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第9話「デートと初めてと」(3)

 ――そして、11時の駅前。 「紗月は……まだ来てないみたいだな」  駅前北口――バスロータリーの上のデッキに作られた広場を見回して、夢月は小さく呟いた。  はずれとはいえ、都内のそれなりに大きな駅前。特に日曜の昼間とあって、若い人が多く行き交っている。デートに行くのかおめかししている女性の姿もそれなりにいて、ブラウスにジャンパースカートいう夢月の格好も、それほど目立ってはいなかった。幸いショーツの中のものも、まだ大人しく小さくなっている。  とはいえただでさえ短いスカートに、慣れないヒール付きのパンプス。バスを利用してとはいえ、なかなか気疲れする。 「紗月が来るまで、ベンチで休んでよっと」  一角のベンチに腰かけて、のんびりと妹を待つ。  いつ来るかと心待ちにする感覚は、確かにデートの待ち合わせのようだ。通り過ぎる人々を目で追いながら妹の姿を探し、ドキドキと胸を高鳴らせていると―― 「キミキミ、かわいいねー!」  テンプレのような、ナンパ男のセリフ。  しかし声をかけてきたのは、男ではなく若い女性だった。いずれも長身で、ぴったりとしたシャツにパンツルックがマニッシュな印象の美人だ。彼女たちは遠慮もなしに、夢月の両側に腰を下ろして左右から挟み込み、 「うんうん、近くで見るといっそう可愛いね。その服も清楚で、キミによく似合ってる」 「ひとり? ヒマならあたしたちと一緒に、お茶でもしない?」 「えっ、えっと……その、待ち合わせしてるのでっ……!」  まさかの事態に、夢月は困惑しきって叫ぶが、 「待ち合わせ? もしかして相手は遅れてるのかい? ひどい男だなぁ、こんなかわいい子を放っておくなんて」 「そんな男より、あたしたちと一緒に行きましょうよ。そっちのほうが絶対楽しいわよ、ね?」  これまたお約束のようなセリフで、ナンパを止めようとしない。  夢月は恥を覚悟で、 「う、う……その、俺、男だよ!? いいの!?」  そう言った途端、二人は大笑いする。 「あははっ、キミ、なかなか面白い冗談だね!」 「こんな可愛い子が男だなんて、ナイナイ!」 「う……」  可愛いと言われて嬉しくないではないが、それ以上に困惑のほうが大きい。 (ナンパされるのなんて初めてだし、いったいどうやって追い払ったものか……) (ええい、こうなったら――) 「本当ですって! ほら!」  思い切って自らスカートをめくり、腰を包むショーツ――細かなレースがついた純白のショーツと、そこに浮かぶふくらみを二人に見せる。  二人の女性も目を丸くして、 「え……?」 「嘘、ほんとに……?」 「わ、判ってもらえました? だからその、もう……」  夢月は真っ赤になって、二人に立ち去るよう促す。何しろ人の多い駅前広場、先ほどからちらちらとこちらを見ている人もいて、恥ずかしさにふくらみの本体が疼きだしているのだ。  しかし、 「いや、まだ信じないよ!」 「直接見るまでは、納得できないわ!」  とんでもないことを言って左右から手を伸ばし――ショーツのウエストゴムを下ろしてしまった。 「ひっ……!?」  夢月は真っ赤になって、スカートの裾をぎゅっと握る。  いくらアプリの影響で、通報される心配がないとはいえ、休日の駅前で下半身を露出する恥ずかしさは想像を絶していた。ちくわくらいの硬さで起き上がりかけていたペニスは、日航と視線を浴びてさらにムズムズと疼き始めている。  おまけに女性たちは、実際に触って確かめないと気が済まないとでもいうかのように手を伸ばして摘まみ上げながら、 「わっ、ほんとだ!」 「じゃあやっぱり、キミ、男の子なんだ……?」 「は、はい、だから、もう……!」 「そうか、なら――」  これでようやく諦めてくれるかと、夢月がホッとしたときだった。  女性たちはさらに夢月に顔を近づけて、 「なら――あたしたちが女の子にしてあげるよ」 「うんうん、いっぱい気持ちよくしてあげちゃうよ?」 「な――」  あまりにも予想外の展開に、夢月はさらに頭が混乱する。  しかし女性二人は、左右から夢月の太腿に手を載せて開かせつつ、もう片方の手で彼の頬を撫でて、 「いいだろう? そんな可愛い格好をしてるくらいなんだ、女の子になりたいんじゃないのかい? あたしたちがたくさん、可愛がってあげよう」 「もちろん痛くなんてしないわ。女の子の気持ちよさ、いっぱい教えてあげる」 「い、いりませんってばぁ!」  いよいよ力ずくでも逃げ出すべきか――夢月がそう思った時だった。 「ちょっと、人の彼女に手を出すの、やめてもらえない?」  ベンチの前に仁王立ちした紗月が、ナンパ女子二人を睥睨する。  すると二人は驚くほどあっさりと手を引いて、 「おっと、時間切れか」 「彼氏さんが来ちゃったらしょうがないな。またね~」  軽薄に手を振りながら、兄妹の前から立ち去った。  夢月はショーツとスカートを穿きなおして、 「はぁ、ひどい目に遭った……あれもアプリの影響かな」 「みたいね。まったく……ごめんね、遅れちゃって」 「ううん。たしかにデートの待ち合わせっぽくて、ちょっと楽しかったかも」 「んふふっ、なら良かった。じゃ、いこっか」 「うん」  夢月は立ち上がり、指を絡めるように「彼」と手をつないで、駅に向かって歩きだした。   (続く)

Comments

半立ちだとちくわくらいの硬さかなぁって…

十月兔

ちくわくらいの硬さ!? 納得w

amuchi


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