Skebにてまたリクエストを頂きました!
今回は「シャーマンキング」からチーム花組改め、仲居花組です!
カンナちゃんの過去編が百合で、アタイびびったもんですよ……。
それでは、どうぞ!
──名付けとは、そうあってほしいという願いが込められたもの。
それは即ち、名付けられた時点では“そうではない”という意味でもある。
平安京……平安であれと望まれた都には、実際には怨霊と疫病が跋扈し、欲望を優先する醜い人間が蠢く、現世に作られた地獄が広がっている。
その日も、猫を一匹連れた陰陽師が一人、貴族からの頼まれた方違えを終え、陰陽寮へと戻る途上にあった。
用意された牛車をあえて使わなかったのは、この都の欺瞞を目に焼き付けんという意図ゆえか、それとも強い巫力を持つ故に感じ取った予感によるものか。
都で最も名高い大陰陽師・麻倉葉王の前に、一人の孕み女が現れたのは道を半ばほど進んだ頃であった。
その女は、今朝までは葉王と同じ陰陽寮の制服を着ていたはずだが、今はそこそこ程度に気品のある単衣姿となっている。
「……小さいな」
女に陰陽寮が下した沙汰を聞く前に察し、呆れたように葉王は呟く。
そんな葉王に向かって、たははと軽い笑みを浮かべて、女は予想できていた言葉を口にした。
「陰陽寮、やめさせられちゃいました……もう、葉王くんを止めてあげることもできませんね」
「愚かなことだ。アレは……君の相手をした存在は、全くの新しい種だ。人でも妖でもなく、女であって男でもある。敗れることは何も恥ずべきことではない」
「負けた上に、孕まされちゃいましたから。博士たちからすれば、どんな化け物が生まれてくるかと、気が気じゃないんでしょう」
二人はそれなり以上に親しく、そして平安の都においては数少ない、実力の一定拮抗した相手であった。
女はその手腕を買われて日本中で災禍を成す、童女の姿をした“何か”を調伏を命じられ──敗れ、抱かれ、孕まされるに至った。
元より霊視を行う為の見鬼を除けば、陰陽寮は女を職員とすることには否定的な組織である。今回の不手際を理由とし、また腹の中の子の得体の知れなさも手伝って、陰陽寮を辞した後に都から去るのが、女に下された沙汰であった。
「次は、葉王くんが倒してこいと言われるかも知れませんよ……勝てないでしょうけど」
「だろう、な。あのような存在がいることを知り、泰山府君の祭を以ての輪廻転生が、望み叶えるためには必要だと思っていたところだ」
「葉王くんのこと、私が止めてあげるつもりだったんですけどね。約束、違えてすいません」
女は大きなお腹を庇うようにしながらも、葉王へと頭を下げる。
葉王は、足元に寄って来た猫を一瞥した後、その脇を無言で通り過ぎる。もう二度と、二人の道が重なることはないのだ……なれば、どんな言葉であっても無意味だと言える。
己の夢を否定する者とすら、時に語らい笑いあえる環境は失われ、朝倉葉王はここから更に自身の内面にのみ拘泥していく道を選ぶが……女の方は言葉が無意味とも思っていないようで、葉王の背中に声をかけた。
「私は、これから時間もできましたし、この秋津島を隅々まで回ってみようと思います。きっと、まだまだ私たちの知らない驚異の光景が、そこにあるはずです……葉王くんの考えが、改まるようなものだって、何処かに」
「……それを待つ間、ただ力が強いというだけで、私に裏切られ続けろと、そう言うつもりか?」
「けれど、今はもう、葉王くんのやることを止めません、止められません。でも、やっぱりあなたのやり口は、色んなものを取りこぼすものだと思います。だからせめて、君が野心で突き進んだ結果。半端に投げだしたものがあれば……できるだけ、受け止めてあげますよ」
くっ、と小さな笑いが響いた。葉王は口元を抑えて笑ったのだ。
それは嘲笑や失笑ではなく、抑えきれないといった、怜悧で知られるこの陰陽師には珍しい笑い方で、猫もそんな笑顔は滅多に見ないのだろう、目を真ん丸にして主を見上げている。
