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加々美さんと木野さんの週末

ギシギシとベッドの揺れる音がする。 あまり使わないベッドがきしむ音だ。祖父が残してくれた一軒家。相続はほとんど放棄したけどこの家には愛着もあって受け取ってしまった。今になってそれに感謝するなんて思いもしなかったな。 そして、こんなに頻繁に通うことになるなんて。 「はぁっ、あっ、木野さん、木野さんーーー…!」 「んぁっ!…ッ…!…はぁぅ…!は、ぁ…!…ン゛っ…!…んぅ゛っ…!」 「…ッん、はぁ…!」 「あっ、あぁ…♡ ひっ…ぁ!…あぅぅ♡ …っ、…っ…!」 たまらなく大好きな人が俺の上で腰を揺らしている。一度俺がねだってから恥ずかしそうではあるが最近進んで騎乗位を行ってくれる。眼福だ。 始めは控えめに確かめるように揺れていた腰がだんだんと求めるように激しくなっていく姿がたまらない。それに伴って彼の表情が気持ちよさそうに歪んでいく過程、それをじっくりと眺めているだけで頭がフワフワしてくる。 彼は元々恥ずかしがりやだ。自分が腰を揺らしているのにまるで虐められているみたいに泣きそうな顔で快楽を滲ませるから本当に虐めたくなってしまう。 ムクムクと膨れ上がった嗜虐心を抑えきれなくなって、揺れていたペニスの先っぽをクリクリと弄る。ぐちゅぐちゅ♡といやらしい音がして、大げさなぐらいに震えた体がのけ反った。連動するように中がきゅっと締まる。 絞り取られる、強烈な快楽にそんな言葉が頭をよぎる。気持ちよさと目の前の淫らな姿にたまらず腰を強く掴んで思いっきり引き寄せた。 ばちゅんッ!!♡ 「ッひぃぐぅ♡♡♡」 「…ッ…はぁっ!…はぁ、木野さん…!」 中に埋まっていたそれが更に飲み込まれる感覚がして目の前が霞んだ。それに呼応するみたいにのけ反った彼の喉元がヒクヒク震えてなまめかしい。近くにあったなら唇を寄せて嚙みつきたかった。その震える喉に、零れ落ちる汗を舐めとりたい。彼の汗やもっといやらしい汁も全部俺のものだ。眩暈がするほど甘くて苦くていつもたまらない気持ちになる。衝動を我慢できなくて強く腰を打ち付けた。 ぱちゅっ!ぱちゅんっ!♡ 「…んぁ!…あぁ…!…あぅぅ♡ …んぅぅ!…ッんぁ♡♡」 うっとりと蕩けた目。崩れそうになったその体を必死に支えるように彼の手のひらが俺の胸に押し当てられる。もっと激しく攻めたくなってその両腕を掴んで腰を激しく打ち続けると、声も出ない様子で彼が唇を噛み締めるのが見えた。たまらない、もっともっと虐めたくなる。奥の奥を俺のねじ込んだ棒でかき回してやりたい。 パンッ!ぱんっ!ぱんぱんぱんぱんぱんッッ!♡ 「んっ!ん゛ッ!んぅ!ンっ!!ッん゛ぅぅ゛~~~~~♡♡♡」 ぴゅちゅっ♡ ぴちゅっ♡♡ 「…ッ…はぁ、はぁ…はぁ、木野さん…」 「…はぁ、あぁ……♡ ……ぁ、あぅ……♡ ……あぁ……♡♡」 太ももを痙攣させながら果てた淫乱すぎるその姿に俺もあっけなくその中へと精を吐き出した。 元々隠れ家のように使っていた祖父の家。この家に来て二人で過ごすのは最近の当たり前になっていた。 親族は俺が相続をすべて放棄したと思っているだろうから誰も知らない。妻も子も。以前まで祖父さんが残してくれたこの家は極たまに一人になりたいとき、ぼんやりと過ごすためのものだった。 木野さんをここに連れてきたのはつい最近のことだ。ただいつものホテルはなんだか嫌で。けれど自宅にはもちろん連れていけないし、木野さんの家も家族が不在とはいえホテルのように利用するのは嫌悪感があった。だから「あぁ、あの場所なら」と、そんな風に簡単に考えて彼を誘った。 部屋の掃除も自分でした。月一で掃除は入れてたから布団のシーツや冷蔵庫の中身の補充といった細々としたものをだ。ここはいつも利用するとき以外当たり前だが無人なので、木野さんと過ごすことを想像しながらする準備は想像以上に楽しかった。 いきなり連れて行った家に木野さんは最初戸惑っていた。