」

「私の実家の旅館の為のメニュー開発、なの?」


 予想外の答えに恵は驚かされた。創真は照れ臭そうに頭の後ろを掻いてみせた。


「年明けには恵の実家に結婚の挨拶に行くだろ。その際に土産の一つもないと格好付かないと思ってな」

「ああ、なるほど♪」


 恵はとても嬉しい気持ちになった。

 いきなり入籍をするという無茶をした創真だったが、恵のこと、恵の家族のこともちゃんと考えていた。


「この辺の作物や林では恵の実家の周辺と割と似たようなものが採れるらしい。それに、あっちにないものだったらここに滞在中に販路を開拓してしまえば良い。ここを仮想青森として新料理の開発だ。この宿の厨房は好きに使わせてもらう話も付けておいた」

「忙しく、なりそうだね」

「実際、忙しいだろうな。なんせ後10日ほどで料理も食材調達のルートも切り開かないとならない。のんびりできるのは今日までだろうな」

「うん♪」


 恵は嬉しそうに大きく頷いてみせた。

 世間一般的な骨休みも兼ねた新婚旅行とはならない。料理漬け。

 けれど、それが自分たちらしい感じがして。恵は新婚の実感を強めた。

 全身湯に浸かってお湯の温かさに癒しを覚える。


「創真くんと結婚できて。私、幸せだよ♪」


 創真と空に向かって断言してみせたのだった。










SSS 食戟のソーマ 田所恵 新婚旅行 SSS 食戟のソーマ 田所恵 新婚旅行 SSS 食戟のソーマ 田所恵 新婚旅行

Related Creators