「それじゃあ、いつかまた……その時は、本当に平安な都が何処かに生まれているといいですね」
……これが平安の都において、大陰陽師としての名を競った麻倉葉王と上鳥浄凰の、最後の会話であった。
浄凰が去った後、彼女を孕ませた童女の姿をした何かは日ノ本の総力を以て討伐され、その後に葉王は泰山府君の祭で閻魔大王と契約することにより、自らの輪廻転生を自在に操れるようになったとされる。
上鳥浄凰の行方は杳として知れないが、彼女の家系の者たちは身を次々と持ち崩し、やがては邪悪な呪詛師へと堕ちていったということだ。
※
──現代、知る人ぞ知るアミューズメントな隠れ家的名湯、ふんばり温泉。
仲居であるカンナ・ビスマルクの尻に、ぺろんと手が触れた。
「ひゃっ!?」
「ああ、ごめんなさい。腕が、長いもので」
ふんばり温泉の仲居の一人であるカンナは、その日に迎え入れた外国人の女性の放つ流暢な日本語による謝罪を聞きながら、本当にこんな言い訳する奴がいるのかと驚愕していた。
実際に女の手は長く、しかしバランスが悪いということもなく、すべての個所がほどほどに細く、程々に豊かだ。
名家生まれかつ世界中を巡ってきたカンナをして、こんなに美しい女はそう見たことがない。
かなりひいき目が入っているが、カンナの認定の中では「自分の母や・専属のメイドをしてくれていたベスに匹敵する美貌」となっており、印象の悪い相手を身内を比すること自体が、カンナという少女を考えると珍しいケースだと言えた。
ピキピキと青筋を立てそうになるが、本日は女将代理の玉村たまおも、板前長の梅宮竜之介も居らず、ふんばり温泉はカンナたち中居達に一任されている。万が一があれば、たまおによる鉄拳制裁が下ることを思い、思い切り引き攣ったものだが笑顔で対応した。
「て、手が長いなら仕方ありませんよねぇ……? あたしも手足が長いから、そういう経験ってありますし……」
“下手なことをすればぶん殴るぞ”という意思を込めて、一度目は許してやろうとするカンナに、女はあまりにも自然な仕草でカンナの腕に触れて、キメ細やかな肌を撫で上げると「本当ですね」とほほ笑んできた。
咄嗟にカンナは顔を背け、口の中に溜まっていた霊体の霧……エクトプラズムを吐き出し、持ち霊でありビスマルク家の守護騎士アシュクロフトの腕だけを顕現させる。
「(ふむ、か弱い婦女子といえど、我が主への数々の非礼には制裁が必要であるな)」
「(かるぅくだ……軽く小突いてやりな、アシュクロフト!)」
本来は煙草を媒介にすることで、持ち霊を全裸の煙人間として使役する、エクトプラズム体質にしてシャーマン……それがカンナの正体である。
セクハラ過多の客への鉄槌として、振り下ろされるアシュクロフトの拳……そんな高さからの拳撃、ましてや顔や体も見えない何者かからの一撃など、想定できる者はいない。シャーマンに対抗できるのは、シャーマンだけだ。
女は頭を押さえて悲鳴を上げ、転げまわるものかと思われたが……着撃の瞬間にすぅと頭を下げて荷物を手に取ると、柔らかい笑顔で「それでは、部屋への案内をお願いします」とほほ笑んだ。
「は……?」
「(我輩の攻撃を、かわした……? いや、偶然にも見えましたな……)」」
得体の知れない事象に、怒りは収まり不審が沸き上がる。
しかしセクハラをしていない時の女は、如何にも大人しくて優しそうな二十代後半くらいといった見た目で、不審な行動を取るカンナにも文句の一つも付けてこない。
「あー……観光で、よかったですか、お客様」
「観光というか……日本中を、見て回っていまして。いろいろ回っているうちに、日本が最後になってしまったんです」
「はぁ……ジョゼフィン・ウェイトリィ様で、間違いないですね」
「気軽にジョーと呼んでください、綺麗な中居さん」
そう言って微笑んで見せるのだが、その手は背中を向けたら尻を撫でると予告しているように、掌を向けて逆手に構えられており、カンナの中で好感が生まれることはなかった。