中に案内して「元々は祖父のもので、俺しか知らない家なんです」と伝えると何故だか彼は泣きそうな顔になってしまった。どうしてそんな顔をさせたのかさっぱり見当もつかなかった。何か不愉快だっただろうかと思っても、木野さんは泣きそうではあったけど嬉しそうで。戸惑う俺を優しく抱き寄せて「この場所に連れてきてくれてありがとう」と彼は言った。 震えた言葉の意味を俺はわかってなかった。けれどその温かさは伝わってーーーあの感情は言葉では言い表せない。そして数日彼と週末何度かそこで過ごすことで、木野さんのあの表情の意味がなんとなくだが理解できた気がした。 俺だけが一人ぽつんと過ごすための部屋。誰とも共有しない、いうなれば俺だけのパーソナルスペースに木野さんがいる。 最初の朝はホテルでの目覚めよりずっと感動した。慣れたベッド、昨日俺が洗って干したシーツに気持ち良さげに頬を寄せる好きな人の寝顔。 ずっと見ていたかったのに気づけばその髪に頬に何度も触れてしまって。いつの間にか目覚めてしまった木野さんが「おはよぅ…」ってすごくリラックスした声で言うから、今度は俺の方が泣きそうになってしまって木野さんを焦らせた。 そうか、今までここは俺のための俺一人がくつろげる秘密の場所だった。逆を言えば誰一人入れたくない秘密の部屋。その場所を俺は何も考えずに「木野さんと過ごすための場所」に変えた。そうしたかったから、ここで一緒に過ごせたら居心地いいだろうなって思ったから。彼はそれを喜んでくれていたんだろう。無意識に木野さんの好みのもので揃えたこの家を見て、彼は言葉をふるわせてくれたのだ。 彼が使うシーツにふるリネンスプレーも自分で直接選んだ。彼がリラックスできる場所にしたい、少しでも居心地よくなってほしい。そんな気持ちでわくわくした。好きな子と過ごす秘密基地を作るみたいに。ワクワクして嬉しくて、そしてその場所で俺の望み通りにリラックスした彼が見られるのが幸せで嬉しくて。「おはよう」と涙声で返したら、心配してたはずの木野さんは何もかも理解した顔で嬉しそうに笑っていた。 木野さんとここで過ごすのは月に二回ほど。週末限定だ。元々俺は週末は仕事の商談が多くてホテル住まいだったし、木野さんも今は家族と暮らしてはいないからある程度の自由があった。だからこそ毎週末、とも思ったこともあるが…それはどちらも否と結論付けた。 今までも何となく二週間会えないと限界だった。どんなに仕事が忙しくても無理やり時間を作って触れ合った。もちろん今でも会えるなら週一でも毎日でも会いたいのは事実だけど、何となく二週間に一回、一泊二日で落ち着いている。木野さんも同じ気持ちなのか、いつもこの家でいる時はニコニコと楽しそうだ。 「…予行練習みたいで嬉しいなぁ」 「予行練習?」 「ここで過ごしてると本当に加々美さんと家族になったみたいで嬉しいんです」 「……俺も、ですよ?」 ぐっと詰まった俺の情けない返事を気にすることもなく、彼は朝のコーヒーを美味しそうに飲む。コーヒーを淹れるのは彼の仕事だ。元々は俺がやっていたけれど、一度「やってみたい」と目をキラキラさせたからどうぞとやり方を教えたらハマってしまったらしい。 コーヒー豆を買ってブレンドもしているみたいで、週末迎えに行くと小さな紙袋からコーヒーのいい香りがすることがある。彼曰く「初めて見つけた俺の趣味」らしい。 木野さんは最近すごく楽しそうに毎日を過ごしているみたいだった。元々魅力的な人だけど、何度言っても自分を卑下する癖はなくならなくて、時間をかけて俺が変えてやる!と思っていたらいつの間にか直っていた。…俺の出番はなしか、なんて少しだけ寂しくもあるけど、彼が幸せならそれでいい。俺の力じゃなくても、それで。 「……加々美さんのおかげ」 「へ?」 思考を読まれたみたいにレスポンスが来て間抜けな返事を返すと、穏やかな顔をして木野さんは言う。 「趣味ができて、家以外の場所で過ごせて、あなたと過ごせて。