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SS「おむつぐみ」(3)

「お、おしりつ!?」 「そうよ。お尻の毛もちゃんと剃らないと、汚いし、園でおむつを替えてもらうときに見られたら、恥ずかしいでしょう?」 「見られ――」  今までなるべく考えないようにしてきたことを言われて、和実は青ざめる。母親に見られている今ですら死にたいくらい恥ずかしいのに、これからは園の先生にも見られることになるのだ。 「で、でも、もしかしたら一人で替えるのかもしれないし、それにトイレですれば――」 「だったらこんな、布おむつにはしないんじゃないかしら。とにかく、もしも見られた時に恥ずかしいのはお母さんなんだからね。赤ちゃんじゃないんだから、わがまま言ってないで大人しく出しなさい」 「うぅ……赤ちゃんじゃないから恥ずかしいんだってば……」  和実は泣きそうな声で答えると、体を起こして反転させ、お尻を向けて四つん這いに。こちらにもシェービングクリームが塗られ、肛門付近に剃刀の刃が当たる感触に、「ひっ」と喉を鳴らして硬直する。 「動くと切っちゃうから、大人しくしてなさいね」  母親は注意深く剃刀を動かして、桜色のすぼまりの周囲に微かに生えた体毛を、丁寧にそり落とす。付着した泡を指で落として、 「……これでよし、と。じゃ、シャワーで落としてらっしゃい。体を拭いたらそのままリビングに来るのよ」 「は、はい……」  和実は急いで立ち上がり、ほうほうの体でリビングを飛び出す。  浴室で下半身のシェービングクリームを落とし、改めてボディーソープを使って丁寧に洗う。しかし泡や細切れの陰毛は落とせても、陰部を這いまわった母親の手の感触は残ったままだった。 「うう、気持ち悪い……」  シャワーで洗い流し、陰部をあらためて見下ろす。生えていた陰毛は剃り跡も残さず綺麗になくなって、小学生以来のつるつるおちんちんだ。無防備になったようで落ち着かない。 「はぁ……おむつを当ててるとは言ってもトイレには行けるんだろうから、先生におむつを替えられるようなことにはならないと思うんだけど……」  願望も込めて呟きながら、浴室を出て体を拭き、そのまま脱衣所を出る。股間を隠しながらリビングに入ると、 「さ、こっちにいらっしゃい」  母親がシートの上におむつカバーを広げて、準備万端待ち構えていた。 「最初からピンクは恥ずかしいだろうから、水色のおむつカバーにしておいたわ。おむつは……とりあえず、3枚くらいでいいかしらね。赤ちゃんじゃないから、普通に重ねて並べちゃって大丈夫でしょ。左右に横羽がついてるほうがお尻側だから、そっちにお尻を下ろしなさい」 「う、うん……」  ついに目の前に広げられた光景に、和実は息を飲む。おむつとおむつカバーという時点で、もはや色など関係ないくらいに恥ずかしいのだが、それを口にする余裕もない。ゆっくりお尻を下ろすと、ざらつきつつもふんわりとした3枚重ねのドビー織に受け止められて、 「んっ……!」  ぞく、と背筋を走る戦慄に呻きが漏れる。 「そのまま後ろに寝っ転がって、膝を曲げて脚を広げなさい。頭をぶつけないように気をつけるのよ」 「う……ねぇ、おむつ当てるのって、一人でやっちゃダメ? まだそのほうが――」 「ダメよ。こういうのは、誰かにやってもらうものなの」 「はーい……」  せめて自分でやれば恥ずかしさも軽減されるのに――唇を噛みながらも、和実は大人しく仰向けに寝転がる。言われた通り膝を曲げて脚を広げると、まさにおむつ交換してもらうときの赤ちゃんのようだった。  正面に座った母親は膝を詰めて、 「まずはおむつを前に当てて――ああ、ベビーパウダーがあるとよかったわね、気付かなかったわ。あとでいろいろ、買ってきましょう」 「い、いいよ、そこまでしなくて……!」 「だめよ。かぶれたらどうするの。ま、今は仕方ないからそのまま当てちゃいましょう」  手前側のおむつを持ち上げ、陰部に被せようとしたところで、 「そういえば、おちんちんは上向きのほうがいいのかしら? それとも下向き? どっちがいい、和実?」 「う……上向きで……」  母親からの露骨な質問に、真っ赤になって横を向きながら答える。思春期の少年にとっては、おむつと同等の辱めなのだ。 「上向きね、判ったわ」  しかし母親は意にも介さず、息子のそれを上向きになるようにおむつを宛がう。 「んっ――」  先ほどお尻にも感じたドビー織の感触に、悲鳴が漏れそうになるのを押し殺す。これで陰部を見られなくなったことさえも忘れるほどの圧倒的な恥ずかしさだったが、今の彼にできるのは、きつく目を閉じて現実逃避することだけだ。 しかし母親はそれすら許してくれず、 「ほら、横を向いてないで、ちゃんと見てなさい。こうやって、お尻の後ろの横羽を左右から引っ張って――」  言われた瞬間、ウエストが締め付けられる感触。おむつカバーの横羽が腰に巻き付いて、前に当てたおむつを押さえ込みながら、おへその下で留められたのだ。 「前で留めたら、前当てをかぶせて、スナップボタンを留めるの。漏れないように、こうして、ちょっときついくらいに引っ張って――」 「んっ……!」  太ももの付け根がきゅっと締まり、音を立ててボタンを留められる。右、左と三つずつ留められて、 「最後に、はみ出したおむつを中に押し込めれば――これで良し、と。おむつを当てるのなんて久しぶりだけど、意外と覚えてるものね」 「う、うう……」  何やら妙な達成感とともに見下ろす母親。  しかし和実はそれどころではなく、 (おむつ――当てられちゃった……)  まるで悪い夢の中に迷い込んだような気分で、水色のおむつカバーと、その中に当てられた布おむつに包まれた自分の下半身を、じっと見つめるばかりだった。   (続く)


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