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剛力!おもちすぅぷ

 おもちすぅぷ(あごだし)。

なんだそのなめ腐った名前は。

すぅぷってなんだよ。すぅぷって。

おかあさんといっしょで洗脳ラッパ吹いてた黄色いあれ?


初めて私が彼と出会ったときの感想はそのようなものだった。


彼はセブンイレブンの壁際の棚で孤独に身を竦めていた。

彼の周りはといえば、爽やか系に見えて夜な夜な女を抱いていそうな春雨スープばかりで、ヘルシーも華やかさもない彼の立場はそこにはなさそうだった。

そんな彼が夕立に濡れた子犬のような目で私を見てくるので、つい私は彼を購入してしまったのである。

嘘である。実際は(にじさんじの誰だったかがこれめっちゃ好きって言ってたな……)という付加価値が理由であった。そもそもカップスープに眼球はない。


そんなわけでまぁ、おもちすぅぷ あごだし。を手に入れたわけだがこの時点では私はこの食品のことを多少侮っていたということになるだろう。

その蓋を開けるまでは。

まずこの食品、餅がゴツいのである。おもち、というよりは完璧に餅、しっかりと餅。

そもそも、私の中でのインスタント餅の印象は三個セットの安いお汁粉のものだったというか、肥大化したインスタントみそ汁の豆腐、安ホテルアメニティのスポンジ、みたいなものであった。それがお湯を入れると多少餅らしくなるというか。

でもこれは餅。完全なる餅。インスタントっていうか真空パックされたただの餅。

封印されし餅

くらいの威容はある。

その時点で当たりの予感がしつつお湯を入れ三分待つ。

……

…………

待った。

もうですね、出汁の香りがすごいです。(あれ?出汁ってもっと裏方的なポジションじゃなかったっけ。こんな主張していいんだっけ?)くらいには強く深い出汁の香り。

これは完全にあごだしというチョイスが良かったと思う。カツオ出汁だとここまで強くは出せない。きつくなり過ぎてしまう。

そして実食。

おいしい。餅は正直に言えば機械でついたスタンダードな餅で感動とまではいかないが、インスタントであるということを考えれば感心するには十分である。

そしてスープがおいしい。インスタントの汁物の中では純粋にクオリティが高い。しみじみとおだしがおいしい。具材のきのこもうれしい。

侮っていてすまなかったおもちすぅぷ。君は十分にできる奴だった。

名前はまだ若干イラつく。


しいて言うならば、しっかりと出汁で勝負できるわりに塩味が強かったので少し薄めに作るくらいでちょうどよいのかもしれない。

うだるような暑さがいつの間にか後ろ髪を見せ始めた季節。

来る秋冬に心強い味方を見つけた。




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