どうも、田村サブロウです。
本記事は「アマゾネス達から逃げたその先で_STAGE・2(仮題)」の下書き段階の文章をそのまま投下したものになります。そのため、完成品とは内容が異なる場合がございます。
その点を理解した上でそれでも読みたいという方は、どうぞご覧になってください。
今回の二次創作の題材は、ライトノベル「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」の7巻でメインに出てくる、イシュタル・ファミリアです。
アニメ2期でベルが体験したような「捕まれば犯されるアマゾネス達との鬼ごっこ」を読者の方々に追体験してもらうのがコンセプトです。
今回はイシュタル・ファミリアの事実上の司令塔、アイシャ・ベルカがメイン。
姉御肌的な妖艶美女で、pixivの絵的にはこんな感じです。
それでは、ごゆるりと。
ドサッ、ゴロゴロゴロゴロッ!!
「~~~~~~~~っ!!」
床に転がって落下の勢いを無理やり発散させる。
回転する視界、こみ上げる吐き気、綱渡りをした恐怖の後味……目まぐるしく乱れる意識を無理やり押し留める。
やがて回転していた僕の体から勢いがある程度失われたタイミングで、僕は二足を床に叩きつけ、無理やり立ち上がった。
慣性で少し前に走らされる。
ややよろけたものの、なんとか僕は立ち止まるのに成功する。
ようやく僕は落下の勢いを殺し切ることができた。
「ふぅ……助かったぁ」
過剰回転していた思考が時間経過で正常なペースに戻るのにつれて、僕は綱渡りをやりきった実感が込み上げた。
脱力して、床にへたり込む。
少し休みたい。無茶しすぎた。
緊張から回復するゆとりが今は欲しい。
僕を追ってきたアマゾネスの集団は明らかに一人ひとりが僕より格上だった。そんな高レベル集団から、僕は逃げおおせることに成功した。
その成功の立役者の一つが、僕の【スキル】だ。
判断補助スキル、その名も【操りたい運命の糸】(ONE IN TWO)。
危機的状況において、ほんの一厘でも生還の可能性があるなら、僕は二者択一の選択肢を思い描くことができる。
片方はハズレで、もう片方は生還。
極論、当てずっぽうでも生還の可能性を二者択一まで高められる【スキル】だ。
これのお陰で僕は生き延びてきた。さっきのように冒険の中で格上と対峙したときも、最低限、逃げ延びることができた。
……正直、自分の生き死にをスキルに依存するやり方は、僕は好まない。
意識が腐るというか、成長できないというか。漠然とした嫌な予感がある。
そうは言いつつも、スキル無しじゃままならない事態は多く、結局この“運命の糸”に縋るしかないあたり、僕はまだ弱いという事だ。
必勝の戦いだけで生きていけるほど、冒険者稼業は甘くない。
「自分の未熟さが嫌になるなぁ……」
「いい心がけだね。慢心しない男は私も好きだよ」
「っ!!」
咄嗟に後ろに飛び退く。
僕の独り言を拾ったその声の主は、廊下の角から悠然と姿を見せ、双眸を僕に向ける。
一瞬、見惚れて呆けた。
今日すれ違ってきたアマゾネスたちの中でも、段違いに美麗な顔立ちをしていた。
長身の体躯に、臀部まで伸びる漆黒の髪。踊り子のような露出の激しい衣装の下には、女性的な肉感に富む褐色の肢体があった。
短衣に覆われた胸は張りがありとても豊満で、かといって下に目を移しても、薄い生地から覗く長い美脚が目を逃さない。柔らかそうな肢体の曲線はどこを見ても悩ましく、これでもかと僕に色香を訴えてくる。
濃艶……だけじゃない。なぜだろう、ある種の気品のようなものも感じさせる。
自信に溢れる彼女の瞳がそう思わせるのだろうか。
「なに呆けてるんだい。構えな。目の前に追っ手が現れたんだよ? なら、お前のやることは一つだろう」
「……あ! はい」
腰を低くして、隙を伺う。
見惚れてる場合じゃなかった。まさか敵側の娼婦から指摘されるとは。
これがもし彼女のように『親切』な相手じゃなかったら……と、考えが及んだところで。
あれ? と、今まで指針の候補外だったアイデアが僕の頭に浮かぶ。
「あの……見逃して、もらえないでしょうか」
これ、説得いけるんじゃ?
と、僕が思い切って口にしてみたその懇願は、
「ダメだね」
「うっ」
「ちなみに先に言っておくけど、どんな交換条件も受け入れないよ」
「ぼっ」
「私が『優しい』なんて甘いこと考えているなら、今すぐその考えは捨てな」
「あぁ~~……」
念入りに却下された。うぼあー。
こちらの弱腰を咎めてくる戦闘娼婦のシビアな言葉に、僕は気を引き締め直すことを余儀なくされる。
……後から振り返ってみると、これは事前の警告だったのだろう。
本人は否定したが、僕の油断を是正してくれるあたり、やはり彼女は『優しい』。
だが、確かに目の前のアマゾネスは『優しい』方ではあるが、あくまでイシュタル・ファミリアという狭い界隈の中でマシなのであって。
彼女の『優しくない』という自称も、また嘘ではなかった。
「さっきのあんたの空中での身のこなし、見せてもらったよ。レナ達から逃げ切るなんて、なかなかやるじゃないか……?」
「――いっ」
背筋を舐め取る悪寒。
獰猛に細められた瞳が僕を睥睨する。
姉御肌的に僕の心構えを矯正していたのが一転、女は蛇のように眼光をギラつかせた。
前までのアマゾネス達と――いや、前よりもっと格段に濃い色香が、圧力をも伴って僕の全身をわななかせる。
「うぶな顔も私好みだ……最初はレナたちに譲るつもりだったけど、気が変わったよ。あんたは私の獲物だ」
その宣言と共に唇を舌で舐め、じりじりと迫ってくる褐色の女体。
一歩ごとに豊かな胸が揺れて、衣擦れの音と共になだらかな臀部が欲情を煽る。
「うぅっ……!」
直感する。彼女は今まで遭ったどの戦闘娼婦たちより手強い。
強さでも、度胸でも、色香でも。
そんな彼女に捕まったら最後。
肉付きに富む美脚で、引き締まった臀部で、手で覆いきれないほど豊かな胸で、美と豪胆さが同居する褐色の美貌で。
冒険者として前に進む原動力の全てを、彼女一色に染め上げられてしまう。
忘れてはいけない。
多少、人格者に見えても、優しく見えても。
彼女もまたアマゾネス――豪胆で本能に忠実な、肉食の獣だ!
「さあ、そろそろ始めようか!」
高らかに開戦が叫ばれると共に、黒の長髪がなびいた。
同時に、脳裏によぎる二種の選択肢。
①一撃入れてから逃げる
②一撃入れる……ふりをして逃げる