息子の同級生のお父さんと一目惚れしあってどろどろになる話 番外編2
Added 2023-03-25 17:12:06 +0000 UTC欲しいものはたった一つだけ。 「……何だって?」 「だから、もうあの男と二度と会うなって言ったんだ。今だったら誰にもバレず穏便に済ませられる。俺に任せておけよ」 妙に時間をとられて部屋に戻ったら木野さんがいない。木野さんはいないのに何故か牧田はいる。意味が分からず問いかけると余計に分からない返事が返ってきて思考が停止した。何を言ってるんだ、こいつは。思い当たる節はあったが、どうしてこいつが関わってきたのかが理解できない。 テーブルには画像の荒い写真が数枚並べてあった。俺と木野さんがホテルに入る写真だ。見覚えのある場所だったからすぐに分かった。そしてこれが証拠にならないこともすぐに分かる。でもここにあるということは、これを木野さんが見たということだ。 「…お前、木野さんに何を言ったんだ?」 はぁ…と呆れたようにため息をついた牧田はしばらく黙っていた。じれったくなって木野さんを追いかけるのが先かと踵を返した俺にやっとその口を開く。 「別れろって言ったよ」 「……は…?」 「お前が男に手を出すなんて最初は嘘だろと思ったけどさ、あっちからしつこくやられたんだろ?そうだよな?…じゃないと不釣り合いすぎるっていうか…実際、目の前にしても不倫してるなんて信じられなかったよ」 「お前、」 「おっと」 次々出てくる中傷めいた言葉に我慢できずにネクタイを掴むとぎょっとして牧田が口ごもる。多分俺は今こいつが今まで見たことのない顔をしているんだろう。引きつった顔で「落ち着けよ」と言った顔に絞り出すように言葉を続けた。 「お前、木野さんにそんなこと言ったんじゃないだろうな?あの人はどこだ」 「……っ…あの人は納得してたぞ」 「……は?」 「…奥さんにバラすって言ったら、それだけは勘弁して欲しいってさ。もう二度と連絡もしないから許してくださいって」 「…そんなわけ、ない…」 「本当のことだ。…あっちにとっては所詮ただの遊びだったんだ」 「目を覚ませよ」と俺の手を振り払って牧田は言う。目を覚ませ?…十分覚めてる。逆に聞きたくない言葉ばかり聞かされて気絶しそうなくらいだ。足元が覚束ない。頭がグラグラする。息がし辛い。 「…木野さん…」 もう二度と会わないなんて、そんなの絶対に無理だ。木野さんだっていつ会った時でも「会いたかった」ってキスをせがんでくれた。あれは嘘じゃないはずだ。絶対に嘘じゃない、…ほんとうに? そんなわけない、そんな人じゃない。さっきだって俺のこと何度も好きだって、幸せだって言ってくれた。この腕の中で。あの言葉が嘘なわけない、そう思いたいのに。 いつも慎重に言葉を選んで気持ちを伝えようとしてくれるあの人が好きだ。そのゆっくりした言葉を待つ時間が好きだ。ゆっくりと、いつも「好きだ」って「会いたかった」って「家族になりたい」って、そう言ってくれた。…あれが嘘なわけない。 「…お前だって遊びだったんだろ?女に飽きて「違う」 女に飽きて?逆だ。女にも男にも興味が湧かなかった。欲しいと思ったのはあの人だけだ。昔からずっと誰といても埋まらなかった孤独感をあの人が埋めてくれた。幸せに変えてくれた。惰性で生きてきた今までの人生が全てあの人に出会って報われた。それを台無しにされるような言葉を吐かれて怒りで目の前がクラクラする。 「遊びじゃない、あの人とずっとこれから一緒に」 「…っ馬鹿も休み休み言え!そんなこと許されるわけないだろ!?