……ちなみに、目を皿のようにして警戒していたのに、最終的に尻を撫であげられるのは阻止できなかった。
※
「なんなんだよ、あいつ!」
「やりたい放題やってきてぇっ!こっちが抵抗できないからって!」
「流石に、セクハラ三昧が目に余るよね……」
カンナと同じく中居である、マッチことマチルダ・マチスにマリことマリオン・ファウナ。
かつては地球の命運を決めるシャーマンファイトにおいて、恐るべき魔女集団“チームハオ・花組”として猛威を振るった三人娘であるが、ハオによって用済みとして裏切りを受けた際に精神は荒廃し、そのまま温泉の女将・麻倉アンナによって強制的に中居として採用された経緯がある。
仕事自体は真面目にやっているが、女将代理のたまおがいない時には手を抜く程度には情熱は枯れ、温泉の本来のオーナーである麻倉葉・アンナ夫妻の子である花からは「見てるだけで気持ちが暗くなる」と言われる程度には辛気臭い生を送っている。
そんな三人が珍しく怒りに燃えて話題に挙げているのは、本日の宿泊客ことジョゼフィン・ウェイトリィことジョーのことだ。
ジョーは穏やかで、中居である三人にも気遣うような態度を見せる傍ら、ほんのわずかでもチャンスが覗くと速攻で三人の体にいたずらを仕掛けてくる。
尻を触られる、胸を揉まれるなどは最早チャメシ・インシデント。部屋に料理を持って行った時に髪を嗅がれたマッチ、布団を敷きに行った時に押し倒されかけたマリ、そしてフロントに電話してきて「カンナさんにマッサージをお願いできますか?」などと言ってくる始末。
流石にここまで来ると、たまおに言えばむしろ彼女が率先して“修験の極み”を叩き込んだ上で追い出すだろうというレベルに達している。
たまおは現在、置いておくとトラブルを起こしがちな花を連れ、竜之介を伴って関東圏の温泉宿女将会に出ているところであり、連絡は繋がらないが、それでも許可は出るだろうと三人は判断した。
「日々の鬱憤にセクハラの恨みも乗せて、そろそろノシつけて返させてもらおうじゃないか!」
「こういうノリ、久しぶりだねぇ。なんか情熱と若さが戻ってきた感じがするよ、カナちゃん!」
「それはカンナとマッチだけ……でも、あの女の人を帰すべきというのは同意」
かくしてマッサージを頼まれたのを契機として、遂に中居たちはブチギレてジョーの部屋へと押し掛けたのだった。
「あら……三人同時なんて、頑張れるでしょうか?」
「なにを勘違いしてるのさ!度重なる仲居相手のセクハラ行為、もう見逃しちゃいられないよ!」
「お姉さんは魔女を怒らせちゃったってワケ!大人しく出ていくか、怖い目にあって出ていくか、選んでいいよ!」
「マリはただ、静かに日々が過ごしたいだけ……あなたは、マリの平穏を乱す……」
実に数年ぶりにシャーマンとして現役だった頃の衣装を身に着け、ジョーへと迫るカンナたち。
紫煙がヒト型に立ち込め、刃と箒を手にして構え、銃を携えた人形が照準を合わせる。
手品の類だとでも思っているのか、不可思議な現象が巻き起こり、マッチに至っては刃物を構えているのに、ジョーはまるで慌てる様子を見せない。
「へえ……力ずくで退去させる、ということですね。それじゃあ、勝負をしましょうか」
状況がわかっているのか、いないのか。そんなことをジョーは言い出す。
「私も、少しは心得があるんです。もしも私が負けたら、帰るだけではなく迷惑料として大金も支払いましょう。けれど、もしも私の方が勝てば……一日、皆さんを好きにしていいですか?」
ジョーの言葉に、三人は思わず失笑を漏らす。
体を鍛えているとか頭がいいとか、そういうことはシャーマンの前ではまるで意味がない。
流石に近代兵器で武装しているとか、軍隊を相手にするとかになると相性が悪いこともあるが、幼少期のマリですらも父親を裏切ったマフィアたち相手に大立ち回りを演じて圧倒していたほどに、非シャーマンとの実力差は絶対的なのだ。
