満員電車で痴漢されて人生が変わった話 その後3
Added 2024-07-12 15:59:59 +0000 UTCこの日まで俺は、どこにでもいる普通の男だった。 スマホを弄ると彼女からのメッセージは返ってきていなかった。夜勤前に「もう一回だけ会えない?」そう送ったメッセージにはすぐに既読がついたから、まだチャンスはあるんだとそう思っていたのにやっぱり無理なんだろうか。 3年付き合ってそろそろ結婚か、なんて呑気に思っていたのは自分だけだったらしい。ここ数か月はレスが続いていたし、つい先日の彼女からの夜の誘いを断ったのが決定打だったようだ。朝起きたら彼女はいなくて「別れよう」とメッセージだけが送られてきた。 元々性欲は薄い方だと思う。AVを見ても興奮するより萎えてしまうし、セックスについても相手が喜ぶことをしなければというプレッシャーで楽しめないことの方が多い。義務に近い、と言えば彼女との別れは決定してしまうだろう。 もう一度「好きだよ」と送った。既読は付かない。今は仕事中だろうから仕方ないと思って電車を待つことにした。 いつもホーム端っこに立ったのはただの癖だ。学生の頃からわざわざ改札から遠い車両を選ぶ。そっちの方が人が少なくて座れることが多いからだ。眠い頭ではルーティン通りの行動をとってしまうのが人間ってもの。出勤時間のピークを過ぎた頃でホームには人がまばら。眠い目を擦ってぼんやりしているとすぐに俺が乗る電車が到着する。 プシュッという音と共に開いた扉の先は満員電車並みのごった返し具合だった。予想してなかったその混雑さに乗ろうと伸ばした足が止まる。その瞬間じろりと睨むようにこちらを見る無数の目。 なんだ?この違和感。 感じたその違和感に従って違う車両へ向かうなり、電車を見送るなりすれば良かった。けれど眠気が勝ってしまって、疑問に思いながらも俺はその電車に乗り込んでしまった。失敗その1。 「おい、お前────だよな?」 「……は?……はい…?」 扉側に無理やり乗り込んだ俺にすぐそばにいた男が何かを尋ねた。正直何を聞かれたのかさっぱりなのに、これまた眠気が勝って適当に返事をする。途端に剣呑だった男たちの目から不思議と警戒のようなものが消えた気がした。失敗その2。 違和感、疑問、異様な空気。 全て危険だと俺に警告していたのに、馬鹿な俺はそれらをすべて無視してしまった。やがて扉が閉まって電車は動き出してた。 「……っ、……ぁ、ん……」 「?」 最初に気づいたのは声だった。スマホを弄っていた手を止め耳に集中すると、押し殺すような声がどこからか聞こえてくる。そっと顔を上げて周りを窺うと、人が混雑する車内で皆の視線が俺の隣辺りに集中しているのが分かった。 何を見てんだ?そう思って横目で見ると、俯くような恰好で扉の方を向いた男子学生の姿が見えた。じっと見つめているとその学生(制服を着ていた)はたまに体をビクつかせて声を漏らす。やはり彼から聞こえる音だった。 一瞬体調でも悪いのかと思ったが、すぐに違うと気づく。その学生のすぐ後ろにいる男の手が無遠慮にその尻をまさぐっているのが見えたからだ。 数秒意味が分からず無遠慮に見つめていたと思う。その指が尻の割れ目に沿ってつつ…と刺激した時、大げさなくらいその学生が体を震わせてか細く声を出した。痴漢だ。 ──は?痴漢?……男に? 出てきた感想はパニック以外の何者でもない。すぐに足元へ視線を戻し何もなかったことを装う。乗った車両を間違えた、そう思った自分は最低だろう。普通なら「助けなきゃ」とか何かしらの行動を考えるだろうに。元来そういう面倒ごとから逃げてきたクズだから正直なところ「逃げたい」一択だった。しかし逃げようにも車内は朝のラッシュ並みに混雑している。扉周辺に立っている俺の隣にも男が二人いるから身動きもとれない。 どうすればいいんだろう。無理やり人を割って他の車両へ行くか?それが出来そうな車両ならそうするが、どうにも難しい。なぜだか分からないが、この扉周辺を中心に人の込み具合が半端なかった。よくこんな車両に乗り込もうと思ったよな俺。そしてなんで乗り込んだんだよ俺。くそが。 今すぐ逃げたくてもこの列車は快速だ。次の駅まで時間は長い。ただじっと耐えるしかないとスマホを見ている振りをして意識をそらそうとするが、耳はその音を勝手に拾ってしまう。 「……あ、はぁ…、…んっ…、…ん、…」 ちらりと覗くとちょうどそのタイミングで学生が俯いていたその顔を上げた。扉に映る形で見える表情は苦しそうに見える。当たり前だ、痴漢に合うのを喜ぶやつなんていないだろう。 