会社はどうするんだよ、なんて説明するんだ?綾香(あやか)は?蓮は!?どうでもいいのか!?」 「お前には関係ない」 「…お前…どうしちゃったんだよ…?」 「どうしたって…お前が俺の何を知ってるって言うんだよ」 まるで俺が変わったと言わんばかりの目で見られて心底うんざりする。俺は何も変わってない。ただ欲しいものを見つけて、それを離したくないって言ってるだけなのに。 昔からこういう変な期待を持たれることが多かった。親も教師も同級生にも皆の中に「こうあるべきだ」という理想の俺がいるらしい。———言われるがままこなしてきた自分にも問題はあるんだろうが。 物心ついたころから何もかもどうでも良かった。だから何でも周りの言う通りこなした。親に出される課題をこなして、教師が求める良い生徒として生活して。親が仕事で必要だと言うから結婚もした。どうでも良かったから。褒められても好きだと言われても嬉しくなかった。だって俺は何も好きじゃなかったから。 何も楽しくない退屈した人生。最低だと思ってきた人生、けれど従った結果であの人に出会えたんだから感謝すべきなのかもしれない。あの人を見つけた時そんなことを思ったんだ。意味がないと思っていた人生が真っすぐあの人に繋がっていたように思えた。やってきたこと全部無駄じゃなかった。彼に出会う為だったんだとそう思ってたのに。 「あの人が、あの人だけが、俺の…」 たった一つの。 それから二週間、木野さんからの連絡はなかった。 「相手の家庭をぶち壊す気か」と言われて、もしそうなったらと思うと俺からも動けなくなってしまった。 仕事の電話すら来なくなり、部下に確認するとメールでの連絡に変わったという。この辺りで疑念が生まれた。…やっぱり、牧田の言葉は本当だったんだろうか。 木野さんは俺のこと別に好きじゃなかったのかもしれない。つきまとわれて迷惑だったのかもしれない。優しさで付き合ってくれていたのかもしれない。そんなわけないって思いたいのに、呪いのように疑いが足元から芽生えてくる。 あの人の言葉が嘘だったなんて思わない。けど俺が無理やり始めたような関係にいつも罪悪感を抱いていたのは事実だ。 俺が無理やり巻き込んだ?考える間も与えず無理やり車に連れ込んでキスをして抱きしめて。それでも伝わってると思っていた。あの人も俺に何かを感じてくれたからキスもそれ以上も許してくれたんだって。 全部嘘だった?あの言葉も、あの涙も。そんなはずないって思いたいのにどんどんとドツボにはまっていく。 …俺はこんなに何もできない人間だったのか。声を聞きたいのに電話一つ出来ない。会いたいと文字で伝えることすら。スマホの充電が切れるまで待ってもあの人からの連絡はない。今まで交わしたメッセージすら見られなくて、充電の切れたそれを隠すように引き出しに捨てた。 俺はすっかり参ってしまって、だから二週間後に会いたいと会社へ連絡がきた時には喜びよりも怒りが勝った。けれど同時にやっぱり会えるのが嬉しいと思ってしまう自分に落胆もした。 諦めようと何度思っても眠れない頭で考えるのは彼のことばかりだ。何を食べても美味しくなくて、仕事のミスも増え部下に迷惑をかけることが何度もあった。二週間、どんどんと悪化する自分の状況に反して何事もなかったかのように連絡を寄越した木野さんに怒りすら沸いた。 捨てたくせに。俺よりも家族を取ったくせに。嘘つき。 子どもみたいに心の中でそう詰って、でもやっぱり顔が見られることを喜ぶ自分が居て。 あなたなんかいらないと、もう顔も見たくないと言えればいいのに。