まして、この場にいる元チーム花組・現仲居花組は、シャーマンたちの中でも上澄みに入る実力者だ。時折不審な行動は見られるが、霊力も感じなければ持ち霊を出す気配もないジョーが、花組に勝てるどころか無事に逃げ出せる可能性すらゼロといっていい。
「いいよ、仮にもお客様だ。そっちの条件を飲もうじゃないか」
「大量の追加料金って、これボーナス出ちゃうんじゃない!?」
「懐に入れようとしないところ、健全過ぎ……」
三人娘が盛り上がる中、にこにことした笑顔を浮かべたまま──ぽつりとこんな言葉を呟いた。
「──いあ、よぐ・そとほ-と」
※
「──怪我をさせてしまって、ごめんなさい。もう、動かしても大丈夫ですよ」
三人娘はそんな風にジョーから言われるが“再生した手足”を動かすことはまるきり出来なかった。
異空間からいきなり現れる、七色に発光する禮病に侵されたような、極めてパワフルな触手。
それらに軽々と三人娘の持ち霊たちは打ち払われ、カンナたちも手足がへし折れたりもげ落ちたりして絶叫する羽目となり、早々に決着はついた。
目の前で自分たちの怪我が、時間を巻き戻すようにして再生していくのを見せられ、ここまでデタラメな力を持つ相手となると、かつての主人であるハオくらいしか思い当たらない。
「くそっ、油断した……まさか、神クラスのシャーマンだったなんて……!」
「で、でも、こんな奴、シャーマンファイトで見なかった!」
「弱い相手ならまだしも、どうしてこんな強者がシャーマンファイトに出てこなかったの……?」
「昔馴染みとの約束で、今回は邪魔はしないと言ったので。義理堅いんですよ、これでも」
相変わらず全く巫力というものを感じさせないまま、虚空から無数の触手を呼び寄せ、その一本に腰かけて見せるジョー。
「それで、約束の話ですが」
「ぐぅ……!」
「あ、あたしたち、まだ負けは認めてないから!だから、まだ負けてない!」
「マッチ、ダメ……!」
ずどんっ!
建物全体が揺れるほどの勢いで以て、触手がマッチの股間へと振り下ろされた。
スパッツに覆われたそこから、ちょろろろろ……と小水が漏れ出す。
相変わらず、ジョーは優しい笑顔をこちらに向けているが、それは隙があれば好き放題にふるまうという宣言だと、今日一日だけでも思い知らされたはずだ。
震えながら三人は、その場で土下座をする。たまおによって恐怖で支配された際、最初に覚えさせられた作法がこれだった。
攻撃の際に引き裂かれた衣装はほとんど原型を留めていなかったのもあり、土下座と同時にずるんっと滑り落ちて、三人は示し合わせたように全裸になる。
「ご、ごごご、ごめんなさいぃぃ……こ、降参です……マッチとマリを、許してやってくださいぃ……」
「し、死にたくない、やっぱりまだ死にたくないよぉ……ごめんなさい……ごめんなさい……」
「マリたちの、負けです……わたしたちのこと、一日好きにして、ください……」
ハオの裏切り以降、生きる屍のように日々を過ごしてきたつもりだった。
しかし、仲居として過ごす日々にはやり甲斐や達成感があり、たまおは厳しかったが真っ当な気遣いは心の傷を癒し、悪ガキだが放っておけない花の世話は少女たちを大人の女に成長させた。
何よりも、一方的に裏切られ虚脱だけを残していったハオの思惑も、シャーマンキングとなった彼の顛末を聞かされることで知り、自分たちなりに処理もできるようになっていた。
そうなると、もう死んでもいいとは思えなかった……三人は震えながら、苛烈な魔女シャーマンから仲居へと逆戻りしていく。
哀れで、だからこそ煽情的な光景を見つめながら、ジョーはニッコリと笑みを深くして、三人娘へと提案する。
「まずは──お風呂に入りましょうか。せっかくの、温泉宿なのですから……」
※
「ほっ……ほぉっ……ご、ごらん、くださいぃ……♥」
「た、たっぷりの泡でぇ……き、綺麗にさせていただきまぁす……♥」
