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異無
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魔王に堕とされて 7


 ピチャ、ピチャ、レロ、ジュル。

 

 シコシコシコシコ。

 

 魔王の間で湿っぽい音が響いていた。

 

「フフ、どうかしら? 臭い足舐めてオナニーする感想は?」

 

 最悪だ。

 

 レオは心の中で呪詛を吐いたが、何故か口からはまったく違う言葉が出てしまう。

 

「き、も、ち、いい、です」

 

 見えない何かに無理やり喋らされているようで、洗脳系の魔法を受けた印象が近い。

 

 だが、これほど意識がはっきりしている洗脳魔法は聞いたことがない。

 

 エリスの――魔王としての力なのだろうか?

 

「ずいぶんと不満そうな気持ちいいですね? やっぱり、まだ身体に心がついてこないのかしら~?」

 

 玉座で優越感に浸りながらレオを見下すエリスは小バカにする口調で訊ねる。

 

 わかりきったことをわざわざ言葉にすることで、さらにレオのプライドを傷つけるためだ。

 

 足を舐めさせられて、オナニーを見られる。

 

 こんな恥態を見られて喜ぶはすがない。

 

 だが、それは最初だけだ。

 

(レオの脳に射精の快楽と私から与えられる屈辱を結びつけてあげるわ)

 

 サキュバスでもあるエリスは対象である男をどうしたら虜に出来るか、本能的に理解する能力があった。

 

 さらに魔王として君臨し、数多の魔族を支配するエリスには対象を自分の思うままの形で支配下に置くことも可能になっていたのだ。

 

 勿論、膨大な魔力を使い、一気にレオの心を壊して、人形にすることもできるが……。

 

(それだと融通が利かないのよね。こいつには、勇者の能力をもったまま、私の奴隷になってもらわないといけないし)

 

 今は戦闘力を奪っているが、今後は勇者を魔王軍の駒として使えるようにしたいのだ。

 

(どんな生き物の快楽には抗えない。堕落し、支配される悦びを、私へ服従することが快感に感じられる身体にしてあげるわ🖤)

 

「ほら、指の間の垢もちゃんと食べるのよ?」

 

「うごごご」

 

 エリスの命令に舌が勝手に指の股へと動き、舌先が指の間に溜まっていた足垢をすくいとる。

 

(うぇ、辛い!)

 

 舌先を刺激する辛さ。

 

 口から鼻へとせりあがるのは粘りのある悪臭で、自分が何を強制させられているのか嫌でも思い知らさせる。

 

 ピチャ、ピチャ、レロ、ジュル。

 

 シコシコシコシコ。

 

「フフ、こっちの足が暇だから、お情けをあげましょうね~」

 

「んっふっ! 」

 

 慈悲深い笑顔の仮面を貼り付けたエリスは、今度は奉仕させていない足で乳首をいじりだした。

 

 床に寝転がされ、片足は口を塞ぎ、もう片方で乳首を弄られ、自分の手はそれを払い除けることすらせずに必死に自らのチ●コをしごく。

 

 もし他の人間がこんな姿を見れば、勇者の権威は失墜するだろう。

 

 いや、勇者は魔王に敗北したのではなく、寝返ったとすら思われてしまうに違いない。

 

(くそっ! まったく身体が動かない!)

 

 レオは手をとめようとしたり、口に捩じ込んでくる爪先に歯を立ててみようとしたが、まったく身体は言うことを利かない。

 

 生まれてこの方、一度も離れたことのない相棒に裏切られたかのような衝撃にレオは悔しさで一杯だった。

 

 だが、そんな心の片隅で小さく燻る別の感情が芽生えていた。

 

「ほらほら、乳首も固くなってきたわねぇ。チ●コも我慢汁が出てきて……。私にこんなことされてるのが、実は嬉しいのかしら? 人質なんかなくても命令された舐めてたんじゃないの? この変態勇者! アハハハハハハハ!」

 

 高笑いするエリスの言葉が今まで以上に深々とレオの胸を抉る。

 

 それは図星ではないかと思う自分があったからだ。

 

 心の隅に芽生えていた感情――気持ちいい――というおぞましい思いだった。

 

 本来ならプラスの感情だが、この状況ではマイナスでしかない。

 

 身体は支配されても心は耐えれている。

 

 そう信じていたレオの精神―心―に亀裂が入っていたのだ。

 

「たかだか人間がサキュバスの力をもつ私に抗うなんて出来るわけないのよ? ほら、認めなさいよ? 私に支配されちゃうのが気持ちいいって♪ 私に与えられる屈辱が幸せだって」

 

 やめてくれ……。

 

 亀裂からレオの心の牙城を抉じ開けるようにエリスはさらに畳み掛ける。

 

「フフ、そんな泣きそうな顔しても、身体は感じてる。私の足を舐めて、身体を踏まれ、蔑まれて、抵抗できない負け犬勇者。それがお前なの。お前はもう私の奴隷になるしか生きる道はないのよ?」

 

 こちらを覗き込むエリスの黄金の瞳に吸い込まれる様に、目が合ってしまった。

 

 瞬間、レオは自分が喰われる様な錯覚に陥った。

 

 まるで、子供の頃に初めてあった大型の魔物を思い出して、心までも強張る。

 

「私を愛して、恋して、想って、崇拝して、私に全てを捧げるの。それがお前には悟ってしまった最高の幸せなのよ」

 

 ぺっ!

 

 エリスは無像なレオの顔に唾をはきかけた。

 

 生暖かい唾がねじ込むエリスの足指を伝い、口内へと流れ込んでいく。

 

 甘い蜜のような味と濃厚な魔力。

 

 精神がとろかされる様に、エリスの言葉が心に染み込んでいく。

 

 これは幸せ……。

 

 これが幸せ……。

 

 これこそ幸せ……。

 

 頭の中でエリスの声が何度も反芻され、次第にこの状況が気持ちよくなっていた。

 

 なにも考えず、ただ従うだけで、気持ちよくなれる。

 

 それはとても楽で、心地よくて……。

 

「ほら、変態勇者。私に踏み潰されながら、射精しなさい。お前の心も身体も私に敗北したと言い聞かせながら盛大にだしなさい」

 

 ギュゥゥゥゥゥゥゥゥ!

 

 エリスの足の裏が視界を覆い、一気に体重をかけてくる。


 生まれてからずっとエリスの体重を支えてきたとは思えない柔らかさ。

 

 その足の裏が余すことなく顔面を捕らえ、踏み潰しているのだ。

 

 自分という存在の象徴―アイコン―である顔面を足蹴にする。

 

 なのに、レオはこれが気持ちよくて、正しいのだとレオは感じてしまい――。

 

 ドビユ、ピユ、ビュ!

 

 握りしめたチ●コから思い切り白い精液が吐き出される。

 

「アハ、アハハハハ、アハハハハハ! いっちゃったわね~♪ あ~最低な勇者だわ♪ クククク! 私の汗と唾がそんなによかったの? もうこれから私から離れることは二度とできないわね~」

 

 サキュバスに射精させられたのだ。

 

 その快感と、快感の引き金となった行為への依存度は麻薬にも匹敵すると言われている。

 

 もうレオはエリスの言いなりになるだろう。

 

 彼女から与えられる欲して――。

 

 レオはひりつくような熱が頭をかき乱す中で、解放感と後悔が入り交じった複雑な表情で涙を流すのだった。

 

 

 

 

 


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