前回の流れは、こちらから読めます。
「俺の――武器?」
近藤さんに言われた一言を考える太郎でしたが、殿様はやはり、待ってはくれませんでした。
「…楽しめると思うたが、にらめっこで終わる気はないのでな。こちらから行かせてもらうぞ!!!」
一気に覇気が強まり、そして殿様は動き出しました。
ガギン!!!
大きな音が耳をつんざき、音の方を振り向くと、乳女んが殿様に攻撃され、必死に防いでいるところでした。
「ぐっ!」
苦しそうな表情を浮かべ、それでも懸命に剣を受け止める乳女ん。
「乳女ん!!!」
叫び、ハヤタが応援に駆け付けます。この場で動くことが出来たのは、場慣れしているもののみでしょう。
「貴様らさえ片づけてしまえば、あとはどうにでもなるわ!!!」
ギロリと笑い、殿様は乳女んとハヤタの2人を同時に相手にし始めました。
初めて見る、2人の本気で動く姿。しかしそれでも、まだ殿様に刃は届きません。
「おおおおおおおお!!」
もうひと押しとばかりに、近藤さんも自慢の腕を豪快に振り下ろしながらその戦いに参戦します。が、その拳はひらりとかわされました。
「過ぎた力よ。当たらなければどうということはない!!」
拳は床にめり込み、隕石でも落ちたかのようなクレーターを残しました。
「くっ、何の!!!」
構わずに第二激の準備を始める近藤さん。
「ぼ、僕も行くニャ!!! …盾さん、もう一度、力を貸してくれるニャ?」
「喜んでぇ!!! うおおおおおお行くぞおおおおお!!!!」
そして、一瞬遅れて猫ちゃんも飛び出しました。覚悟が決まったのでしょう――いや、ここに来ると決まった時から、思えば覚悟などとうに出来ていたのかも知れません。
一気に始まった戦いに気圧され、太郎はまだ動けずにいました。キョロキョロと辺りを見回すと、そこには何かブツブツと呟く健ちゃんの姿があります。
「…何か、何かおかしい。引っかかる。こんなに強いのに、何故殿守護神三人衆なんて組織があるのか? 何より、今自分で戦う必要があるのか? いや、もっと言うと、何かを隠すために早期決着を狙っているとしか――」
考えています。
考えることで、彼は今、戦っています。
死地に踏み込み、命をなげうって剣を交えることだけが戦いではありません。
相手はどのような状態か、今の戦力で勝てるのか、勝てるのならばどうすればいいのか、今自分たちはどう動くべきなのか――。
これらは戦う上で最も大事な思考の一つであり、これを考えることは、即ち戦いなのです。
相手との、文字通り頭脳戦、駆け引きを行うのですから。
今、戦っていないのは太郎だけです。
そんな中、太郎は、
ひとつ、深呼吸しました。
――チャンスは、一度だけだ。
これを逃せば、もう後はない。
そう、太郎は考え抜きました。
そして、答えが一つだけ出たのです。
自分の武器は、『何もないこと』だと。
取り立てるものが何もない。強みがない。警戒すべきものがない。
すなわち、警戒されにくい。
そこを、攻めるしかない。
これが正解なのかどうかはわかりません。が、今太郎が思いついた、もっとも大きな『強み』でした。
映画のポスターのような決めポーズの後、太郎は刀を握りしめ、走り出します。
当然、殿様は気付き、こちらを見やりました。が、今殿様の前には『さらに警戒すべき脅威』がたくさんいます。
よって、殿様は一度こちらに向けた目を、すっと他の敵に回しました。
ここだ!!!
そのまま、『目的』を果たします。
刀を振り上げ、片手を離して、
閃光弾を投げました。
「ッ!!!?」
目の前で、いや目の真横で放たれた閃光弾は、思いのほか強力で。
他の仲間たちも、咄嗟に目を閉じて離れました。
「ご、ごめん…なさい…」
謝る太郎でしたが、それでも他の皆は満足げです。
なぜなら、
「…なるほど、やってくれるな小僧…!!!」
殿様の片目が潰れていたのです。
「最も警戒すべきは、貴様だったか…気配を消すのが上手いことよ」
これは太郎にとっては、大失敗です。仕留めそこなった上に、『自分の武器』が消えた瞬間でもありました。
成果は上げましたが、これからは自分も警戒されてしまう。
どうしようか考えた、その時でした。
「太郎君――ありがとう。君のおかげで作戦が完成したよ」
横にいた健ちゃんが、これ以上ないくらいに興奮した様子で笑っていました。
その作戦、それは
なんでしょう?
大丈夫です、私も一つ考えているものがあるので、何か思いついたら是非描いてみてください!!! そっちを優先します(笑)
しょっち@気ままにやってきます
2022-05-29 07:29:14 +0000 UTC藤原妹紅
2022-05-29 04:30:32 +0000 UTC