俺毎日が楽しくてしょうがないんです」 「…そっかぁ…あぁ、うん…すごく、俺も嬉しい」 「朝起きたら加々美さんがまだ眠ってて、俺がこっそりベッドを抜けてコーヒーを淹れて。幸せだなぁってその香りにのんびりしてたら上からあなたの足音がして」 彼の語る日常が頭の中に映画のように流れる。当たり前だ。俺だって週末はいつも同じ体験をしてるんだ。でも俺は彼とは逆。起きたらいつも彼がいなくて少し寂しくて。でも階下からコーヒーの良い香りがしてきて、彼を探すようにベッドを彷徨っていた俺の手はその香りでぴたりと止まる。 まだ木野さんの残り香がするベッドが名残惜しくても本物に会いたい。のっそりのっそりと階段を下りたら暖かな部屋に幸せが待っている。 「…おはようございます」 「おはようございます…」 「まだ寝ぼけてる?」って優しい手つきで髪を整えられるのが好きだ。「パンのジャム何にしますか?」と優しく聞かれてぼんやりする時間が好きだ。 「…おはよう?」 まだ寝ぼけてると勘違いして幼い子供に囁くように言ってくれるこの人が好きだ、とても好きだ、そうやって毎週末俺は幸せな朝を迎える。 ばちゅんっ! ぴゅるるっ♡ 「あ゛ぅっ!…っ…♡ …ふ、ぁ、あぁ…♡ …あぅ…、うっ…♡」 「うっ!…っぁ、…っ…!…ふぅー…!…っン゛…!」 どぷっ!どぷぷ…! 「…っ♡ …はぁ、まら、れて…、れてぅ…♡ あっ、あ…♡ …まら、…ぃ♡」 何度目かの射精なのに興奮のせいかたっぷりと吐き出した俺の精液を木野さんはうっとり嬉しそうに受け止めてくれる。それどころか一滴も溢すまいというようにギュッとそこを絞るようにするから余計に射精は長く続いた。 ベッドから身を起こして抱きしめる。それすら刺激になったのか敏感に跳ねるその腰を優しく掴んで荒っぽく腰を揺すると奥を残滓が刺激するのかまたのけ反って声にもならない声を発した。 「ん、ちゅっ…ちゅぅ…ッはぁ…、ん、ちゅっ…木野さん、きのさん…」 「…んぁ、あっ…♡ …ん、ぁ…、あぅ…♡」 のけ反った喉に限界が来てさっきまでの欲を満たすように噛り付く。…付いたが、やっぱり傷つけるのは気が引けて何度も優しくキスをすると気持ちよさそうな声が頭に響いた。この声がいつも俺の脳みそを溶かしていく。 …今日は少しだけ我慢できただろうか。二回もイッておいて我慢も何もないが、いつもよりは少しだけセーブができたように思う。当社比だが。 この人は自分のものだという欲だけをぶつけるセックスを俺はあまり良いものだとは思っていない。一方的すぎる気がして、肉欲ばかりを重視したセックスは相手を尊重してないように思えてしまう。 だからこそ今日のセックスは良かったんじゃないか?お互いのものを握り合って擦りあって気持ちよく果てて、ゆっくり解したそこへゆっくりゆっくり挿入した時の木野さんの消え入りそうな声「ぁ…、あっ…、あぅ…ん、ん…、あ、あぁーーー……」その声で余計に硬くなった俺を受け入れる時、彼はとても幸せそうに見えた。 「……かがみさ、キス…口にも、してください…」 「…もちろん」 おねだりが嬉しくてゆっくりと唇を寄せると、焦れたように木野さんの方から勢いよく唇が重なった。珍しい。最初はちゅっちゅっとリップ音を立てて近づいて離れていたのが、気づけば舌を絡めて腰を押し付けあうそれに変わる。ますます珍しい気がする。それでも甘い欲求に負けて俺の腰が無意識に彼の中を突く。嬉しそうに笑う顔が見えてぞくぞくした。 くちゅ…くちゅっくちゅ…ぐちゅっ!♡ 「んっ!…ん゛ぅ!…んぁ、はぁ…はぁ…♡ …ッあぅ…また、おっきく…♡」 激しいキスをしていたらいつの間にか木野さんの中にいい子で収まっていた俺のアレがむくむくと成長を遂げていた。なにやってんだ、こらっ!そう叱ってやりたいのに無理だ。だって嬉しそうに木野さんが腰を揺らしている。いやらしいそのしぐさに目が釘付けになって、思わずその耳元に意地悪するみたいに囁いた。 「…木野さんのえっち…今のだけじゃ足りなかったの?」 「っ!