それでも男は遠慮なく尻を触り続けて、その度に彼はビクビクとその細い腰を震わせている。揺れるその細い腰にも男の手が容赦なく伸びて、腰から足にかけてをわざとらしくゆっくりと擦った。恐怖からだろう、その度に彼の体は大きく震える。 車内に会話はない。異常なくらいに静かだった。だからこそ彼の声はとても響いてしまって、錯覚だろうが服の擦れあう音すら聞こえる気がする。聞こえない位置に行けばいいのになぜだか俺の脚は根っこが生えたみたいにその場所から離れようとしない。 しかしここで「お前何やってんだ!」なんて言えるほど俺は人間ができてない。ことなかれ主義ってやつだ。だって他のやつらだって多分これ気づいてるだろう?そのくせ止める奴もいないってことは、俺と同じクズの集まりだってことだ。 少し眺めてみても俺のすぐ隣のやつだって向こうにいる奴だって、そのほとんどが俺の隣にいる二人を見てる。ギラギラ熱い目で見てる時点で、役得だって眺めてる変態野郎ってことだろ?この国終わってるだろ。一人ぐらいいないのかよ、ヒーロー。 「…あっ!…だめ、だめぇ…」 彼が戸惑ったように割と大きな声を上げた。思わずそちらを見ると、男の手が学生の股間に伸びていてぎょっとする。いよいよヤバい。勘違いじゃなく本物の痴漢だ。 「…やっ、やだ…、やだよぅ…」 「…聞こえちゃうよ?」 「!…や…、…っーーーー」 痴漢が耳元で囁くとーーー隣の俺にはばっちり聞こえてしまったーーー彼は慌てて自分の口を覆った。声を我慢しようとしているんだろうがあまり上手くいってないことは想像できる。真っ赤な顔をして震えているその体は明らかに快楽に負けようとしているから。「んっ!…んぅ♡」とくぐもった声が余計にいやらしい。 今にも泣き出しそうなその目が耐えるようにぎゅっと瞑られる。それを男はわかっているだろうに、遠慮なく掴んだ彼の股間を遊ぶみたいに指で弄っていた。 くり、くりくり、くりッ♡ 「はぅ!…はぁ…♡ …だ、めぇ…♡」 「そんな大きいと、エッチな声聞かれちゃうよ?」 「んぅーー…、…んっ…、…ん、…」 「…フル勃起じゃん…いやらしー…♡」 「ぁ…!…ッやだ、みないで、みちゃだめ、だめ…!」 「しぃー…気づかれちゃうよ?」 「…っ…」 あろうことかズボンをずらしてパンツに手を伸ばした男が揶揄うように笑うと、泣き出すような顔で彼がその体をよじった。目を見開いて男の手からどうにか逃げようと身をよじるのに、なぜだかその腰つきがいやらしく見えて思わずごくりと喉が鳴る。 何なんだよマジで。何でだれも止めないんだ?気づいてるくせに不躾に眺めるだけで誰一人止めようとしないこの空間は変だ。…いや、俺だって止めようとしてないんだから他のやつをとやかく言える筋合いなんてないんだけど。 俺の降車駅はまだまだ先だったが、それでももうこんな電車降りるしかないだろう。あと何分で次の駅に着くんだ?ソワソワと焦っても電車の速度は変わらない。早く早く早く。できるだけ隣を見ないように必死に真っ黒なスマホ画面を眺めているふりをしていても音だけはどうしようもなかった。 ガサゴソと隠すつもりもなさそうな音。彼の戸惑うような声が聞こえる。どうしても気になってちらりと見ると、男は大胆にも彼のズボンからペニスを取り出しその手に握っていた。 「ほら、足踏ん張らないとズボン落ちちゃうよ」 「やだっ、やぁ、はっ…はっ、あっ…!」 「…今からぐっちゅぐちゅにペニス虐めるけどいい?」 「やだぁ…やめて、まって…いや、やだぁ…」 「…固くしてるくせに…変態」 「やだ、やだぁ…うぅ…」 変態と耳元で罵られて、彼の真っ赤な顔が泣きそうに歪む。隠しようもない震えは恐怖からだろうか、それとも羞恥心か。男がその体を弄ぶみたいに全身を撫で、時折ペニスを弄ると「ひゃ」とも「ぁん」とも聞こえる声を上げた。完全におもちゃ扱いされている。 その時車内にアナウンスが流れた。もう少しで次の駅に着くらしい。やっとだ。やっと解放される。降りたらすぐ次の電車を待って帰ろう。奮発してタクシーに乗ってもいい。もう今日のことは忘れたい。 眠い頭がガンガンと頭痛まで呼んでしまって俺の思考能力は死にかけだ。早くベッドに入りたい。今日のことは全部忘れよう。俺は何も見なかった。何も知らない。この電車にだって二度と乗るもんか。 俺は何もーーー「…っ~~やだよぉ…」ーーー子どもが助けを呼ぶような声だった。 何も考えないまま隣を見ると、彼と目が合った。真っ赤で震えたその顔には羞恥心とズタズタのプライドが浮かんでいる。元々大きめだろう目は今は細められていて、すぐにでも零れそうなほどたっぷりの水分が見えた。苦しんでいる。