「マリたちのご奉仕、どうぞ味わって……あぁぁ……♥」
浴場でそれぞれに裸になって見せた三人は、顔から火が出そうなほどの周知に晒されていた。
竜之介相手に裸を晒しても動じないほどカンナたちは達観しているのだが、そんな彼女たちが同性相手に裸を晒してこんなにも恥ずかしがるのは、その全身にもこもこと石鹸の泡を纏わされた状態で、ジョーの体を綺麗にするべく肌をこすり合わせているからだ。
体をスポンジ代わりにした、性的な奉仕……特にカンナとマリは元々の育ち自体はいいこともあって、娼婦紛いの痴態を晒すことへとの恥じらいはひとしおだ。無論、マッチは平気ということではない。
かつてはカンナ以外は幼い少女のものだった体も、時の流れと温泉の効能で、すっかりと豊満で健康的なものに変わっている……ジョーも美しい乙女であるため、肌と肌の弾力が押し返しあい、泡立ち増していく光景は、天女たちが戯れているといっても通じるだろう……実際は、魔女が仕置きを受けているのだが。
「んつ……♥ 気持ちいいです……こんなサービスを受けたのは、日本に来てから初めてですね♥」
「うぅ……くっ、んんっ……♥ 体、こすれてぇ……あっ……あぁっ……♥」
「ちょっ、ちょっとマッチ、変な声出さないでよ……ぉっ……♥」
「カンナも、甘い声、出てるわ……あっ……んんっ……♥」
ただでさえ恥じらいと屈辱で体が敏感になっており、本来ならば嫌悪しか感じないような行為で快感が体に走り、肌同士の触れ合いを心地よいものだと脳が認識しようとする。
かつてハオに心からの恭順を近い、その後にたまおの矯正を受けて社会人をしている三人にとって、自分よりも力の強い相手に従うという処世術は、本人たちが意識しない中で根付いてしまっている。
三人がかりで敗北したジョーに、羞恥と怒りしか感じていないと思い込んでいる彼女たちなのだが、実際にはもう三人娘の胸には、強い相手に服従する喜びが芽生え始めていた。
肌がふれあい、奉仕を許され、相手がほめてくれる……そのことに、快感を覚えないはずがないのだ。
「ふふっ……とても気持ちいいですが、もっと繊細に磨いてほしいですねぇ……えいっ♥」
「きゃっ♥な、なにすっ……むぐぅぅぅっ♥」
「あっ、あっ……んんっ♥ふ、ぐぅぅぅっ♥」
マッチとマリの顔に石鹸の泡を塗り付けると、ジョーは二人の顔を腋に挟み込み、そのまま甘い匂いのするそこに押し付けてしまう。酸欠の苦しさもあるのだろうが、自分とジョーへの怒りを共有しているはずの二人の目が、どんどん蕩けていくのはカンナにとって恐怖を湧き上がらせた。
「あなたは、さあ、ここですよ♥」
「ひゃっ♥むぶぅぅぅっ……お、あぁぁっ……♥」
伸びてきた足が顔に石鹸を塗り、足の裏かと思った次の瞬間には首を拘束され、股間へと顔を押し付けられるカンナ。
敏感な箇所をそれぞれに顔を使って磨かれてしまい、くぐもった悲鳴を上げながら、花組の秘所は少しずつ濡れ始めていた……。
※
「く、うぅぅぅ……ほ、ほぉぉっ♥ご、ごらん、くださいぃぃっ……ひ、一つ、ほい出た、ほい……♥」
「あははっ♥日本の余興はユニークですね……海外の方だから文化への精通が足りないかと思いましたが、流石の仲居さん♥」
入浴の後、花組はその名を示すような花柄の扇子を持たされて、もう食事は終わっているのに夜食と称して軽食を用意させられた上に、裸踊りを披露させられていた。
ジョーは浴衣をなんともセクシーに着崩し、憎い対象のはずなのにカンナたちはごくっと喉を鳴らしてしまうほどの色気がある。そうすると、先の風呂場からおかしくなってしまった股間が、とろぉっ……と愛液をたらし始めるのだ。
「くぅぅっ……こ、こんなの、恥ずかしいからだ……♥マッチも、マリも、気にするんじゃないよ……♥」
「わ、わかってるけどぉ……うぅぅ……止まらないよぉ♥た、助けて、ジャックぅぅ……♥」