傷ついた顔をしてくれたら多分少しだけホッとする。傷つくくらいには俺のことが好きだったんだって思える。あの甘い言葉の全てが嘘じゃなかったとそう自分を慰められる。 …でもその後その傷ついた顔に死ぬほど後悔するんだろうけど。 ノックの音が響いて「どうぞ」と応える声は我慢したつもりなのに情けなく震えていた。 「好きです」 久しぶりに会った木野さんにいつものオドオドした様子はなかった。何があったのか、真っすぐに俺を見つめて「好きだ」と言ってくれる。その言葉に怒りに震えていたはずの俺はあっけなく柔くなって、すぐにでも彼に縋りたくなってしまう。情けない。 信じられないと喚いても、悔し紛れに「嫌いだ」と言っても「悲しい」と嘆きつつ、けれどそんなこと関係なく俺を「好きだ」と繰り返す。なぜかは自分でも分からないが涙が止まらなかった。 「…好きです。加々美さんが好き。…たくさん傷つけちゃってごめんなさい。傷つけちゃったところ、全部俺が治しますから」 「…………」 スンスンと鼻を鳴らして泣き続ける俺にそう言って、木野さんは額や頬やつむじへキスを落とす。暖かい。子どもをあやしてるみたいだ。子ども…いつも木野さんは自分の子どもにこういう風に接するんだろうか。羨ましい。 彼の子供に生まれたらもっと簡単だったかもしれない。 誰にも責められず傍にいられた。めいいっぱい甘えて、四六時中離れない。大人になっても膝の上に丸まって猫のように撫でられたい。いっそ猫でもいい。この人の足にまとわりついて仕事に行くのを邪魔してずっと一緒にいる。そんなバカみたいなことを考える。 いつもの木野さんじゃないみたいな包容力に戸惑いつつも安心する。暖かいものに包まれているような気持ちで頭がフワフワしてきて、今自分が夢を見ているのか現実を見ているのか分からなくなってしまう。 「……きのさん…」 「…なぁに?」 本当に今返事をしてくれたのは彼なんだろうか。本物の木野さんなんだろうか。だってあの人は俺を置いていった。逃げていった。俺の幸せを勝手に決めつけて、一人ぼっちにした。…でも俺も同じだ。木野さんに本当のことを確かめる勇気もなく他人の言葉を鵜呑みにした。そのことを彼は全く責めようとはしない。ただひたすら俺に体温を分け与えるように頬にキスをする。おかげで体は温まった。けどそろそろ唇が寂しい。 「…あなたが今日も俺の腕の中にいてくれる幸せに感謝します」 どこかで聞いたことのある言葉を聞いた気がして顔を上げる。呆けたように見つめると、木野さんはそんな俺を見て嬉しそうに笑った。 誓いのそれのようにキスが降りてくる。さっきまでの意固地になっていた感情は完全に崩れ落ちた。ゆっくりと降りてくる唇を待てずに俺は噛みつくように彼にキスをする。絡めた舌から甘い味がして脳が痺れた。木野さんの味がする。 唇を離したら優しい目をした木野さんがソファーから降りてしまう。また離れるのが嫌で思わず手を掴むと彼は「大丈夫」と言って地面に座り込む。何をするのかとぼんやり見つめていると、ゆっくりと俺のズボンのチャックを外していく。 「あ、き…木野さん…、まって…」 取り出したそれは少しだけ立ち上がっていた。最近全てにおいて怠惰を極めていた俺は来客予定もなかったから昨日のシャワーも浴びてない。汚いからと言いかけた言葉が遮られる。 「…ん、はぁぁ…♡ …加々美さんのにおい…」 もう我慢できなかった。 「…あっ!はぁ、んぁ…♡ あっ、あ、ぁ!だめ、だめ…♡」 「…のさん、木野さん…!」 「あ、あぅぅ…♡ ん、んぅ…!