目の前でイケメンだろうまだ若い男の子が。 「…っ!」 何も考えないまま俺はその手を握っていた。男の手を振り払うように掴んで、今にも倒れそうな彼の手を握って背中に庇っていた。もう傍観者のふりなんてしてる場合じゃない。くそ野郎しかいないこの電車にヒーローは俺以外いないらしいから。 俺がこの子のヒーローになる!!そんな心持ちで、俺は言ってやったんだ。 「何やってんだよこの痴漢野郎!!」 「………」 「………」 「………」 車内がシンッと静まり返る。しばらくその沈黙は痛いくらいに続いた。 …え、こんなもんだろうか。誰か一緒に取り押さえるみたいな動きがあるもんじゃないのか…。 痴漢の手と被害者の子の手、両方を握ったまま固まってしまった俺の頭がこの状況によって急速に冷えていく。なんか…なんかおかしくない?この空気だと俺がなんだかおかしいことしてる雰囲気になってんだけど何で?…今までの状況もそういえばおかしかったよな?だって男が男に痴漢されてて、しかも誰もがそれを傍観してるくせに助けようなんて人間が一人もいないって。でもまぁここまでは、この国の人間オワタくらいの話だったかもしれないけどさ。 けどなんかそれ以上に、これは、この状況は……? 「……はぁぁ?」 どこからかとんでもなくドスの聞いた声が聞こえてハッとする。最初は痴漢野郎だと思ってギッと睨みつけようとしたけど、男(そこでまじまじと見たがこいつもイケメンだった)は、平然とした顔でそこに立っていた。さっきの悪態は彼の口からじゃないらしい。ということは…恐る恐る後ろを振り返ると、とんでもなく不機嫌そうな顔をした〝彼〟がそこにいた。え、さっきまで…きみ弱弱しく泣いてましたよね? 「……はい?」 「…いや、はい?じゃないんだけど。何だよこれ。これも演出?どっきり?…あーもう冷めちゃったじゃん」 「どっきり?…え?…は?」 「それより手、離せよ。痛い」 「あ、はい」 言われて機械のように従う。はい、すみません、はい。慌ててその手を放すと、彼はさっきまでと全く様子が変わっていた。被害者、そんな言葉は彼に当てはまらないように見えた。むしろ今の彼はこの場の支配者だ。その威圧感に戸惑っていると、もう片方掴んでた手がゆらゆらと揺れる。 「こっちも離してくれる?」 「…え、でも……え?」 「痴漢じゃないから俺」 「えぇ…し、してましたよね?彼に、思いっきり!」 彼に!の所で被害者の方を指したのに、もうそこに彼はいなかった。どこに行ったと慌てると、何事もなかったかのように空いている椅子にのんびり座ってあろうことかお茶を飲んでいる。何それ。なんか周りの男がお付きみたいになってるのは気のせいか?いや、絶対なんか可笑しいだろ。どっきり?…どっきり!? 「一応言っとくんだけど、これは痴漢じゃなくて痴漢プレイだから」 「……は、」 「…やっぱあんた参加者じゃないだろ?」 「さんか、何…?え?」 理解できない俺が「あ?」とか「え?」とか戸惑いしか口にできないことに大きくため息をついて、男は分かりやすく説明してくれた。 「…さっきの全部了承済みの痴漢プレイだったんですよ。ここにいる全員でやってる観客ありの痴漢プレイショー。本物じゃなくて偽物。…ここまでお分かりですか?」 「……へ?」 なんと滑稽な話。ヒーローなんてとんでもない、俺はただのピエロだった。 俺が飛び乗った電車は一部界隈では有名な「痴漢電車」らしい。そんなもん健全に生きてきた人間が知るわけないだろくそが!と言ってやりたいが、あまりにも自分の行動が恥ずかしくて萎縮する他なかった。ひ、ヒーロー気取りって黒歴史の最高の材料だよね…死にたい。 彼らは不定期で集まり、人が少ない時間帯の、これまた人が乗りたがらない少ない車両を借りてその手の行為を楽しんでいたらしい。変態くそ野郎どもめ…そう思うが、できる限り周りに迷惑をかけない対策はしてきたらしかった。奴らだってこういう萎える事態は避けたいんだろう。 痴漢プレイのことを知っていて嫌だと思う人間はもちろん避けてはくれる。それでも万が一を考えて他の車両すらガラガラの時間帯、改札から一番遠い車両にぎちぎちの参加者を詰めれば好んで乗り込んでくる奴もいない。 何も考えてない俺みたいなバカを除いては。 車内は騒然としていた。皆どこかしらガッカリした様子で、やっぱり誰しもが俺のことを憎々しげに睨みつけてくる。そりゃそうだ、彼らにとって俺はお楽しみを奪った敵でしかない。 「…すまん、途中の駅で乗ってきたから怪しいとは思ったんだけど…一応確認したら参加者だって言うから…」 「…そう答えたんですか?」 