「ほぉっ……♥んほぉっ……♥屈辱……どうして、こんなことに……♥」
愛液を滴らせ、同性の前で……強大なシャーマンの前で、扇子を使った裸踊り。それは、ここ十数年でたまおによって矯正された三人の魂を、ある意味ではかつての状態に錬磨している面もある。
すっかり感情をすり減らし、たまの喜びと言えば軒先で餅を焼く程度……感性が完全に死んでいた三人には今、火のように激しい感情が取り戻されつつあった。
もっとも、それは彼女たちを守護している持ち霊も含めて、羞恥に満ち満ちたものだったが。
「うふふ……おマ〇コ濡れてますね……しっかり見せてほしいです♥こっちに開けてみせてください♥」
「うぅ……は、はいっ……♥」
「えっ、カナちゃん……?」
真っ先に両手で尻を掴むようにして、二つの穴をあらわにしたのはカンナだった。
その態度に、マッチもマリも驚愕し、心の中の抵抗の意思が折れていく……約束や力の差もあって、渋々行っているだけだったはずのその行為への意味合いが、変化していく。
カンナは一番尖った見た目や言動をすることが多いので勘違いされがちだが、大きな力への依存心は最も強い。
これはマッチやマリが“力”から距離を取った状態でシャーマンとして歩みだしたのに対して、エクトプラズム体質を長らく両親やメイドのベスに守られてきたからで、ハオに裏切られたときに最も取り乱したのも彼女だった。
弱々しくそれぞれに秘所を見せつけ、すっかり大人の乙女のもの、うっすらと毛が生えているもの、ほとんど無毛のもの……三者三葉のマ〇コを、見せつける。
「ああ……たまりません♥ 食欲も満たされましたし、それでは夜伽をお願いしますね♥」
「くっ、結局、最後はそれか……」
「大丈夫……相手は女、一番奥が汚されることはない……」
マリの言葉に頷く花組の残りの面々。先ほど丁寧に洗わされた体も、間違いなく女のものだった。
この時、油断というか安心というか……気を抜いてしまったのは彼女たちの落ち度ではあるが、既に心のどこかでジョーへと気を許し始めていたことも、一定あるかもしれない。
ただ、羞恥や屈辱だけを与えられているのに。その理由は、夜伽の中で明らかになる。
※
──闇の中で、白い肉色の刃が輝いていた。
月明かりの差し込むだけの客室で、ジョーの股間に反り返るそれは、花組の面々の心に強烈に刻み込まれる。
「あっ……あっ、あっ……♥ こ、こんなこと……」
「嘘……嘘だよ……なんで、チ〇ポ……?」
「あ、あはは……こ、これは、悪い夢よ……♥」
カンナは、初恋の相手に両親を殺された。マリは、初恋の相手を父親の組織に殺された。マッチは、この年になってまだ初恋を知らない。
そんな三人にとって、男根を直視する機会自体がほとんどなく、花や竜之介のそれは関係性が近すぎて意識しないのだが……ジョーのそれは、明らかにこれまで見たことがないほどに凶悪な代物だった。
「舐めてください……♥」
それは丁寧語だったが、命令だった。こちらの選択に是しか許さない、柔らかな口調。それは、ハオで慣れていた。
三人は、さっきはなかったはずの肉竿がそびえている事実にすら向き合う余裕もなく、まるで困難を乗り越えるために身を寄せ合っているかのように、ぴちゃぴちゃと三方から肉竿を舐め始める。
苦い、苦い味が口の中に広がり、喉の奥へと堕ちていく。ただまずく、臭いだけなら耐えられるが、甘さや花のような香しさが何処かに交じっており、そのことが三人から抵抗の意思を奪っていく。
「それじゃあ、最初はカンナさんにしましょうかね……」
「あっ……あっ……た、助けっ……♥」
思わず部屋の外へ這って逃げそうになった腰をしっかりと掴まれると、ぶちぃぃっ♥ と処女を奪う一突きが襲った。
「ほぉぉぉぉぉぉっ♥」
カンナの喉から漏れたのは、悲鳴でも絶叫でもなく、紛れもない嬌声。何故自分が、レイプ同然のセックスであえいでいるのか、それが分からない。