…あ、ぅ…そ、そんなこと…」 「じゃあ、一旦休憩しましょうか」 「あ、だめっ、ぬいちゃ、あ、やっ…あ、あぁ…♡」 すっかりギンギンになってしまったそれを抜くためにわざとらしくゆっくり木野さんを持ち上げると泣きそうになった木野さんがとんでもない言葉を口にした。 「もっとおくの、いっぱい、ついてほし…!」 「え?」 俺の返事を呆れだと受け取ったのか、顔を真っ赤にして木野さんは固まってしまった。今にも泣きそうだ。可哀想。今すぐ慰めたいのに、それ以上に欲望と本能がそれを邪魔する。 「…もう一回、何が欲しいって…」 ごくりと喉を鳴らして問いかけると、恥じ入った木野さんはそれでも震えながら必死に言葉を紡ぐ。可愛いその口がとんでもなく卑猥な言葉を吐き出す。 「…っ~~~おくが、疼くんです…今日は、そこ、突いてもらってないから…」 「…………」 「…ごめんなさい…恥ずかしいんです、けど…たくさん加々美さんに触れちゃうと、疼いてしょうがなくて…奥の奥の方を思いっきり突いて、ほしくぇーーーーーひぃん゛っ♡♡」 ばちゅんッ♡♡ 「…ッ!……!……ふぁ……ぁ、…ぁ…♡♡」 腰を支えていた力を抜いて同時に思いっきり下から突き上げた。完全に油断していたんだろう木野さんが目を見開いて全身をわなわなと震わせている。可愛い、たまらない。可愛い、なんてエッチな人なんだろう。 「…はぁ…♡ …エッチな木野さん、奥きもちいい…?」 「はっ…はっ…、あっ…はぁ…!…っ…はぁ、はぃ…、きも、きもちぃ…♡」 どちゅっ!! 「んぃ♡♡♡」 言葉を待たずにまた大きく突き上げると崩れ落ちるように木野さんの体が寄りかかってくる。プルプルと震えて声も出ない彼の口元からこぼれた涎をねっとりと舐めて、そのままの体勢で彼の『奥』を望み通り責め続ける。 ぱちゅっ!ぶちゅっ!ぶちゅっ!ばちゅっ!♡ 「…ッ!…!…ッ♡♡ …らぇっ♡ らぇれぅ!♡ らぇっ!こわれちゃ♡ ひぃん、ん゛ッ♡ んぅ!んぅ゛♡」 「気持ちいい?エッチな木野さん、いつの間に、こんなに、エッチに、なっちゃったの?」 興奮した脳みそからは虐めるような言葉や動きしか排出されない。いつもならしない連続の突き上げピストン。俺に掴まりながら悶える声しか上げられなくなった木野さんの耳の中をぐりぐりと舌で擦ると、二人の間で揺れていた木野さんのペニスから勢いよくザーメンが噴き出た。 ぷしゅっっ♡♡ 「…ひぃあぁッ♡♡…あぁっ♡ …はぁ…!…ッーーーー♡♡ んぁ!…まっれ…、…こわれ、こわれぅ…♡ ひぃあ♡ …あっ!…あっ、まっれぇ…♡ らぇ♡ らぇぇ♡ ぁあ!あっ!きもちぃッ♡ きもちいぃ♡」 「……エロすぎ、いつの間にこんな体になっちゃったの?」 責めるつもりなんてもちろんない。目を奪われるそのいやらしさに喉を鳴らして問いかけると、ぼんやりした目がこちらを向いて当たり前のように言った。 「……しゅんすけが、した…」 「……おれが」 「…俊介が、おれのこと、エッチにしたぁ…」 子どもみたいな舌足らずな声。そのくせ誘うように中をきゅぅぅぅと収縮させて、彼は蕩けた目で俺を見ていた。ぷちんと血管が二、三本千切れた気がする。 強く腰をつかんで乱暴に打ち付け続ける。泣きじゃくるような声がしても止めなかった。 俺が彼をエッチしただって? 俺が作り替えたって?こんなにいやらしい人に? 俺の手で、作り替えられたって。たまんない、なんだこの人。なんでこんなに俺をめちゃくちゃにしちゃうんだよ。 「やっ!らぇ!はげひっ、まっれぇ♡ ひぃっ!ひぃう♡ぅん゛ッ!んぁ♡ しゅんす、ぇ♡ ン゛♡ …ッ!…♡ …んぅぅ♡♡♡」 脳内麻薬が爆発している気がする。逃がさないように全身を抱きしめてひたすらに腰を振る俺の腕の中で、木野さんが鳴き声を上げて揺れている。 俺が彼を作り替えたのなら、きっと俺も彼に作り替えられた。全て作り変えられた。出会った日にすべてを。 軋むベッドの音と俺を呼ぶ声ですべてがどうでもよくなって、俺はただひたすらに腰を振り続けた。


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