貧民街の地下街区域に位置した地下ボクシングリング。
現リングのチャンピオン、鶫 秋絵は挑戦者を相手に3度目の防衛戦を行っていた。
「本当くだらないな。ちゃんとしたパンチ一発飛ばせないのかよ。」
「この貧乏ガキが...!ぶっ飛ばしてやる!」
【決まった!カウンター狙いのアッパーに幸麻がついに沈没!4ラウンドの接戦、勝利を手にしたのはチャンピオンの秋絵だ!】
「ふん、お前みたいな間抜けなんかにチャンピオンの座など譲るもんか!その実力で私に勝つなんて... 生まれ変われるほうが早いそうね。」
【今日もリングを訪ねてくださった皆さん、ありがとうございました! 秋絵の勝利にかけたお客様はカウンターで換金お願いします!】
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同じ時間、カビの生えた安っぽいギャンブル場。秋絵のプロモーター川澄はギャンブラーたちが余裕の表情で見守る中、冷や汗を流す顔で自分が持ってきた札を確認していた。しかし、全部外れ。札を全部床に撒き散らす。
「くそっ...!」
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ジムの宿舎に入ってきた秋絵は、川澄を見つけて、彼と目も合わせずに自分の部屋に戻ろうとしていた時だった。
「秋絵、次回の防衛戦。負け試合にする。」
「は?」
川澄は秋絵と目を合わせないまま沈黙で一貫する。しかし、川澄の日ごろの行いを知っている秋絵が戦後関係を理解するのは難しくなかった。
「また?またギャンブルかよ!負け試合とか何を当たり前のように言ってんのよ!」
「お前は勝ちすぎたんだよ!もう金にならん!団体側とももう話は終わった。あきらめろ!プロもない、たかが地下ボクサーが...何がチャンピオンだ...。」
あきれて顔色が赤くなったり青くなったりした秋絵が、悪口を口の中に飲み込んで すぐ門を壊すように閉じて出かける。ゴミみたいな人間だが、孤児である自分を育ててくれた人で、引き続きリングに上がるためには彼に逆らうことなどできないことを十分に理解していた。
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当日になって試合開始前、秋絵がコーナーに肩をかけて相手のコーナーをにらんでいるとき、耳の奥の受信機から川澄が声をかけてくる。
「秋絵、わかっているよな。3ラウンドでTKO敗。この条件で負ける。いいよな。」
【お待たせしました!いよいよ今夜のメインイベントを開始します。ジハリング初タイトル防衛3連覇を達成したチャンピオン、秋絵!そこに挑戦するのはアキバのコスプレイヤー!デビューしてすぐ2連勝したコスプレファイター、みきー!】
(何がコスプレファイターよ!あんなやつなんかにチャンピオンを譲るなんて絶対認めない...!)
「ぷっ、チャンピオンといっても大した事ないじゃん。」
リング中央でみきが先にアキエを挑発してきたらただでさえ不機嫌だった秋絵が目に角を立てる。
「ああん!?」
「だって、根本もない駄犬なんかが転がる地下リングでチャンピオンだなんて、身の程を知らな...」
どすん!
頭に血が上った秋江がミキに激しく体をぶつけてくると、反応できなかったミキが後ろに倒れる。
「うっ...!このあま、何しやがる!」
「駄犬だと…?立って!駄犬に食いつかれる感覚がどんなのか教えてやる…!」
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