はぁぁ♡ あ、あっ、あぅぅ…♡」 夢中で腰を振り続ける俺はまるで動物みたいだ。彼と出会ってからの俺は動物みたいに本能でしか生きてない。いくら他人からどうこう言われてもこの人がいい。この人しかいらない。この人しか欲しくない。 甘えで包んだ我儘を彼にぶつけても彼は恥ずかしそうな嬉しそうな顔で俺のお願いを聞いてくれる。その献身さがどれほど心乱すかきっと彼は知らない。 彼がこの先どれだけ俺から逃げたくなっても、例えば家族の元に戻りたいと言ってももう手放せない。離れたくない。俺のこと憎くてもいいから。好きだって言われなくてもいい。嫌いだって言われても、例えば一生名前を呼ばれなくてもいいから。 「…かがみ、さん…!」 「…ーー木野さん、もっと呼んで…?」 「あ…、かがみさん…?あっ、あぁ…♡ かがみさん、かがみさぁ…!…っ~~~…しゅんすけ…♡」 「っ〜〜〜〜…ぁ!」 「あ、んぁーーーー…♡」 どぷぷっ…どぷ…♡ 「ひっ、ぁん…♡ あ、かがみさ、っぱい…、でて…♡ あ、あぅ…♡ あったかい…♡ ひ、あ…♡」 「はぁ…!はぁ…!はぁ…!」 止まらない腰が出したザーメンを中に塗り込める。この人の中を全部俺ので満たしたいなんて欲望が無理だって分かっていても止められない。 何度目かの中出しで敏感になっている木野さんの体はヒクヒクといやらしく震えている。それでも期待した目で俺を見つめてくるから堪らずまた大きく腰を打ち付けて何度目かのセックスを再開した。 「木野さん、もっと、もっと呼んで…!」 「あっ、あひっ♡ か、かがみしゃ、あぅぅ…♡ ふぁ…♡ も、でないぃ…♡ あっ、あ、ぁ゛!」 「俺のだ、この人は俺のだ…絶対、誰にも渡さな…っん゛ぅ!…ん、んぅ…♡ はぁ、きのさ…んっ♡ んぁ…♡ ん、ん゛…♡」 ちゅぅ…♡ くちゅ…♡ ぷちゅ…♡ 一心不乱に腰を振っていたら宥めるみたいにキスをされる。舌を絡ませて扱かれて蕩けそうになった頃にようやく唇が離れた。少しだけ冷えた頭で彼を見ると優しい目で俺のことを見つめていた。 あぁ…そうか、もう彼は俺から離れないんだ。 言葉では何度も言われたけどまだ信じ切れてなかった。けど何故か今急に納得できた。彼の目から以前あった不安が消えている。優しく俺を見る目はもう怯えや不安はない。それが分かったら力が抜けて、寄りかかるように彼にしがみ付く。また出そうな涙をこらえる。 「…加々美さん、だいすき…」 言葉と共に優しいキスが降ってきて、我慢しようとした涙は零れてしまった。 「…あ、あぅ…♡ ふぅ、あ、ぅ…♡ きもちい…♡ あ、あっ、かがみさ、きもちいぃ…♡」 今度は優しく腰を動かす。うっとりと笑う彼に褒められたような気がして、嬉しくなってくっつくように全身を擦りつける。両手を握ってキスをしながら腰を揺らしてまたキスをして。 全身からぐちゅぐちゅ音がして気持ちいい。本当に一つになったみたいだ。 いつか来る未来。それがどんな結果でも彼がそばにいてくれればいい。もうそれだけでいいから。 祈るように目を瞑り、腰を打ち付ける。弱い場所に当たったのか木野さんが鳴き声を上げて薄い液を吐き出した。 ぴゅる…♡ 「ひぅ!ん、ぁ…♡」
Comments
感想すごく嬉しいです♡ 普段は木野さん視点しか書かないのでその分ギャップがあるかなぁと心配だったんですが楽しんで貰えて良かった〜! 甘やかされる幸せを知ってしまった彼はこれからちょっとずつ我儘を覚えていくんでしょうね。楽しい。 応援嬉しいー!頑張ります!
午後
2023-03-26 13:57:44 +0000 UTC