「え、あー…なんか言われて適当に「はい」って答えたような…」 俺が曖昧に答えると確認担当者らしき男が大きく舌打ちをした。違うくせに「はい」って答えるか普通?と言いたいんだろう。あぁ…はい、俺がマジで自分から巻き込まれに来たんですね、はい。 「~~~なんか…すみません…!」 「いや、こちらこそ巻き込んでしまって申し訳ないです」 痴漢(役?)だった男が丁寧に俺に頭を下げてくる。他の人間は大体俺を睨みつけているのに、この男だけは紳士的だった。イケメンはやっぱり心までイケメンだ。ありがたい。というかこいつしか今俺の味方はいない気がして、彼から離れないように俺は小さく縮こまった。 そりゃそうだよな。せっかく楽しんでいた趣味の時間、こんな大勢が集まってえいやそいややってるとこをいきなりヒーロー気取りバカ野郎が邪魔したんだもんな。申し訳なくてひっそり落ち込んでいるとイケメンが言った。 「…なんか通報とか考えてます?」 「え!…通報!?俺を!?」 「いやなんで。俺たちを、ですよ」 「…あー…そういうことか…え、通報?」 「…趣味で集まってる団体なんで、見なかったことにしてもらえるとありがたいんですけど…」 「あー…い、いや別に俺は、通報とかは考えてなかったです…」 「良かった。ありがとうございます」 頭を下げられて恐縮する。男に続くみたいに数名頭を下げられて、本当に何かのサークルのような雰囲気なんだと驚いてしまった。これでやっと敵判定はなくなったのか睨む人が減った気がしてひっそりと息をつく。そんな俺を気にすることなくメンバーの一人がイケメンに話しかけていた。 「おい、由太ふてくされてるぞ。行ってこい」 「…あぁ。まいったなぁ。由太のやつ今日は久々だったからってテンション上がってたんだよな。中途半端にしたから逆にフラストレーションたまってそうだ」 「3週間ぶりだったからなぁ。由太もノリノリだったし。俺らもテンションがた落ちだよマジで」 「………すみません」 由太(ゆうた)とは、どうやら先ほどの被害者役の学生のことらしかった。不機嫌そうに椅子に座った彼にまるでご機嫌を取るように数名の男が話しかけている。しかし彼はそっぽを向き話そうともしてない。その様子に女王様という単語が頭をよぎった。 何も知らない俺でも大体の状況はわかる。この由太という青年は痴漢プレイの被害者役。バイトか何かなんだろうかと思ったが、この不機嫌さを見ると彼自身も楽しんでやってるのかもしれない。…それを俺が邪魔したってことか。……申し訳なさすぎる。 不機嫌そうに口を尖らせた由太の傍に先ほどのイケメンの男が近寄って話しかけている。俺はただ成り行きを見守っていた。 「由太ごめんな?疲れちゃった?」 「…別にぃ。…でも今日はもうしない。やる気なくなった!」 「うん、由太がそう思うならいいよ。無理しないで。由太が一番楽しめないと意味ないんだから」 「…ん」 「今日は解散する?それともどこかデートでも行こうか」 「…………」 「由太?」 優しい言葉に幾分ほだされたような顔をした彼は、けれどどこか不満げだった。男の言葉は砂糖菓子のように優しい。何もかもを受け入れてもらっているのにどうしてと思ったが、すぐに答えはわかった。 少しだけ迷うように言葉を探していた彼が、やはり我慢できなかったようにその不満を口にする。 「……建人(けんと)は俺としなくて平気なの?」 「え?」 「…3週間ぶりだったのに、やりてぇってなんないのかって言ってんの!」 「………」 拗ねたような甘えたような声で由太がそう尋ねたら、建人と呼ばれた男が少し驚いた顔をした。しかしすぐにその顔は蕩ける。優しい顔で笑った男は内緒話のように由太の耳元で甘く囁いた。 「…由太」 「あ!…な、に…。…んっ…!」 「俺は、いつでも、どこでも、由太を犯したいよ」 「…ぁ、…んぅ゛…っ」 「そんなの由太が一番わかってるだろ?…俺だって物足りないに決まってるでしょ」 「…あ、ぅ…♡」 囁かれただけなのに、まるで愛撫されているみたいにうっとりと目を細めた由太が恥ずかしそうに俯いた。でもその顔は嬉しそうに笑みを浮かべていて、隠しきれない欲望がまたふつふつと熱を帯びているのが他人でもわかる。 そのやり取りはすぐ横にいた俺には全部聞こえてしまった。男が耳元で囁いただけなのに、由太はひどく興奮している。小さく「はっ…はぁ…♡」と荒い息を漏らす由太を煽るみたいに男がまた何かを囁き続けると、泣きそうな顔で由太は男にキスをねだっていた。そのいやらしい光景に見ているだけで心臓がバクバクする。 目の前で欲望に耐えられない人間がいて、そしてそれを煽る人間がいる。