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第8話「女児服とごっこ遊びと」(20)

「みんなー、お遊戯、始めるから、位置についてー!」 「はーい!」  雛壇の一部をどかして作った簡単な舞台で、ピンクのふりふりタンクトップとミニスカートのお遊戯衣装を着た少女たちは、各々の定位置につく。幼稚園児とはいえ聖ジョアンナ女学園附属、下手な小学生よりずっとしっかりしている。  とうぜんそこには、夢月もいた。しかも彼の位置は―― (なんでよりにもよって、一番前の真ん中なんだよぉ……!)  ただでさえ頭一つ分大きい身長に、サイズの合っていない衣装はぴちぴちで、おへそも、ふとももも、ほとんど丸出し。スカートからは、垂れ下がった竿の先っちょが覗いているというありさまに、着ているだけでも恥ずかしいのにこれから少女たちに混じって「お遊戯」に参加するのだから、もはや悪い冗談としか思えない。しかも舞台の中央で、メインの動きをする三人組の一人として、だ。  舞台の下では幼馴染の東雲神奈と、その友人二人、さらに妹とその友達二人が、じっと見つめている。おまけに舞台正面には、神奈の友人の坂口詩織――「しおりお姉ちゃん」が、三脚にカメラを据え付けていた。 「みんな、頑張ってね。お遊戯の様子はビデオに撮って、動画サイトにアップロードするから、帰ってからパパやママと一緒に見てちょうだい」  詩織の声に、園児たちは大はしゃぎする。家に帰った後、家族と一緒に「お遊戯」での頑張りを見てもらえるのが楽しみなのだろう。  しかし夢月は、真っ赤を通り越して青ざめる。 (この「お遊戯」の様子が、全国ネットに――!?)  もはや羞恥プレイを通り越して、ただの恥さらしである。それでも逃げだすことはできず、夢月はこれから始まる悪夢の「お遊戯」を、せめてダンスだけでも失敗しないようにと集中する。 (最初は、みんなと同じようにステップを踏みながら手を動かしたり、腰を振ったり、ジャンプしたりするくらいだけど――後半は……ええと、たしか……) (あれ、どうだったっけ? 確か最初が俺で、次が奈波ちゃん、雛子ちゃんの順番だった気がするけど――)  リハーサルの時のことを思い出して、羞恥と不安と泣きそうになる夢月。  すると両隣の奈波と雛子――センターで踊る三人組の残り二人が、夢月の腕にそっと手を当てて、 「大丈夫よ、むーちゃん」 「あたしたちもできるだけさぽーとするから、ね?」  優しい笑顔で励ましてくれる。  さらに志乃先生も、 「むーちゃん、そんなに緊張しないで。失敗してもいいから、元気よく、笑顔で、楽しんでやりましょう。『お遊戯』なんだから」  夢月はハッとして、 「う……うん、ありがとう、お姉ちゃんたち」 (そうだ、どんなことも、なるべく楽しんで……幼稚園児になりきってやれば――いや、やっぱり恥ずかしいって!)  まだ羞恥心は消えないものの、ほんの少し気持ちが楽になったところで、 「それではこれより、附属幼稚園児童によるお遊戯を始めます。どうか園児たちのお遊戯を、ご覧ください」  志乃先生の声に、夢月は他の園児たちと一緒に、正面にお辞儀した。  中央に舞台全体を録画するカメラが設置され、その向こうに女子高生三人、そして女子小学生三人が座っているのが見えた。彼女たちは短い拍手ののち、静かに舞台を見つめる。  夢月は精いっぱいの笑顔で、お遊戯に臨む。 (いよいよっ……!)  鳴り始めた音楽は、女児向けアニメのテーマソング。少女たちにとってなじみ深いものを選んだのだろう。夢月も聞き覚えがあったため、リハーサルの時もすんなりと覚えることができた。  まずは最初――イントロに合わせて左右にステップしつつ、肘を曲げて腕を上下に動かす。なんてことはない動きなのだが、リズムに合わせてとなると難しい。おまけにステップに合わせて、スカートとペニスも左右に揺れてこすれ、露出しているお尻も撫でられているようにくすぐられて、今の自分の格好の異常さを改めて認識してしまい―― (あ、あ……!)  むくむくと、垂れ下がっていたものが膨らみ始める。ついさっきあれほど激しい射精をして、文字通り精魂涸れ果てたかと思っていたのに、 (ま、まずい……ここで大きくなったら……!)  引きつった笑顔でチラリと下を見ると、短いスカートから、先っちょと言わず竿の半ばほどから露出していた。動きのほうも、柔らかかった先ほどまではふらふらと頼りなく揺れていたのが、今やブランブランと、包皮が剥けた亀頭を左右の太腿にぶつけるように動いている。 (あ、ああ、やっぱり、おちんちんが見えちゃってる……!) (しかもここから、足上げの動きに――)  曲が始まったのを合図に、腰に手を当てて太腿を上げる動きに変わる。女児向けアニメの可愛らしい曲調に合わせて、勃起したペニスを見せつけるようなダンスを踊っていると、頭がおかしくなってしまいそうだった。 (右、右、左、右、――) (とにかくダンスに集中して、あと、笑顔もちゃんと――)  後ろのほうは見えないが、左右の奈波と雛子はきちんとダンスしている。時折こちらに「いいわよ、むーちゃん」というかのように目配せする余裕すらあった。  そのおかげで多少は気が楽になり、夢月はペニスをカメラに晒して、「お遊戯」を続ける。  ちょうど曲の半ば。華やかだったイントロと歌い始めから、やや静かなメロディにかわる。このタイミングで夢月は体ごと後ろを向き、膝に手をついて前かがみになりながら、首だけ振りむいてカメラを見つつ、お尻を突き出し、スカートを揺らす。  他の少女たちの場合、スカートの丈が足りているため、下着は見えず――夢月の場合も、下着が見えることはなかったが、代わりに下着すらつけていないお尻がまるだしになってしまっていた。おまけに太腿を閉じるタイミングが悪かったせいで、ペニスがちょうど下向きに挟み込まれてしまい、陰嚢から裏筋まで、ばっちりカメラに映ってしまっている。 「はぁっ、はぁっ――」  それでも夢月は、笑顔を絶やさずカメラに向ける。 (あれ、おかしいな……) (なんだか俺、本当に楽しくなってきちゃってる……!)  人工的な方法でも笑顔を浮かべていると、表情筋が心理状態にフィードバックし、笑いやすくなる現象がある。今の夢月もまさにそれで、笑顔でダンスしているうちに、羞恥や性的興奮といったものもひっくるめて「楽しく」感じようになっていたのだ。  すぐに太腿を開いて、ペニスを隠すこともできたが、夢月はあえてそうしなかった。竿を挟み込んだ格好のまま、カメラに向かってお尻を振り続け――曲とダンスはいよいよ、クライマックスへと差し掛かる。   (続く)


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