青(Blue)=咲(saki) 赤(red)=桜那(ouna) 紫(purple)=テイ(tei)
桜那:…ん?誰か来る予定なんてあったかしら…空いてるから入ってきて大丈夫よ
咲?:こんにちは。桜那さん
桜那:…何の用?
咲?:この前解読をお願いされた書物なんですが、少々不備がありまして…
咲?:なので追加の資料を……え?
桜那:下手な演技はやめなさい。それで騙せるなんて思ってないでしょ?
咲?:はあ…
テイ:勿論。こんなので騙される君じゃないもんねぇ。でもさぁ
テイ:拘束はどうかと思うよ?一応身体は本物(あの子の)なんだからさ。
桜那:何されるかわからないからね。怪我したなら治療すればいいし。…それで一体何の用?
テイ:さあ、何だと思う?当ててみなよ。僕のことよーく知ってる桜那さんならさ。
桜那:(術をするような魔力の動きは感じない…ただ私を煽りたいだけ?)
桜那:それに、咲ちゃんの魔力もちゃんと感じる。無理矢理抑えてるような様子もない。でも何かしら、少し違和感があるような……
桜那:あんた何か持ってるわね。出しなさい。
テイ:この拘束を解いてくれたら…と思ったけど、いいよ。抵抗しないから自由に探しなよ。
桜那:何これ…腕輪?みたところ悪い気はないし、テイの魔力も感じない……何でこんな物を。
桜那:(それにこの感覚は…)
桜那:━━え
桜那:っあ…!(何…?急に力が……抜け…て…)
テイ:ふふっ上手くいって嬉しいよ。
桜那:あんた…何で動いて
テイ:あれ?わからないの?今君、上手く力が出せないでしょ?
テイ:これはね、触れた者の力を奪う腕輪なんだよ。さっきまで僕を縛ってた君の能力も、これに奪われたって訳。
桜那:じゃああんたは何でその腕輪に触れてんのよ…!それにはあんたの力は感じなかった…!寧ろ…
テイ:この子の力を感じた…でしょ?
テイ:ねぇ…桜那さん。僕たちが持ってる能力の特性は当然知ってるよね?能力は所有者を守り、害を与えることができない。それは能力で生み出した物も同様だ。
桜那:…つまり
テイ:そうだよ
テイ:これは咲の能力で生み出した物。所有者を守る能力の特性は、この身体の中で眠っている彼女を守るために今『僕』に適応されている。
テイ:ありがとう桜那さん。君がちゃんと警戒してくれたお陰で、僕の目的が果たせる。
桜那:うっ…あぁ…!(力が…抜けていく…!)ぐっ…
テイ:あははっ立つこともできないんだ?
桜那:ここまでして何が目的なのよ…!
テイ:これ
テイ:ずーっと気になってた。今の君はどうしてそんな姿なのかって。だから記憶を見る為に君を無力化した。これなら魔術に対する抵抗もできないし、都合がいいと思ってね。
テイ:さあ、今の君を僕に全部教えてよ。
テイ:へぇ…その姿の持ち主、君が殺したんだ。まぁ肉体がない君は、そうやって成り代わるしかないもんね。
桜那:違う…
テイ:ふーん、違うの?じゃあ教えてくれる?君の言葉(本心)でさ。
桜那:(ダメ…抗え…な…)う、あ
桜那:……私が殺した。私が殺して、この姿が私の姿になった…
桜那:…っ!!
テイ:あははっそうなんだ。僕はただキミに『聞いた』だけ。やっぱり何にも変わってないねぇ。恩師もその手で殺してさ。自覚しなよ。正義を語っていても、君の根本は変わらない。そうやって力を奮うことしかできないんだよ。
テイ:ほら、こうやって。力を制限されただけで、君は目の前の僕にすら手が出せない。
桜那:ぐっ…(動けない…)
テイ:あれ〜?まだ強がるんだ?今の君にそんなの無意味なのに。じゃあこれはどうかな?
桜那:待って、そこは…!
テイ:へぇ…なるほど。これがこの体の魂の出入り口か。
桜那:(こいつ…私の記憶を見て…)そこに触れても、私を追い出すことはできないわよ…
テイ:そんなことしないよ。ただ確認したかっただけ。それと、ここに僕の魔力を流したらどうなるかなって。
桜那:!?
桜那:っああ!!(こいつの魔力が…流れてくる…!)
テイ:君にとっては苦しいだろうね?だって君は元々僕の魔力で成り立ってたんだから。君は僕の魔力を受け入れてしまう。
テイ:いいんだよ?そのまま全部受け入れちゃっても。抵抗をやめれば苦しまずに済むんだから。ほら、信念なんてくだらないと思わない?正義とか何もかも全部諦めてさ
テイ:大人しく僕の人形に戻りなよ。
桜那:(あれ…私…どうなって…戻る…?人形に……?そうだ…私は元々……)
?:君が正しい人で在りたいと望むなら
?:私と友達で居てくれた貴方だから
?:きみは…
桜那:━━━
桜那:……嫌よ。
テイ:は?
桜那:確かに私には正義を語る資格なんてない。力を奪われたらあんたに抵抗すらできない。正義に縋って強がってるだけかもしれない。だけど
桜那:私に人としての名前をくれた人がいる。私に夢と体を託してくれた人がいる。こんな私に『生きろ』と託してくれた人がいる。
桜那:だからあんたの人形なんて絶対嫌。私は正義として、『桜那』として生きるの。貰ってばかりの存在だからこそ、あんた一人の言葉で私は絶対折れたりなんかしない!
テイ:君の心には…またあの死神が生きてるんだ。じゃあその記憶を消してあげるよ。そうすれば無くなるよね?君を培ってる物も君自身もさ!
テイ:本当にくだらない…感情や信念なんて記憶を書き換えれば変わってしまう、不完全なものでしかないのに。
桜那:……テイ?
テイ:くっ……時間切れだ。咲が目覚めてしまった。
桜那:え?
テイ:目的自体は済んでるし…僕は戻るよ。
桜那:ちょ、まっ待ちなさい!せめてこの腕輪外していきなさいよ!力出ないしまともに動けないし!
テイ:あ…あぁ
テイ:それは咲の意識が戻れば直に消滅する。元々そういう約束だからね……
桜那:約束…?あんた、咲ちゃんに対してはなんか律儀よね。あの子を利用してるんじゃないの?
テイ:利用…ね。人形に対してならそうするかもね。君とか…いや、彼女以外の全てにならね。
テイ:僕はこの子が欲しいだけ、僕のモノにして幸せにしてあげたいだけ。それだけだよ。聞きたいことは終わりかな?じゃあ僕はもう行くよ。
桜那:テイ。
テイ:何…?まだ何か…
桜那:あんたが本当に咲ちゃんを利用してなくても、私の時とは違う意図でも
桜那:あんたのやり方は絶対に間違ってる。だから絶対、あんたから咲ちゃんを救ってみせる。
テイ:本当に君の正義は、どこまでも独りよがりでしかない。