どちらも需要供給がぴったり一致しているんだろう、幸せそうに見せつけるように全身で快楽を表現していた。異常だ。訳もわからないのにただのそのやり取りがいやらしくてドキドキして、たまらなく興奮してしまった。 「由太が続きやりたいって」 建人と呼ばれていた男がそういうと、車内はわっと盛り上がった。と同時に駅名を告げるアナウンスが聞こえてきて、俺を現実へと引き戻す。ーーー降りなきゃ。俺は痴漢プレイなんて興味ないんだし、そもそもそんな犯罪なんて関わりたくない。家に帰って彼女に電話して、やり直そうって言わないと。好きだよって言わないといけないのに。なんで。なんでちょっとだけ後ろ髪を引かれるような気持ちになるんだろうか。 「あなたは、降りないんですか?」 「!…お、降りますよ…」 詰問されるみたいに男に声をかけられてハッとする。自分に言い聞かせるようにそう言って扉の前に立っていると、何人かのメンバーたちが俺の肩を叩いて笑った。 「まぁそう言わずに!由太に見惚れてたじゃん、あんたも好きだろ絶対」 「…は、はぁ?」 「正直この列車に乗れるの貴重だからね?倍率高いんだよ。もう多分こんな機会ないからね?」 「いや…別に…」 「ここにいる奴ら由太に性癖歪まされた奴ばっかだから。あんな体験しないとか勿体ないと思うけどねぇ」 「……………」 彼らのわざとらしい引き止めの目的は何となくわかる。俺を共犯者にしたいんだろう。このまま降ろして何かの拍子に警察に駆け込まれるよりも、駆け込めない状況に俺を持っていきたいんだ。チラリと建人の方を見ると「やめとけよ」と軽く彼らを制しながらも俺自身に選択は任せるという感じだった。 ここで見て帰れば俺はこいつらと共犯だ。どっちにしろ本当に通報なんてするつもりはなかったから、このまま帰ってもプレイを見て帰っても結果は同じだろう。 「…なぁに?始めないの?」 「!」 由太がいつのまにか建人の隣に寄り添うみたいに立っていた。催促するみたいに体を押し付けて、苦笑した建人が「こら」と言いながらその尻に手を伸ばすとまたすぐに由太の目がとろんと溶ける。 「けんと、…っ…、…ぁ…、おしり、ぎゅって、にぎるの、だめ…だめだって…、あっ♡」 「待てできない悪い子にはお仕置き」 「んぅ…♡ …は、…ん!…っ、…んぅ…♡ …ん、」 「お尻にぎにぎされるとスイッチ入っちゃうねぇ」 「…んぁ、…あっ、…あ…♡ …ぁ、あぁ…♡」 「…由太も準備万端だし、扉締まったら始めましょうか?」 男の声でやっと、ホームへの扉が開いていることに気づいた。駅名を告げる声がする。彼らに夢中で何も聞こえてなかった。気づいたけれど「降りなきゃいけない」というさっきまであった気持ちは急激にしぼんでいる。俺はもう何も考えられなくなった頭でただ由太と男を見つめていた。 ドアが締まるーーーもうすでに息を荒げた由太の体を扉に押し付け、建人が周りを見渡して頷く。始まりの合図だ。 扉が閉まると同時に震える息が由太の口から零れる。白く曇ったガラスのせいでその息の熱さを感じた気がして落ち着かない。いやらしいそれに見惚れていると、いつのまにか車内はシンッと静まり返っていた。 布の擦れる音がする。ゆっくりと男の手が由太の尻を掠めるだけで、彼はビクンッと全身を震わせる。期待しているのだと誰の目からも分かるのに、男はわざとなのか直接的な接触はしなかった。下を向いて耐えるように震えている彼の首筋に息を吹きかけたり、背中に全身をくっつけて揺さぶったり、もどかしい刺激ばかりを与えている。その度に小さく「ひっ…」という声が聞こえて、その体が怯えるように震えていた。無意識に溜まった唾を飲み込むと、想像以上にその音が響いて驚く。それくらいに車内は由太と男が発する音以外、一切の無音だった。 「はっ…、…っ、…ん、…ぁ…」 時折由太の体が扉の方へと逃げようとする。けどそれを許さないというように、男の脚が由太の体を割るように差し込まれた。 「…っあ!」 「…しー…聞こえちゃうよ?…ふふ、こうすると動けないよねぇ」 「や、やだ…、やだぁ…」 「嫌なの?…本当に?ちょっと触っただけで、もっともっと…ってお尻振ってるじゃないか」 「…ちっ、ちがぅ…!してない、してないもん…」 真っ赤な顔をして否定する由太。本当にこれはプレイ…演技なんだろうか。そうだとしたら彼は役者になるべきだと思う。それくらいに俺の目には彼らのやり取りがリアルに見えてならなかった。本当に戸惑った様子で由太は首を振って拘束から逃げようとしている。不幸にも痴漢にあってしまい、けれど効果的に体を刺激されて戸惑っているようにしか見えない。