はい。
なんせ、3年かかってますから。
いろいろ言いたいことがありすぎて、あとで書こうと思っているときっと次の新刊が出てしまい(未来の自分を過信している)あとがきをやるタイミングを見失うだろうなという予感がしました。
みなさま、たいへんお待たせいたしました楓と桔梗のお話、楽しんでいただけたでしょうか。通販の方はもう少しお待ちくださいませ…本当にすみません…。
ですね、一番最初に描いた、本当にびっくりするくらいつまらないネームなんですが。
このつまらなさは逆に面白いから、時が来たら記事にしようと思っていました。いたんですが、更に時を経て、もう一周回って本当に真剣にこれは面白くないぞと。
これを公開することで、綺月るりは漫画が真剣にへたくそなんだぞと周知する以外の効果はあるのかと。
要するに、恥ずかしすぎるので公開できません。
申し訳ありません。それくらいつまらない漫画ってどんなものなのかと逆に興味が出てしまうかもしれませんが、本当にお見せできないほど面白くないんです。
ざっくりどんな話だったかというと、なんと、10歳ほどの吉野桔梗さんがまず登場し、コーヒーって美味しくないと思い、大人になった吉野桔梗さんは美味しくなくてもいいコーヒーがあるんだわという持論を持つに至る、という流れですね。
この間、どうしても夕陽先生を描きたい私は、小説パートをまるっと回想扱いにしたり、その後同じシチュエーションでまた中庭で楓さんと遭遇させたりと、もう、完全に描いた私しか時系列を理解できない感じにしてしまいまして。
それでもとりあえずになさんにお見せしようとデータを送信しましたところ、「どのパートが現在なの、、?」
そうだよね。
そしてこのあと何度も言われることになるセリフ、「小説パートのところが特につまらないから削除してください」の第一回目を引き出してしまいました。泣いたね。力不足に。それは私の漫画がつまらないだけです。
わかっていても落ち込んだので、このあと1年寝かせます。
吉野桔梗(幼女)はいなくなりましたが、まだ小説パートを回想扱いすることを諦めていません。
それでも実際に使ったネームに繋がる部分もようやく出てきたかんじで、このへんはちょっと面影がありますね。
なんかこの楓さんの登場の仕方が気に入っていて、決断が鈍りました。
こんなのまたいつでも使い回せばいいのだからさっさと諦めればよかったです。悔しい。でも本当に諦めと思い切りが大事だと学びもしました。
学んで、また2年ほど寝かせました。
小説パートを回想にするのはやめよう、現在の話としてきちんと向き合おう、と決めて、まず認めなければいけないのはこれです。
とにかくモノローグのセンスがないです。恥ずかしくて載せられません。
下手ならやらなきゃいい!!と思って、なんとなくできた気になって2年経ってしまいました。できてないのよそれは。思っただけでは。
モノローグを入れないとなると、絵かセリフで状況を説明しないといけません。
かつ、一応小説を読まれていない方向けに描いているつもりなので、1〜5ページ目くらいで全ての説明を終えておきたいです。
説明しないといけないのは、まずこれからどんな話を読まされるのか、誰のどういう話なのか、ということですね。
桔梗が大学講師をしていて、学生の引率で病院に行くことが時々あって、時々会って軽率に寝る相手(楓)がいる、というあたり。
最初は一応絵で説明をしようとして、大学の研究室でレポートを読みながらうんざりしている桔梗…そこへ入る楓からの連絡…、みたいなプロットを描いていました。
そもそも、ネームが本当に全然できないのは、プロットがちゃんとしてないからなんですよ。
プロットなしでいきなり描ける方もいますが、わたしは設計書がないと途方に暮れて何もできない。
で、やっぱりこのプロットの段階で既に、そもそも桔梗は提出されたレポートを溜めたりしなさそうだなとか、お誘いを言い訳に仕事を切り上げたりもしなさそうだなとか、研究室描くと雰囲気が暗くなるなとか、色々あって、もう、楓さんに全部言ってもらうことにしました。
楓さんのセリフで補えなかった部分が、この話の中で唯一モノローグとして入っています。
これだよ。
もう顔どーんでいいんですよ。
それが綺月るりの取り柄というかほぼ唯一のできることですからね。
というわけで、最初のシリアス構想が全ボツになり、モノローグほぼ0のコミカルに全振りし、色気が足りなかったのでなんかいいかんじのセリフを入れたくて、あのベッドシーンを入れました。足で叩いて、指を舐めて催促する桔梗、死ぬ前に描けてよかったです。
で、さきほどのページもほぼ現在のかたちになりました。