「んへっ♥ んえぇぇぇっ♥ 嘘だぁぁっ♥ こんなの、嘘ぉぉっ……♥ せ、セックスなんて、きもちいいわけ、な……んぎぃぃぃっ♥」
「気持ちいでしょう? いきなり処女ぶちぶち破られて、育ちのいいお嬢様マ〇コぶちぬかれるの気持ちいいでしょう♥ カンナさんは、ほとんど前戯も無しで感じてしまうんですね♥ 典型的なオマ〇コ面になってますよ♥」
「な、なって、ないぃぃぃっ♥ そんなの、知らない、知らないよぉぉぉっ♥ やだぁぁっ♥ イクの、止まれぇぇぇっ♥ あたしの、体……ひぃぃぃっ♥」
最後だけは、喘ぎでなく悲鳴だった。とぽぉっ……とカンナの秘所とジョーのチ〇ポの隙間から、ぶびっ♥ ぶぴぴっ♥ と精液が噴きだしている。
四つん這いの姿勢で、精液を噴き出すオブジェと化したカンナに悲鳴を上げるまもなく、マッチの体が押し倒され、挿入される。
首筋に強いキスを落とされて、強制的に悲鳴は「んきゃはぁぁぁぁっ♥」という鳴き声に変わった。
「マッチさんはカンナさんよりも、おマ〇コがゆるめですね♥ ちょっと印象と違うかも♥ 魔女だけに淫乱だったんですか♥ あちこちのチ〇ポ咥えてたんじゃないですか♥ オナニーでここ、いっぱい開発してたんじゃないですかぁ♥」
「ひぃぃっ♥ してない、よぉぉっ♥ はひっ♥ んひぃぃっ♥」
「魔女ってオナニー狂いらしいですもんね♥ 箒で自慰とかするんでしょう♥ もう、いやらしい子はお仕置きです♥ もうえっちなことは、私以外とは許しませんよ♥ あっ、ほかの二人とユリユリするのは許可してあげます♥」
下劣な言葉の嵐なのに、そこにはマッチへの執着と愛情が潜んでおり、彼女の孤独な魂に食い込んでくる。
涙を流しながらマッチは、自分が今どんな感情を抱いているのかを言語化もできないままに、ジョーの背中に爪を立てながらイッた。
まるで、恋人同士が睦みあった後のような傷がそこには残った。
「あっ、あぁぁっ……パパ、ママ……トニー……やっ、助け……んむぅぅぅっ♥」
「んちゅっ、れろぉっ……♥ こぉら、キスの途中に逃げようとするの、ダメですよ♥ キスハメ中は、女の子はキスに集中しないと♥ 厳しくいきますからね♥ おらっ、舌出せ♥ ぺろぺろ舐めろ♥ ラブラブキッスで喜ばせろ……♥」
「んっ、んんっ……♥ ああ……マリ、犯されるのにっ♥ 相手を喜ばせるキスしてるぅ……♥」
喰い散らかすかのように、口内を舌で掻き回すキス。
自分だけを見てくれる相手を、マフィアの娘という背景から色眼鏡で常にみられた人生からの脱却を望んだマリにとって、愛情たっぷりのキスハメへの抵抗など不可能だった。
気づけば自分から足を絡め、舌を絡め、口内に唾液を溜めて……精液を、注がれていた。
三人まとめて、膣内射精を行われ、マジで堕とされる寸前まで至らされた。それでも、弱々しく花組の面々は、互いを励ましあう。
「が、がんば、れ……ど、どうせ、一日きりなんだ……ハオ様との日々や……ここで過ごした時間に比べれば……」
「そ、そうだよ……ハオ様との日々は……こ、この程度の刺激じゃ、なかった……多分……」
「おちんちんに、負けたなんてなったら……女将に、また鉄拳されるわ……これ以上、肩身を狭くしたくない……」
堕ちる寸前で踏みとどまる三人だったが……少しだけ顔を赤らめた様子のジョーから放たれたのは、意外な言葉だった。
「ベスの言ったとおりですね……本当は思いやりがあって、身内に優しいカンナさん♥」
「へ……ベス……?」
それは悲しい遺産争いの中で、犠牲になったカンナにとっての最愛のメイドの名。
「お婆様の言う通り、一見すると無邪気な中に強さを称えているマッチさん♥」
「おばあ……え、どうして、おばあのこと……」
それは疫病が蔓延する中で、最後まで人に尽くして自然に帰った師匠のこと。
「トニーさんから聞いた通り、寂しがり屋だからこそ周囲をよく見ているマリさん♥」
「トニー……だって、トニーは、もう昇天して……」
それは血を血で洗う抗争の中で、少女を守って散った勇敢な男の記憶。