咄嗟に助けなければと思うほどそれらは本当にリアルで、つい一歩踏み出そうとした俺を誰かの手が止めた。そこでハッとする。手の主を見上げると、冷たい目で睨まれた。邪魔をするなよと忠告されたのがわかって、ようやっと頭が冷えて現実だと分かる。それくらいに彼らのやり取りはリアルそのものだった。 いやいやと首を振り、弱弱しく体を動かし逃げようとする由太をあっさりと男は解放した。扉に手を当てて戸惑うように振り向いた由太に男は耳元で宣言する。 「…じゃあもう俺からは触らないよ」 「……えっ…?」 その言葉にぽかんとした顔で由太が振り向く。顔色をうかがうように見つめてくる由太に笑って、建人は意地悪く「嫌なんだろ?」とわざとらしくため息をついた。「騒がれたらバレちゃうし」なんて今更なわざとらしいセリフを吐く。 触らないと宣言した通り、建人はそれっきり由太の後ろに立ち続けてはいたが触ろうとはしなかった。ガタンガタンと電車が揺れる音だけが響く。無意味とも思える時間が過ぎていった。 ………え、これってプレイ終了って話か?なんか方向性の違い?みたいな? 一人戸惑う俺が周りの乗客を見ると、ただの一人も俺のように焦っていない。素知らぬ顔でスマホを弄ったり外を眺めたり。けれど彼らの意識は二人から離れていないーーーあぁ、皆わかっているのか。 これは建人が由太を刺激するいつものやり方なんだ。いや、いつもやってるのかは知らないけど。 でもこうやって駆け引きをして由太も見物人も飽きさせないようにあの男はいつも工夫しているのかもしれない。さすがプロ……って、痴漢プレイにプロなんてあるのか知らないが。自分でツッコミながら視線を元に戻すと、由太がもどかしそうに自分の体を抱きしめていた。急に放り出されてしまった彼の体は今ひどく疼いてるんだろう。想像したらその辛そうな横顔に可哀想ではなくひどい興奮を覚えてしまう。 混雑した電車に余裕はなく、電車の揺れで由太と建人の体はまた少しずつ密着する。温度を感じたのかビクンッと大袈裟なくらいに由太の体が震えて、けれどそれ以上触れてこない男にまたもどかしそうに唇を噛むのが見えた。彼は期待しているのだ。 「……触ってほしい?」 「…っ…」 本当に囁くみたいに問いかける声。悔しそうに唇を噛んだまま、本当に小さく由太が頷いた。 その答えにやっと焦らすみたいに建人の腕が動いていく。由太の股間あたりに伸びた手が煽るみたいにゆっくりと由太の股間へと伸びた。自分が望んだことだろうに、怯えたみたいに由太が首を振って抵抗する。 「や…、まって、まって…」 もはやその制止は煽りでしかない。現に制止は言葉だけで、由太はむしろ迎え入れるように股間をかすかに突き上げていた。言葉では抵抗しながらも、早く触って、早くはやくはやく…!そう訴えるようにプルプル震えながら腰を突き出す姿はエロすぎだ。 その少し盛り上がった股間の中心にゆっくりと建人の指が伸びる。弄ぶみたいにゆっくりゆっくりと下から上へつつつ…となぞると、その指の動きに呼応するみたいに由太の体がビクビクッと激しく仰け反った。 「…ッ~~~~ぁン゛ッ!♡♡」 「……あーあ、大きな声出しちゃった…」 「ッはぁっ…♡ …あ、…はぁ…!…あ、んぁ…♡」 たった一度、指先で擦られたその刺激に由太は何も言い返せないまま腰をビクビク無様に震わせていた。仰け反ったその顔を見たくてそっと覗き込むと、焦点の合ってないその目はうっとりと潤んでいる。赤ん坊が安心感を求めるみたいに自分の指をしゃぶり、けれど妖艶に蕩ける姿はあまりにもいやらしかった。 たった一度の刺激ですっかり力が抜けてしまったのか、カクカクと揺れるその足は頼りない。ほとんど後ろにいる建人に全身を預けるような恰好で、彼は余韻に浸ってしまっている。…まさか、さっきの刺激でイッてしまったんだろうか。あんなに小さな刺激で?けれどあの激しい痙攣と今の余韻に浸る様子を見るとありえないことじゃない。ごくりと喉が鳴った。その音が自分から出たものか周りから出たものか、俺にはわからない。 ただ車内がひどい興奮に包まれているのはわかっていた。 建人の足が由太を支えるように間に滑り込む。それすらも刺激になるのか彼の体はビクビクと震えた。ズボンの膨らみは先ほどと変わらない。射精までには至ってないのかーーーいや、射精がないのにイッてる方がエロい。 まだぼんやりとしている由太の耳へ建人の舌が伸びてーーージュルジュルジュルッと、音を立ててその耳も犯していく。すぐに由太の目がぐずぐずに溶けた。 「はぁぅッ…ひ、ひっ♡ …ひぃ、ひっ…♡」 「…はぁ…、俺の指でイッてくれてありがとう♡ …すごく上手だった…。