1枚目右上のページ、内容は同じですがコマ割りで結構印象が変わりますね。
「あの振り返っている桔梗がすき」とコメントくださった方がいて、縦ぶち抜きにしてよかったなーと思いました。たぶんこのままだとあまり印象に残らないコマになってましたね。
奥が深い、ネーム。
しかしまだこの段階で「やっぱり小説パートが断然つまらない」とになさんから注文が入り、(わたしはもうだいぶ面白くできたつもりでしたが)1ページまるまる使っていた楓さんの晴れた日の過ごし方妄想を無理やり1コマに押し込んだり、桔梗さんのまずいコーヒーに対する語りも数ページ使っていたのをぎゅっと2ページにまとめたり、無駄に楓さんの手を握らせたり、
というような、なんやかんやありまして、最終的なネームができました。
中盤だけ載せます。こちらです。
シンプルに長い道のり。
放置した期間も長かったですが、本当にボツがたくさん生産された一話でした。
ネームができてからは早かったのかというと、それも微妙でして、しかし私は原因を突き止めました。
なんか、なあなあで描けないんですね。
前のコマとキャラの位置入れ替わってるな?とか、これは壁に向かって喋ってるな?とか、気になり始めると下絵が全然進まなくて、これは面倒でもどれだけ適当でも一度平面図起こした方が10倍早く進むなと気付いて、やりました。
◆病院敷地の平面図
◆ホテルの平面図(と適当なベッド)
いやー、てきとうですね。
しかし本当に10倍作画が早まった気がするので侮れません。
こうやって設定に起こしてしまわないと、いつまでも「うーん……やっぱりクイーンベッドのほうが……いや、でもダブルのツインの方が豪華さがある…?あれ、どっちが窓だっけ…………????」を繰り返すことになるので、迷ったらこれを見る!をちゃんと用意することの大事さを改めて感じました。でもこんなこと漫画描く人全員やってると思う。いつまでも初心者のわたしです。
下絵も終わってからの作画はさすがに早かったですね。
予告通りとても写真を使いました。
これは何かで行ったバーのカウンターがかっこよくて「いつか何かで使うな」と思って撮った写真を白黒加工したもの。写真を撮るのも下手なので実際に使えることはあんまりないのですが、これはぎりぎり使えましたね。
それから、ものすごくセールされていたときに買った、なんかいいかんじの都会の背景の素材写真を白黒加工したもの。
あと牡蠣
たぶん新宿三丁目のオストレアで食べたやつです。
牡蠣食べたいとなったらとりあえずここに行きますわたしは。
写真そのままだと情報量が多すぎて画面の中で異様に浮いてしまうので、なんとなく線と面を整理するという手間はかかりますが、1から描くより全然早いですね。皿描くのが下手すぎなので。
いや下手なものが多すぎないか?全部漫画描くのに必要なものなのに…。
自分を責めるのはとりあえずあとにして、ここまできてまだボツになったものがあります。
4コマです。
諦めましょう。一体吉野桔梗(幼女)に何の思い入れがあるんだい。
楓さん→千海ちゃん→夕陽さん、の流れで3本描いたので、最後の1本は桔梗だけの話にしようと思って、それなら一度ボツになった吉野桔梗(幼女)を「子どもの頃から味覚が死んでいてコーヒーを美味しく飲むことができてしまった人」として登場させましょう。としたのですが。
「味覚が死んでる」という表現が、コロナのこともあるし、とちょっとひっかかって、普通にボツになりました。
まあ、吉野桔梗(幼女)はもう、出すなということなんでしょう。社会人百合サークルですからね。むしろなんで出そうと思ったのかな?気付いてよかったです。
ということで、無事に楓さんとの4コマを2本入れることで丸く(?)おさまり、脱稿!でした。長い思い出話にお付き合いくださり、ありがとうございました。
付き合いが長かった分思い入れのある本になりましたが、かなり遠いところからスタートして、最終的にはだいぶ無責任会社サタデーらしいところに着地できたのではないかなと思います。
綺麗(という設定の)な顔もいっぱい描いたし、長い脚もいっぱい描いたし、Loveではないベッドシーンも描いたし。
まだ自分では1回しか読み返していませんが、たいへん満足です。逆に満足できたから1回しか読んでいないのかな。
次の月果のお話は、どうかこんなに長いあとがきを書かずに済むように、すんなり本になってくれないかなと願うばかりです。
それでは。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
とーふ
2023-04-01 10:58:43 +0000 UTCC
2023-03-31 09:25:24 +0000 UTC