「──私の持ち霊、ヨグ・ソトホートは過去と現在と未来、霊の世界を自在に繋ぐ、記憶の集積体……すべての生命の感情と時間を司る、もう一つのグレイト・スピリッツ……聞いた通り人たちでした。三人のことを、一目見た時から好きになったのは本心です。必ず幸せにしますから……三人とも、お嫁さんになってください♥」
この時になって、三人はあのセクハラ三昧の意味が分かった気がした。
あれは、過去なのか未来なのかは分からないが、自分たちの大切な人に……成長した光景を送るために行っていたのだ。既に二人から情報を得て、顔を近づけようともしなかったマリが押し倒されたのは、きっとそのせいだろう。
そして、いま、花組の胸には確かに感情の躍動が蘇っている……それはきっと、しょぼくれた自分たちを、逝ってしまった人たちに見せない為だ。
これまでは嫌悪や羞恥の元だった行動の意味を知り、三人はよろよろと立ち上がると、それぞれに蹲踞の姿勢を取り、腰をヘコつかせ、精液をぴゅっ♥ ぴゅっ♥ と噴き出し始める。
「な、なるぅ……♥ お嫁さんに、なるんだぁ……♥ あたしは、幸せな姿を父さんや母さん、ベスに見せたい♥」
「私も、私もなるぅぅぅっ♥おばあに幸せなお嫁さん姿見せるぅぅっ♥ 私は、立派なシャーマンになったんだぁ♥」
「パパ……ママ……トニー……私、お嫁に行くわ……♥ もっと、ハメてぇ……マリの感情を、激しく引き出して♥」
三者三葉の、プロポーズへの返礼。
愛情のこもったセックスは、結局、朝まで続いたという。
※
──翌日。
「温泉なんて、もう入りなれてんのに……いてっ!」
「他所さんのところで、それを言ったら拳骨で済みませんよ、花ちゃん?」
「おーす、ただいまー……ん? あれ、あいつら出てこないな……おーい、仲居組ー?」
施錠はあちこちにきちんとされていたが、今日まで宿泊の客がいたのに奇妙なことだ。
まさかサボりかと鉄拳の準備をするたまおの部屋、そこには「しばらく、新婚旅行で留守にします」と書いた手紙と、チ〇ポを三人がかりで頬に挟んだ、シャーマン時代の衣装の胸と股間をハート型に切り抜いた撮った卑猥な写真が置かれている。
その写真は確かに卑猥で、しかも無責任な内容だったが……花組の表情は、それこそ花のように華やいでいた。
今回の攻め役
※ジョゼフィン・ウェイトリィ
・神クラスのシャーマン。一見すると「体のすべてのパーツの配列が完璧で、穏やかで心優しい女性」に見えるし、それも嘘ではないのだが、美人の女性を目の前にすると興奮し理性がなくなるという、割と致命的な弱点を抱えている。本編中の行動は、花組の推理通り霊たちへ成長した三人の姿を見せるためだが、趣味もかなり混じっている。あだ名はジョー。
・平安時代に麻倉葉王と競った女陰陽師、上鳥浄凰(うえとり じょうおう)の転生体であり、かつて“新しい種”=屋根高ワールドのふたなりの祖、匂宮那由他との死闘に敗れて孕まされたことから陰陽寮をクビになり、葉王の暴走を止められなかったことを気にして、ハオのやらかしの補填をするために世界を回っている。
・巫力は無し(0)。それというのも、持ち霊が存在している「過去と現在と未来が混ざり合った虹色の空間」に自身の巫力を丸々置いている状態にあり、これによって人間の限界を遥かに超えた、神霊に匹敵するようなレベルまでの成長を可能としている。
・持ち霊はありとあらゆる霊の“記憶”にアクセスすることによって、三つの時間を自在に操ることができる“もう一つのグレートスピリッツ”ヨグ・ソトース。魂が溶け合うことで個の意識が失われているグレートスピリッツ以外の、すべての霊に干渉することができる。霊力値は三億×3。これも、あくまで地球が消し飛ばないように出力を抑えたものであり、最大出力は不明。
・ちなみに、ガンダーラを全滅させたシヴァの霊力が一億三千万。もう一つのグレートスピリッツの名は伊達じゃないのだ。