甘イキ気持ち良かった…?」 「…ッはぁぅ…♡ …っ、ちが、ちがぅ…♡」 「ふふ、恥ずかしいねぇ」 「…ぁ、ぅ…」 羞恥心でいっぱいになった赤い顔から涙がポロリと落ちる。可哀想だと思う以上に快楽を認めない彼に余計に外野は興奮していく。それをわかってて煽っているのだと頭の隅で理解しているはずなのに、それこそAVだと分かっていても興奮してしまうような愚かな生き物の気持ちが今の俺にはわかる。 やっと少しだけ震えの止まった由太の前に建人が手を伸ばした。またそこを刺激するのかと思ったその指は少し手前でぴたりと止められてしまう。由太のソレの数センチ手前。いやらしくピンと伸びた意味深な中指の意味。男の声が響く。 「…自分で擦り付けて?」 「!?…や、やだ、やだ…!」 「しー…周りに聞こえちゃうよ」 「…ッ…」 用意されたようなセリフに笑いそうになるのに、必死な彼の顔を見ると自分たちは本当にただの乗客に思えてくるから不思議だ。…あぁそうか、本気で彼はそう思っているのかもしれない。本当に自分は痴漢にあっていて、けれど気持ちよくてどうしようもなくて、でもバレてしまうのは怖くて、恥ずかしくて。恥ずかしくて、でも気持ちよくてたまらなくて。 ……あぁ、本当に、たまらない。 俺たちの視線を浴びながら、由太の視線は目の前に伸びている中指に夢中だ。長く関節がしっかりしたそれがわざとだろう小刻みにいやらしく揺れている。ここまできたら気持ちよくしてあげるよと、由太にはそんな声が聞こえているのかもしれない。 「はっ、はぁ、はぁ…♡」と、由太の息がどんどん荒くなっていった。 「…腰をちょっと突き出せば気持ちよくなれるよ。…大丈夫、声を我慢したらバレたりしないからね」 「…はっ…♡ …はぁ、はぅ…、あぅ…」 「…ほら、支えててあげる。ゆっくり、ゆっくり突き出してみて…?」 「はぁっ、…あ、…ぁ、…あぁっ…~~~~~あぁッ」 おそるおそる、ゆっくりと由太が股間をその指へ近づけていく。いやらしく腰を突き出していく。欲望の目に見守られながら、ぷるぷると震えているその先っぽがやっとその指触れてーーー途端にぶるりと全身が痙攣した。 「…ア゛ッ♡♡♡」 「気持ちいいねぇ?…ほら、もう一回」 「…あ゛っ♡…あっ、あぁ♡ …アッ!…はァ゛♡♡」 ヒクヒクと震えながら、建人の命令を聞くように腰がまた幾度も突き上げられていく。少し触れるだけなのに、その度に仰け反って震える彼は快楽の虜だった。口では「いやだ」と泣いているのに、またすぐに自ら腰を突き出してねだる。もどかしいそのやり取りが外野にはもうたまらなくて、今すぐに由太のそこをぐちゃぐちゃにしてやりたいと思った。同時に「イかせてください」とねだるまでは絶頂させたくないという嗜虐心までも湧き出てくる。 周りに膨張したその感情を嗅ぎつけたように、建人の指が動いた。由太の指から逃げるように、少しずつ遠くへと。 「あっ…?…やだ、やだぁ…」 追いかけるように腰を突き出すと、快楽のためか不安定な体勢のせいか由太の体はプルプルと震えている。諦めて腰を引くとまた指は戻ってきて、そこへ擦りつけようとするとするりと逃げていく。情けなく腰を揺らしてしまう由太がついに泣き出すと、殊更優しい声で建人は囁いた。 「…いやらしく腰を振る姿、みんなが見てるよ?」 「…ッ!」 今更なのに、けれどハッとした顔をして由太がこっちを見た。息を荒げて見つめる俺や他の乗客たちの視線に顔を真っ赤にして懇願する。 「…見ちゃ、みちゃだめっ…みちゃやだ…!」 ぽろりと涙を零しなす彼を見て抱いたのは可哀想なんて感情じゃない、ただ犯したいという欲望だった。建人はその様子に笑って、いまだ立ち上がっていたその股間に指を這わせた。ビクンッと由太の体が震える。 「あっ!?やっ、やだ…!」 「もうバレちゃったからいいよね?…たくさん擦ってあげるね…!」 「まって、だめッ!だめだめだーーーひッっ♡♡」 ぐちゅんッ♡♡ 制止するその声ごと擦るみたいに容赦なく、長い指が由太の股間をズボン越しに強く擦りあげ始めた。ズボンの奥から湿ったぐちゅ♡ぐちゅ♡ぐちゅ♡という音が往復するたびに何度も響く。快楽が強すぎるのか、由太が仰け反ってビクビク震えながら大きく絶叫する。 「ひぁあ!!…あぁ!…あッ!あぁァぁ゛ーーーー!!」 「すっごい声。もうバレちゃったもんね、みんなに見てもらいたい?」 「やぁぁ♡♡ やらぁッ♡ みらいれっ、…みちゃ、みちゃぁ♡♡」 「あぁ、泡立ってきた…♡」 「らぇぇーーーー♡♡ ッあぁーーー♡♡ あぁぁ、あぁァ゛ーーーー♡♡♡」 ぐちゅ♡ぐちゅ♡ぶちゅ♡ぶちゅ♡ぷちゅ♡ぷちゅぅ♡ぷちゅぅぅ♡ぴちゅ♡ぶちゅっ♡ぶちゅぅ♡ぷちゅぅ♡ぷちゅぅぅ♡ぴちゅ♡ぶちゅっ♡ぶちゅぅ♡ ズボン越しに出てきた水分が指に刷り上げられてぶちゅ♡ぶちゅ♡と音を立てる度に小さく泡を作る。彼が与えられる快楽に喜んでいるのはわかった。支えるように伸びていた建人の腕にしがみ付くようにして、自分自身で腰を擦り付けているからだ。怯えたような声を出しながら、けれどその目は与えられる快楽を全身で受け取ろうとしている。自分を見てペニスを固くしている人間を見て、彼の目は笑っていた。あぁ、なんて淫乱な生き物なんだろうか。 体の震えで限界を感じたのか、建人の指の動きが速くなっていく。 ぶちゅぶちゅぷちゅぶちゅぷちゅッ♡♡ 「やらぁっ!イク♡ イクぅ♡ いぐぅぅ♡ …ッおっきぃのぐるぅ!!ッきちゃ…ア゛ぁッ♡」 「イッていいよ…?ほら、ほらほらほら♡」 「…ッひィ♡ ひっ!…ン゛ぅ♡♡ …ッぐる!…きちゃ、きちゃぁ♡♡」 「ほら、いけ!イけ、イけ!」 「きもぢいッ…♡♡ いくっ、いっちゃ、きもちぃッ♡ …あ゛ッ~~~~♡♡」 容赦なく攻め続けるその手に限界まで突き上がったそのいやらしい股間を自分から擦り付けて、 「ッひぃぁ♡♡ あ、あっ、あっ♡♡ きゅぅ、うぅ♡♡ ぅッ~~~~♡♡♡」 ビクビクッ♡♡ …ぶちゅっ…♡♡ 俺たちの目の前で、由太は全身を震わせて絶頂した。 …はぁ、あぁ…♡ 由太が全身をヒクつかせながら艶めかしい吐息を車内へと吐き出していく。吐精したのだろう、制服のズボンは粗相をしたようにすっかり濡れていた。車内は騒然としていた。いつものことなのかもしれないが、興奮した様子で写真を撮る者や、その場でペニスを扱いている者すらいる。しかし気持ちは分かった。俺のペニスも痛いくらいに勃起していたからだ。 由太の痴態は脳みそのまともな神経を焦がす力があった。まともであることが馬鹿らしくなる。こんなものを目の前にして、我慢できる人間なんていない。 「…ほら、由太。気持ち悪いズボンは脱いじゃおうな」 「はぁ…、あぅ…♡」 ぼんやりした顔でその言葉に抵抗すらしない由太を良いことに、建人の手があっさりと由太の下半身を露出していく。下着ごと脱がされていく姿から目が離せない。ねちょ…♡と音がしそうなほど出された液体が糸が引いていて堪らなかった。まだ由太のペニスは少しだけ勃起している。 クラクラと興奮で眩暈がした。男のペニスなのに今すぐしゃぶり付きたいとすら思う。いやらしく濡れたその全身から皆が目を離せずにいると、由太がすすり泣くように呟いた。 「みないでぇ…、みちゃやだ…」 「ーーーーー」 誰もが襲いかかりたい衝動に駆られただろう。まるで被害者みたいに泣きながら、由太はヒクヒクとその体を俺たちに見せつける。煽られているとしか思えないのに、けれどやはりその泣き顔を見ると自分が加害者になってしまったように思えるから不思議だった。 …あぁそうか、本気で彼はそう思っているのかもしれない。本当に自分は痴漢にあっていて、けれど気持ちよくてどうしようもなくて。快楽に負けてしまって全身を溶かされて、恥ずかしいのに何度も激しくイッて、鳴いて、見られて、こんな大勢に見つめられて射精したことが恥ずかしくて、恥ずかしくてーーーーあぁ、たまらない。 そんな由太を褒めるみたいに建人がそのペニスの先端を擦り上げる。 その刺激に「ひぃ♡」と嬉しそうに鳴いて、由太はまたねっとりした液を飛ばした。 この日まで俺は多分『普通』の男だった。でも今はもうその『普通』が分からない。彼らを見ていたらもう、これ以外のものに興奮するのは無理だと悟ってしまった。 ポケットから取り出したスマホが彼女からのメッセージを知らせていたが、無視して俺は目の前の痴態にレンズを向けた。
Comments
モブさん…決して悪い人じゃないんだろうけど…と書きかけて、まぁ痴漢プレイに乗っちゃう人だから悪い人だなと認識を改めました笑 もうちょっと2人の絡みを濃厚にしたかったなぁと思いつつ、また次の機会にでもたくさん楽しんでる2人を書きたいと思います! 感想励みになります、ありがとうございます。
午後
2024-07-17 01:41:46 +0000 UTCモブ氏がグルグル悩んで、せっかく勇気を出したのにすっごい空気になっちゃったところ「うわ…」って思わず言っちゃいました笑 今回も建人さんがイケメン過ぎるし、女王様な由太くんのツンデレも可愛くて最高でした╰(*´ ︶ `*)╯
つぶぐみ
2024-07-14 00:31:13 +0000 UTC